歴史人 2013年 10月号 [雑誌]

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  • 特集は、ifで見えてくる「戦国の真実」
    前口上はすばらしくなるほどと思える。(でも看板に偽りあり)
    歴史にifはありえないと言う学究の従であればとんでもないと思うかもしれないが、こーゆ企画、私は結構好きです。どれどれと記事を読むと玉石混淆である。

    ①覇王・信長が本能寺の変で生き延びていたら あげくには信長の死後、家康が台頭し、天下は家康が継いだという結末(信忠は既に死亡)。もう少し堅実なifを期待していたのだが。信長の惣無事政策を考えると、妄想が過ぎる気がする。

    ②もしも、桶狭間の戦いで織田信長が今川義元に負けていたら
    信長は切腹、家康は今川家の執政として活躍するという納得の出来る分析。ただし、畿内の本願寺と西国の毛利が台頭し3大勢力の時代になるというのはどうか。「元就が天下を狙うなと言ったのは1571年の段階で歴史的事実として信長の天下取りがみえていたから」という見方には疑問がある。

    ③もしも金ヶ崎の退却戦で秀吉が討ち取られてたら
    代わりに光秀が台頭し、やっぱり本能寺の変は起こるというもの。
    秀吉は武功をたてるため、伊勢松阪の阿坂城攻めで無理をして負傷を負ったという史実が面白かった。竹中半兵衛が討死にすると、北近江の有力国人堀秀村を寝返らせる事が出来なくなるのか。マイナーだが結構影響が大きい。
    その後の流れも想定としては十分ありえるifである。

    ④もしも織田信長が37歳で暗殺されていたら
    杉谷善住坊の狙撃により暗殺されるというもの。信忠により融和的に天下が統一されるという流れ。これも可能性は高そう。案外、順調に天下が統一されたかも知れない。

    ⑤もしも、三方ヶ原の戦いで家康を破った武田信玄が病に倒れなかったら
    上洛して幕府を開くというもの。
    信玄と信長が関ヶ原で決戦するというのは魅力的な想定。
    文中「将軍家には幕府を開かせない」というセリフとか「征夷大将軍だからと言って幕府を開けるものではない。近衛大将に任じられていない義昭は将軍となっても幕府を開けない」という解説があってのけ反る。幕府とはそうなのか。

    ⑥「信長の死」を秀吉より先に毛利方が知っていたら
    秀吉は姫路城に籠城し、黒田官兵衛の内応によって討ち取られる。
    光秀は天皇から秀吉討伐の綸旨を得るとあるが、そんなものが簡単に出るのであろうか。まずは、光秀の足元が固まらないと秀吉討伐どころではあるまい。史実では、柴田勝家も光秀討伐に向けて準備を進めていたし、家康も討伐軍を用意していた。東を固めることを考えると、簡単に京を開ける訳にはいくまいと思う。

    ⑦関ヶ原の戦いでもしも小早川秀秋が西軍を裏切らなかったら
    日本列島は5大勢力が分割して割拠するというのはどうなのか。見方が都合良すぎ。日本は商業立国となるのか。

    ⑧もしも大坂夏の陣で家康が真田幸村に討ち取られたら
    豊臣氏滅亡は変わらない。秀忠には威信もキャリアも無く、敵は身内(結城秀康や松平忠輝)にあり、伊達政宗の暗躍により3代将軍は忠輝がなるという。まず、結城秀康は1607年に死亡しており、秀忠の関ヶ原遅参は徳川本体温存のためあえて遅れたのが史実という見方も疑問である。従来から家康死亡説はあるのでifが成り立つのかという気もする。秀忠の力量を過小評価しすぎではないか。

    雑誌の記事なので、どうしても派手になりがちで荒唐無稽な説もあるが、記事を読みながら自分なりのifを考えるのは楽しい事である。

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