話全体のネタバレががっつりございます。
お気をつけください。
最近、YouTubeでクトゥルフ神話TRPGを観るようになりましてね。書籍でないものかと探したら見つけましたので、Booklive!でクーポンも発行されていたのでそれを使って安く購入しました。
絵は正直上手いとは感じられず、また殴ったり蹴ったりといった迫力のあるシーンもお世辞にも上手いとは言えません。(個人的に、ですが)
所々ギャグが入り、多少寒いもののホラーテイストが緩和されつつ読み進めることができます。
水瀬陽夢という女子高校生の語りから物語は始まり、探偵の三宝寺古鉄と名乗る人物のモノローグと共に水瀬陽夢が誘拐されたことが分かります。
三宝寺は誰かの悲鳴を聞きつけ、水瀬に何かをしようとする第三者がいる山小屋のようなところにたどり着き、第三者に向かって制止を告げるものの、二十歳未満の女性が怖いらしく震え始めます。
恐ろしさに身を縮こませた三宝寺の横を、謎の第三者はすり抜けて逃げていき、捕まえることは叶いませんでした。
水瀬はどうやら何か薬を飲まされたらしく、
「正気のままで他の人間と話ができることは二度とない」
という恐ろしい言葉を残していました。
場面は変わり、霊能者を名乗る葉山零一という青年と、刑事である奈流明日香という人物が事件現場で話をしています。
どうやらどこぞの事務所で怪物が暴れ回ったーーという話のようです。
葉山はテレビで有名な霊能力者として活躍しており、ただまぁ実際はインチキ霊能者でコールドリーディングその他諸々で犯人を言い当てていただけであり、そんな中でスピリチュアルっぽいツボを売りつけたりしていて飄々と生きていた人間である。
そんな彼は、ある政治団体から頼まれて、国際サミットで重要な演説中の総理大臣のカツラを引っ剥がし日本の国際地位を失墜させ、そのことがバレて懲役五十年と五ヶ月が言い渡された犯罪者である。
五ヶ月は障害未遂、五十年は国家機密漏洩の罪のためらしいです。
その手腕が素晴らしかったので、警察上層部が超法規的にアドバイザーとして捜査に参加させているという流れです。
それはさておき、現場はとあるマフィアの事務所で、巨大なモンスターが現れて事務所を荒らして行って上司を連れ去ってしまったため、警察に助けを乞うた、というものでした。
……が、実際は上司の画策で、化け物の仕業ではなかったのです。
そんな展開で一話は締めくくられます。
二話目・三話目ですが、なんでか三宝寺と水瀬が酒盛りをしていて警察で事情聴取を受けている場面から始まります。いや高校歳が酒盛りすんなよとドン引きしました。いやまあ漫画の世界といえばそうなのですが、せめて柱にでも注釈が欲しかったですね。
そして三宝寺がいきなり奈流に結婚してくださいとプロポーズを始め、しかもそこから
「俺のパンツを毎日洗ってください」
と発した時点で読むのをやめようかと思いました。
いやパンツくらいてめーで洗え。
ぐだぐだな展開が続いた中で、三宝寺が誘拐犯の車の写真を撮っており、それを鑑識が解析してナンバーが判明してその犯人の家に四人で訪問することとなります。
とあるマンションの一室にて、チャイムを鳴らせば、二人の男性が出てきました。
にちゃんねる語を話す秋葉原行夫と、常識人っぽい柏崎竹刀。二人して徹夜でゲームをしていてテンションがおかしいらしいです。
葉山の誘導により、柏崎も秋葉原も誘拐の嫌疑が掛かります。
ぐだぐだな展開の中でどちらかが犯人でどちらかがロリコンだということが判明し、三宝寺と水瀬、奈流と葉山の二手に分かれて秋葉原と柏崎を追うことになりました。
柏崎と対峙した奈流と葉山、そこで葉山の推理が炸裂し、彼が誘拐犯であることが判明します。
柏崎は予言をします。
「今すぐにあの少女を殺せ、そうでなければ恐ろしい数の人間が死に至る」
と。
奈流はとっさに拳銃を向けますが、柏崎の語りは止まりません。
そこで場面は変わり、三宝寺と水瀬ペア。秋葉原を見つけるものの、あなた方は誰だ?と問うてくる秋葉原。
やんややんや言っているうちに、見るからに見るからなサングラスにスーツ姿の三人組に囲まれ、水瀬が連れ去られかけるものの三宝寺は淀みなく二人を地面に叩き付けます。
が、途中水瀬が人質にとられ、悩んだ先に水瀬が己を掴んだ人間の腕を握りつぶそうとし始めーーその人間が拳銃で撃とうとするのを三宝寺が止めます。
水瀬は気を失い、伸びている人間共々消えろと三宝寺は言い捨てます。
四話目にて、葉山が死んでいるかの如くベッドに寝かされているのですが、死んだふりでした。
水瀬を連れ去ろうとしたサングラスにスーツの人間たちは、香港系のチャイニーズマフィア、トライアドというグループということが判明します。
そうして、わいわいきゃいきゃいしている中で、お見舞いの品を持ってこられた警官がいました、と看護師が黒い包箱を持ってきます。
罠だ罠だと皆が言う中、一大決心して三宝寺が箱を開け、出てきたのは柏崎のメッセージカードと何かが入った袋。
狂気の世界へようこそ、と言った内容のメッセージカード。
ごろりと落ちた袋には誰かの頭部。
水瀬を連れ去ろうとしていたサングラスにスーツの三人組のうちの一人でした。
水瀬は力の限り叫びます。
叫んで叫んで叫び続けて、目が白く光り、血の涙のようなものを流し始め、咆哮を上げます。
医者の首を喰いちぎり、奈流の上司である沖が拳銃を向け、二発ほど撃つと、水瀬は正気に帰りました。
はっとする水瀬の全身は血塗れです。
沖は部下を呼び、水瀬を射殺しようとしますが、それを防ぐために三宝寺は水瀬と共に現場から逃げ出します。
五話ですが、三宝寺と水瀬が犯人としてニュースに取り上げられ、報道されているシーンから始まります。
奈流は、沖によって捜査から外されることになりました。被疑者の逃亡を幇助するかもしれないと判断されたからです。
監視されてパソコンも思うように触れない奈流のもとに、水瀬の自宅にて母親の死体が発見された旨が知らされます。捜査員も何者かから攻撃を受け、一名死亡、一名負傷という恐ろしい展開になります。
署内が騒然とする中、奈流も葉山もトイレを希望し、女子トイレに二人して篭って三宝寺と連絡を取ります。
暗い室内で、水瀬は三宝寺に自身の首を折るように告げます。
三宝寺は簡単に首は折れるけれど、次に水瀬が暴走した時に折る、一度折ったことがあるからできると乾いた笑いを浮かべます。
秋葉原が雨の中走っているのを見つけて三宝寺は彼を追い、水瀬を置いていきます。
秋葉原は何者かに撃たれ、今にも死にそうでした。
そこで、柏崎がトライアドの殺し屋であることが判明します。魔術、詐術、拷問術、ありとあらゆる闇の技能を叩き込まれた存在、だから厳密には人間ではない、と。
彼は日本でカタストロフを起こそうとしているといいます。
一人水瀬は三宝寺を待ち続けますが、そんな中、サングラスにスーツの男性が押し入ってきます。ボスのような風情です。
彼は一枚の写真を放り投げましたーー柏崎に首を捻じ切られ殺された人間だとーーどうやらそれは水瀬の母親のようでした。
親しい人間の死体を目にして、水瀬は思わず再度化け物と化した際に上げた咆哮を再び吐き出し、押し入ったサングラスの男は拳銃を水瀬に向け、そこで五話は終わりです。