AKIRA コミック 全6巻完結セット (KCデラックス)

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 映画版より鉄雄がカッコよかったなあ。やっぱり面白かった‼︎また読みます。

  •  大友克洋が「AKIRA」だけの一発屋だろと言ってるやつを何かのコメント欄で見かけた。お前に日本の漫画を語る資格はないよと言ってやりたかった。「AKIRA」があったからこそ今面白い漫画が沢山存在していると言っても過言ではないほど多大な影響を日本に与えた、それが「AKIRA」だったというのに。

     日本で大友克洋は「AKIRA」に至るまでの軌跡が認められていたのであって「AKIRA」のアニメ化によって初めて世界に認識されるに至ったのである。その頃の世界はまだ日本の漫画やアニメ文化への理解はほんの序の口だった。今Wiki読んで知ったが、大友克洋はすでに漫画を描かなくなって久しい近年になっても世界のあちらこちらで何度も賞をとっていて、その貢献度からなのか2013年になんと紫綬褒章を受賞している(ヒマならWiki紫綬褒章の漫画家の欄で受賞者を観てみると良い)。

     大友克洋には長編の傑作もいくつかあるが、なにしろ彼の得意技は短編で、出版されている本のほとんどが短編集である。アニメ化された短編「MEMORIES 彼女の想いで…」が表題作になっている短編集(講談社刊)の中に「FIRE BALL(1979)」という超能力物のSF作品がある。それと合わせて、有名な超能力ホラー長編「童夢(1983)」と「気分はもう戦争(1982)」あたりが「AKIRA」の原形だと思われる。

     大友克洋はSFと同じくらい大人の現代劇も沢山描いていて、浦沢直樹などの作風はそこから来ていると思われる。そして作者自らの監督によってアニメ化され世界にも認められることになった「AKIRA(アキラ)」とは言わば大友克洋自身の集大成のような作品だった。結局自身によるアニメ化をキッカケにして監督業に乗り出し漫画をやめてしまったことが、手塚治虫の再来とまで言われた大友克洋を誰かに“「AKIRA」だけの一発屋”呼ばわりされるようにしてしまった所以だ。

     じつは同じように自分の漫画を実写映画化して監督兼脚本家になった漫画家がもう一人いて、それが「天使のはらわた」「花と蛇」などが有名な石井隆。昔はエロマンガの代名詞的な作家だったが成人向けで読めなくて悔しい思いをした。最近知った海外の例では、あの有名な映画監督パトリス・ルコントが実は元漫画家(バンド・デシネ)で「スーサイド・ショップ」というアニメ映画を近年作っていた。(バンド・デシネの鬼才エンキ・ビラルという人も実写映画を監督している)

     自分はあまり流行を追わない主義なので、人気のある新しい漫画をなんでもかんでも読んだりしていないが、こっそりチェックはしているので、人気に便乗はしなくても作品性くらいはそれなりにつかんでいたつもりで、まともに読んだりみたりはしていないけれども軽く覗いたり、さらっという程度に有名どころは確認しているつもりだが、残念ながら大友克洋という偉大な漫画家も「AKIRA」という伝説の漫画も、未だに誰も超えられていないということだけは間違いないと思う。そりゃ面白い漫画や人気作ヒット作は沢山あると思うし、すでに日本の漫画とアニメは世界中のファンに愛されていることは確かだが、でもね、今この歳で「AKIRA」を全巻読破し直して感じたことは、まだ誰にも負けていないということに尽きる。

     その独自の世界観としてはハリウッド映画その他多くの人に影響を与えた「攻殻機動隊」という漫画は自分にとってもフェバリットではあるのだが、漫画作品としての総合力において大友克洋の「AKIRA」には全く敵わない。当然のことながら昨今巷を賑わす人気漫画の数々など、大友克洋と「AKIRA」の足下にも及ばない。格が違いすぎる。たぶん大友克洋も「AKIRA」も読んだことがない今どきの漫画少年青年たちはきっと鼻で笑い飛ばすだろうが、たぶんその人気漫画を描いている作家たちにとって大友克洋は神に近い人だろうと思うし「AKIRA」も憧れの一つに違いないと思う。知らないのは流行ばかり追っかけて本物を見極めることをしない中二病の勘違いばかり也。

    「AKIRA」を読了したついでに調べてもう一つ驚いたことがあった。「AKIRA」が完結してからこの25年の間に最も偉大な漫画作品として挙げ続けて来た宮崎駿の漫画「風の谷のナウシカ」全7巻が描かれ完結するまでの期間が(1983~1995)であり、ほとんど「AKIRA」の(1984~1993)という期間に重なっていたのである。自分が今この21世紀において、もっとも凄い漫画としてピックアップするこの2つの漫画作品が同じ時期に描かれていたという事実。これはTVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」などと同様に、昭和から続いていた日本人にとっての重要なキーワード「世紀末」という妄想から生み出された作品であろうということができる。

     どこかですでに語られている既成事実かも知れないが、たぶん「新世紀エヴァンゲリオン」の“セカンドインパクト”の発想は「AKIRA」から来ていると思う。「AKIRA」も「ナウシカ」も「エヴァンゲリオン」も人類の終末を妄想した結果の作品ということであれば、世紀末1999年に一切何も起こらなかったノストラダムスの大予言も、そこから導き出されたイマジネーションこそが最大の功績であったという見方もできるのかも知れない。

     ちなみに「AKIRA」はアニメ版DVDも持っているがアレは映画「風の谷のナウシカ」同様に、漫画全巻に対するパイロット版のような内容である。原作漫画のイメージは的確に表現されているものの、作者が本来語りたかったストーリーや壮大なテーマは全然描かれていない。ある意味どちらもアニメと漫画は全くの別物で、原作漫画に描かれたほんの一部を宣伝用に動かしただけのようなダイジェストでしかない。漫画を読まないと本当の感動とその驚くべき作品性を知ることはできないということは知っておくべきだと思う。つまり映画の予告編だけ観て「すげー面白かった」と満足してしまっているようなものだと理解しよう。

     もし漫画が好きだったら漫画「AKIRA(アキラ)」を読まずして漫画好きとは言えない。漫画「風の谷のナウシカ」を読まずして宮崎駿ファンは名のれない。この2つを知らずに日本の漫画を語るなんて滑稽すぎて洒落にもならない。ただしこの2つの作品性は圧倒的な破壊力を持っているので、もしも漫画家になりたいという願望がある人は強い意志を持っていないとこの作品の完成度の高さに圧倒されて漫画を描く自信さえ失くしかねないので注意。まぁしかし、とりあえず読め。読まずに語るべからず。

  • 映画の方は見てないけど、大友さんの漫画は漫画というより映画の絵コンテ読んでるみたい。描きこみが細かいのでめくって眺めるだけで楽しい。話は程よく複雑。今あらすじ思い出せないぐらいの複雑さ。

  • 永遠のマイヒーロー

  • 昔、映画化されたり、話題になってたのは知ってた。2014年に初めて読みました。正直イマイチだった。

  • 圧倒的画力と表現、舞台設定に、★★★★★。
    一見の価値、大有り。

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著者プロフィール

漫画家・映画監督。宮城県出身。
1973年「漫画アクション」にてデビュー。代表作に『童夢』『AKIRA』など。
1988年、自ら制作したアニメーション映画『AKIRA』は日本国外でも高い評価を受け、海外における日本アニメムーブメント(ジャパニメーション)のさきがけとなった。
2013年、日本政府より紫綬褒章。2014年、フランス政府より芸術文化勲章オフィシェ。
2015年、第42回アングレーム国際漫画祭・最優秀賞(フランス)。

「2023年 『銃声』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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