マリアビートル (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 新幹線という密室の中で繰り広げられる、殺し屋たちの駆け引き、戦い、洞察、腹の探りあい。傑作サスペンスだと思う。二時間半という時間軸のなかで目まぐるしく事態は変転していく。蜜柑に檸檬、蜂に木村、七尾、真莉亜それぞれの思惑がクロスオーバーし、ある時は手を組み、ある時は戦いと目が離せない高速バトルが続いていく。
    個人的にはかつて読んだ「北斗の拳」まではいかずとも「ブラックエンジェルズ」が思い浮かんだ。それぞれのキャラが立っていて特に王子のふてぶてしさ、しぶとさは悪役としてはかなり輝いていた。まさにボスキャラ級の憎たらしさ。
    日常を離れてこうしたハラハラドキドキに身をおけるのが本書のよいところ。
    途切れることのないスピード感。新幹線という密室の中での闇闘、次々登場する強敵。一大エンタメだと思いました。井坂さんの人間に対する洞察や、古典文学からの引用が臨場感と説得力を与えているところも見逃せない。
    「AX」も楽しみです。

  • デヴィッド•リーチ監督のブレットトレインを
    先日観てきました。

    海外から見た日本ってこんな感じなのかな?
    お洒落で登場人物がみーんな殺し屋なのに憎めないっ…、いやむしろ愛おしい。
    2時間、飽きることなく楽しめました♪

    映画を観たらやっぱり原作が気になるっ
    伊坂幸太郎さんのマリアビートルは?原作はどんな感じなんだろう?
    もう内容は知ってるし楽しめるかなぁと思いながら読み始めました…、
    結果、ぜんぜん違った楽しみ方ができたっ!

    そう、映画と原作は楽しみ方が違う
    そしてキャラやストーリーの違いを見つけるところもおもしろい!

    映画はその登場人物の魅力的なキャラクターと息つく間もないド派手なアクションや会話、とにかく映像も会話もキャラも全てきらっきらっしてお洒落で楽しい♪

    そして原作はやっぱりストーリーが良いです。
    映画よりも殺し屋がたくさん出てきていて
    それぞれが、何とも味わい深いキャラクター。
    そして物語りの展開のされかた。
    読んで良かったぁー‼︎

    『映画見たから原作はもう読まなくていっか』って思わなかった、あの時の私、ありがとう。笑

    • 松子さん
      くまさん、おはようございます(^^)
      『必ず家族の話に落ち着く』なるほどぉ!
      面白いです!
      だから王子が…。うぅぅ、お口チャック!

      週末、...
      くまさん、おはようございます(^^)
      『必ず家族の話に落ち着く』なるほどぉ!
      面白いです!
      だから王子が…。うぅぅ、お口チャック!

      週末、映画好きなお友達に会うので教えてあげよー!
      興味深い情報、ありがとうございます(^^)
      2022/09/22
    • ポプラ並木さん
      松子さん、おはよう。
      マリアビートル、東京から仙台に向かう新幹線、ヤバイ登場人物でドキドキでしたね。伊坂ファンの自分としては殺し屋シリーズ...
      松子さん、おはよう。
      マリアビートル、東京から仙台に向かう新幹線、ヤバイ登場人物でドキドキでしたね。伊坂ファンの自分としては殺し屋シリーズはたまりませんね!
      次のAXの方が好きでした。
      まだ未読なら是非お薦めです!
      2022/09/30
    • 松子さん
      ポプラ並木さん、こんにちは♪
      マリアビートル、面白かったですねぇ!(´∀`)

      にわかですが、私も伊坂ファンです(〃ω〃)
      AXも面白かった...
      ポプラ並木さん、こんにちは♪
      マリアビートル、面白かったですねぇ!(´∀`)

      にわかですが、私も伊坂ファンです(〃ω〃)
      AXも面白かったなぁ
      家族が大切で殺し屋やめたくて、妻攻略ノート作ってる殺し屋さんですよねっ
      あれは、泣けたなぁ(;_;)

      ポプラ並木さんの感想見に行ってみよっと♪
      2022/09/30
  • 殺し屋シリーズの第二作目。
    グラスホッパーから続けて読んだおかげか、一作目からの登場人物が今回出てきてもスッとわかって楽しめた。
    それぞれの思惑から依頼が混ざり、同じ東北新幹線内で殺し屋のグループがニアミスしたり、駆け引きする。
    実は777でも新幹線の事件のことが話に出てきていたから、思い出しながら展開を予想もしたけど、そこはそこまで不幸なことにならなくてよかった。
    読む順番は違ったけど、結論から言うと情報が入ってた本作が1番楽しめた。
    ちゃんと罰せられるものは罰せられる、因果応報になっていて安心する。
    殺し屋シリーズだけど、不幸すぎないというか悲惨でないのもいいと思う。

    1冊しか読まないなら「AX」
    シリーズで読むなら、「グラスホッパー、マリアビートル、777」

  • 盛岡行きの東北新幹線の中。乗り合わせた裏家業の曲者たち。現実感なくこれらの者たちが次々と殺し殺されていく。

    我が子に瀕死の重症を負わせた恨みで王子を狙う元アル中・木村。その木村を罠にはめ逆に精神を支配しようとする幸運続きのサイコパス中学生・王子。人質に捕られた峰岸(悪党の親玉のバカ息子)を救出し身代金入りキャリーバッグとともに盛岡へ移送中の檸檬&蜜柑、そして峰岸の指示でそのキャリーバッグを盗む七尾。この七尾、凄腕ではあるが、王子とは真反対に洒落にならないくらい不運に見舞われ続ける。そして峰岸の息子を殺した謎の殺し屋。

    人を恐怖でコントロールし、絶望感を味わわせることに快感を覚える王子が物語を主導し、かき回し、混乱を深めていく。

    錯綜した物語がテンポよく進むのだが、王子の存在が不気味すぎて、読み進めるのが不快だった。「みんなを絶望的な気持ちにさせたいんだ」「泣くのを我慢する小学生さながらに、痛みを堪えている顔が、可笑しくて堪らなかった」…。人の死があまりにも軽く扱われていてるのもちょっとなあ。「殺し屋」シリーズだから仕方ないのかな? まあ、一応溜飲の下がるラストではあったが…。

  • 王子だけは

    評価4.0
    audible  19時間24分
    kindle  539ページ

    殺し屋第2段。まずは登場人物の紹介が一通り。
     ちょっと落ちぶれた感じの木村は中学生殺し屋の王子に息子を殺されかけたらしい。仕返しを試みるがあっさりと中学生につかまり、いいように扱われてる。殺し屋といえどどこかとっつきやすさを持って描かれることが多い作者であるが、この中学生だけは冷酷でありちょっと異質。
     前作の悪者寺原の後釜の誘拐された子供を救う依頼を受けた蜜柑と檸檬。一旦は依頼を成し遂げるが、子供は殺され、身代金は奪われて散々。早くも自分が殺された時の話をしているのは何かのフラグか?
     その身代金を奪う依頼を受けた幸薄い七尾。トラブルで下車できないのは、むしろ幸運か?舞台は東北新幹線内。
     当然でもあるが前作同様シリアスな殺し屋の物語ではなく、皆どこかかけているところがあったりする。そんな中で王子のキャラはやっぱり冷酷かつ残虐で、こいつだけはちょっと笑えない。こいつのエピソードが出るたびにもう読むのをやめたくなるし、本当に苦痛。まだまだ先も長くゾッとするが、もうこいつが野垂れ死にするのだけ期待して何とか先を続ける。
     寺原に続いて鈴木が出てきたりと前作とのつながりも示唆されるが、あまり活躍の場はなさそう。期待のスズメバチもあっさりと殺されて雑魚キャラのまま退場。クライマックスに近づくがやっぱり死人が増えていくのは気持ちよくない。これが許されるのは登場人物のキャラ次第だと思うのだが、王子のせいでこれも成立しない。
     最後はまさかのおじいちゃん乱入。若干反則だが、力技で全てを解決していく。木村親子が死ななかったのは素直に嬉しいが、問題の王子はちょっと有耶無耶。しっかりと野垂れ死んでおいて欲しいところだが丁寧に描写されても困るか。
     振り返れば、王子の頭は大して良くないし、てんとう虫はどちらかといえばむしろ幸運かな。

  • 点と点が線となり、それが思いもかけない形で交錯し、最後には一番ついてないマリアビートル視点で幕を閉じる。
    なぜ人を殺してはいけないのか、に対する倫理観のを除いた答えが興味深かった。

  • 伊坂さんの本はどれも面白いですねー。
    本作も、スピード感ある展開で、次が気になり一気読みしてしまいました。

  • 「今から、君を殴りたいのだけれど、いいかな?」

    今日の客は騒やかだ。

    不運、果物、酒狂、悪童、教師、餓狼、愚息、猛毒…

    命を運ぶと書いて、運命。

    殺意の鉄塊は乗る者を拒まない。
    ただ、降ろすかどうかは別の話。

    ー閉まるドアにご注意下さいー

  • 各々依頼を受けた殺し屋たちが「トランク」をキーワードに東北新幹線の中を東奔西走。各ストーリーが絶妙に絡み合い、ラストまで疾走感のある作品だった。

    七尾くんの不運に何度も笑いつつ、誰がどうやって生き残るのか、ワクワクしっぱなし( ˙꒳​˙)

    文の一区切りに軽めの“オチ“を付けていく、馴染みのある伊坂幸太郎スタイル。どこかで読んだ事があるようなキャラ口調で、ひたすらに読みやすい文章が続き、スイスイと読み進んでいく。

    アル中オヤジ、双子っぽい二人、冷徹な中学生、メガネ優男、たまに登場する槿…特徴のあるキャラ設定が面白く、各物語が交錯して進んでいく流れもまた面白い。

    序盤からトランクを巡って各者が思考を巡らし行動を起こして行くが、同じ緊張感とテンポがずっと続くため、少々疲労・飽きを感じてしまった所も。もう少し緩急が欲しいな〜と感じた。

    終盤で現れる新たな刺客には、随分驚いた('ω')そいつもかーい!と…。どんなラストになるのか想像つかず、頁をめくる手が止まらない。王子のキャラがド胸糞だったけれど、その分ラストで少しだけスッキリした。じっくりと痛めつけられればいいさ…。

    並んだレジが進まない時は、実は七尾くんも並んでいるのかもしれないな。

  • 殺し屋が依頼を受け実行するため、復讐の思いを胸に殺しを実行するため新幹線に乗り込み、どんちゃん騒ぎを巻き起こす。それぞれの人物パートで構成されていて、時に振り返って戻ってしまう場合もあったが、取っ組み合いなどが目に浮かぶようでスリリング且つスピーディーな展開が良かった。王子に対して強烈な嫌悪感と、こんな中学生がいたら日本は終わりだなという感情を抱かずには居られなかった。なぜ人を殺したら行けないのか、なぜ人を殺し合う戦争は実行されるのか、鈴木先生が語るところが深いと感じた。最後クライマックスの木村老夫婦が王子に制裁を下したであろうシーンが気になる。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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