知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • なかなか難しい本でした
    「自分の頭で考える」
    今の学生だけでなく社会人もできていないと思います。
    ある意味思い込みで答えを出していくような。
    近視眼的な思考になって思考がシンプルになりすぎてるなと思います。
    そして何事にも正解があると思い込んでる節があります。

    「勉強不足症候群」
    インプットが正義になってしまうと答えを覚えてないことが悪になってしまいます。
    そこにある答えは一面的に正しくてもそれが唯一の正解であるわけではないのに。
    自分で考える力が失われるとどうしても紋切り型の
    「どこにでもいる人」
    になってしまいます。

    これからは「知的複眼施行法」本書では「自分の頭で考える」ことを重視しています。
    自分の意見を言わないとこれからは取り残されていくように思います。

  • なかなか実践に移すのは難しそう。
    登場してくる例はとても分かりやすかった。

  • 「偏差値教育は悪である」のようなステレオタイプな思考へのアンチテーゼが複眼的思考。
    物事は単体では存在せず、必ず他の物事との関係の中に存在している。その関係を見抜く力は、ステレオタイプな思考に陥らないための、「なぜ」という問いを立てる力の土台となる。

    ・個別ケースを分析・統合 ⇒ 仮説として抽象化 ⇒ 他の個別ケースに適用して検証
    ・物事は必ず他の人・物・事との関係、歴史・文脈の中に存在している。それが忘れられる・軽視されると、あたかも単独で存在しているように認識され始める(ステレオタイプ化)。たとえば、企業内にはびこる無意味な「前例」がそう。
    ・ステレオタイプ化を防ぐためには、物事をすべて現在進行形なプロセスとして捉えるのが有効。「〇〇化」という風に言い換えるとよい。たとえば「偏差値教育化」と言い換える。
    ・読書する際は、本をプロセスのスナップショットとして捉えると、絶対視して内容にケチを付けられなくなるようなことを防げる。

  • > 「自分で考えろ」というのはやさしい。「自分で考える力を身につけよう」というだけなら、誰にでもいえる。そういって考える力がつくと思っている人々は、どれだけ考える力を持っているのか。考えるとはどういうことかを知っているのか。本を読みさえすれば、考えることにつながるわけでもない。自分で何かを調べさえすれば、考える力が育つわけでもない。ディスカッションやディベートの機会を作れば、自分の考えを伝えられるようになるわけでもない。
    > 調べることをどうすれば考えるというプロセスに組み込んでいけるのか。どのように議論のしかた、本の読みかたを工夫すれば、考える力を鍛えていけるのか。そのための具体的な方法を欠いたままであれば、自分で調べたことも情報の焼き直しで終わったり、本を読んでもわかったつもり、ディベートしてもその場かぎりの意見表明に終わってしまう(略)。

    ■本書の構成
    第1章:本の読み方を通じて、自分で考えるための基礎力を養う方法を解説。
    第2章:文章を書くことを通じて、どのようにすれば自分の考えを論理的に表現できるのか、論理を積み重ねていくための基本を紹介。
    第3章:問いの立て方と展開の仕方を学ぶ。
    第4章:複数の視点から物事を捉える具体的な方法を解説。

    ■感想
    章末に要点まとめがあって助かる。
    第3章・第4章は思考法の胆にあたる。具体例を踏まえて解説してあるが、なかなか抽象的で応用はむつかしいと思った。

  • 「常識」にとらわれない「自分の頭で考える力」を身につける方法を具体的に解説し、紹介している本。

    自分自身の視点から物事をとらえ、考えていくための方法が書かれている。

    <序章 知的複眼思考法とは何か>

  • なんとなくそうらしい意見、考えを疑うこと。
    疑問を持つこと。鵜呑みなしないこと。
    その方法を教えてくれる本。

    「よく考える」とは社会でもよく言うが、
    そのやり方を的確に説明できる人はどれくらいいるのだろうか。どこまで考えたら、よく考えたことになるのか?自分の思考は、他人よりも浅いのか?深いのか?そんなこと分からなかった。

    本書では、いかようにして考えを深めるかという点が明らかにされる。
    よく考えるとは、ステレオタイプから脱却すること。よく読み、よく書き、よく考えることがしたいなら間違いなくお勧めできる。

  • とにかく書いてある内容をそのまま鵜呑みにする傾向がある人にとっては考えさせられる内容だと思います。受け身で理解するのではなく、自分で考えることの大切さを感じることができました。考える際のポイントがまとめられて良かったです。

  • 本書を読むとニュース記事にペンを入れながら読んでみたくなる。まぁやってないんですけれども。
    ちきりん著『自分のアタマで考えよう』と言いたいことは大体一緒。こちらの方が体系的にまとまっていると思う。
    自分で考えたつもりでも、「(常識的に)そういうものだからそう判断した」ということが多いもの。そう言える根拠はどこにあるか。別の立場に立ってみたらどう見えるか。

  • - 多分咀嚼しきれてないので、またどこかで読む。
    - ***
    - 複眼思考とは。また、なぜ重要か。
    - 複眼思考とは、ありきたりの常識や紋切り型の考えかたにとらわれずに、ものごとを考えていく方法のこと。   
    - 「常識」にとらわれないためには、何よりも、ステレオタイプから抜け出して、それを相対化する視点を持つことが重要。   
    - 知識も大切だが、「正解」がどこかにあるという発想からは複眼思考は生まれない。
    - 第一章 創造的読書で思考力を鍛える
    - 著者と関わりながら読書するコツ
    - 著者と対等になって文章を読む。書かれたものを不動の完成品だとは思わない。
    - 批判的に読書するためには二〇のチェックポイントがある。
    - その中でも重要なチェックポイントとして以下の四つをあげることができる。
    1. 著者を簡単には信用しないこと     
    2. 著者のねらいをつかむこと     
    3. 論理を丹念に追うこと、根拠を疑うこと     
    4. 著者の前提を探り出し、疑うこと
    - 第二章 考えるための作文技法
    - まず、結論を先に述べ、それから、その理由を説明するというスタイルをとる
    - 理由が複数ある場合には、あらかじめそのことを述べておく。また、説明をいくつかの側面から行う場合にも、あらかじめそのことを述べておく
    - 判断の根拠がどこにあるのかを明確に示す
    - その場合、その根拠にもとづいて、推論をしているのか、断定的にいっているのか、わかるようにしておく
    - 別の論点に移るときには、それを示すことばを入れておく
    - 文と文がどのような関係にあるのかを明確に示す
    - 問いの立て方
    - なぜ、という問いは、考えることを誘発する。
    - なぜを問う「因果関係」を確定するには、三つの原則がある。中でも、第三の原則(他の条件の同一性)が重要。
    - 原因だと思われている要因が、じつはあまり重要でない場合(疑似相関)に着目する。そのためには、原因以外の要因が影響を及ぼしていないかどうかに目を向ける。他の社会や組織、違う時代との比較が有効なヒントを与えてくれることがある。
    - 問いの展開
    -  最初のグループを複数のサブグループに分ける
    - 「なぜ」と「どうなっているのか」の組み合わせで問いを展開していく。
    - 問いを分解する場合には、どんな要因の影響があるのかを見当をつけながら分けて いく
    - 禁止語のすすめ
    - 使われる文脈を離れて、ひとり歩きをするビッグワード、マジックワードといえるのだ。  そこで、このようなことばを使用禁止にして、問題を考えてみる。
    - 別のことばでいい換えると、まどろっこしさを感じることもあるだろう。実は、まどろっこしいと感じた分が、そのキーワードを使うことで、考えずにすんでいる部分を示しているのである。
    - 概念
    - 概念はサーチライトである。新しい概念の発見によって、新しい問題が見えてくる。
    - ケースのレベルと概念のレベルの使い分けによって、問いを展開する。これは、問題の一般化と具体化ということに対応する。   
    - 二つ以上のケースを比較することで、両者に共通する特徴を概念としてつかみ出し、概念のレベルで原因と結果の関係を表現し直してみる。   
    - 概念レベルで考えた原因と結果の関係を他のケースにあてはめてみる。
    - 抽象化思考
    - 目の前の問題(事象)は、どのような要因(要素)の複合かを考える(=分解)。
    - それぞれの要因の間にはどのような関係があるのかを考える(=相互作用の抽出)。
    - そうした要因の複合の中で、問題としていることがらがどのような位置を占めているのかを考える(=全体の文脈への 位置づけ)
    - 意図せざる結果・抜け道の誘発
    - これから行おうとしていることが、どんな副産物を生み出す可能性があるのか。その波及効果をなるべく広い範囲で考えておく。ひょっとしたらその副産物によって当初の意図がくじかれてしまう可能性がないかどうかを考えたうえで実行に移す。
    - やろうとしていることに抜け道はないかを考えておく。抜け道があった場合、そういう手だてを使う人がどういう人か、それによって、当初の計画がどのようなダメージを受けるかについて考えておく。
    - 自分たちのやろうとしていることは、それぞれが集まった場合にどのような意味を持つのか。他の人や組織も同じようなことをした場合、全体の影響はどのようなものになり、それは当初の意図とどのようにずれてしまう可能性があるのかを考えておく。
    - 計画や予測を立ててそれを表明すること自体が、その計画や予測にどのように跳ね返ってくる可能性があるのかを考える。
    - メタを問う方法
    - 「なぜ、それが問題なのか」に着目することによって、ある問題を問題と見なす視点は何かをとらえる。
    - 同じようなことがらでも、問題にする視点によって問題のとらえかたや問題のしかたが違ってくることに注目する。
    - ある問題がクローズアップされることで、隠れてしまう問題がないのかに目を向ける。
    - さらに問題の文脈に目を向けるための方法として、
    - (a)ある問題を立てることで、誰が得をするのか損をするのかに目を向ける
    - (b)当該の問題が解けたらどうなるか、を考える。

  • 例示も豊富でわかりやすい。
    何度も読んで血肉にしたい。

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著者プロフィール

オックスフォード大学教授

「2023年 『新・教育の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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