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感想・レビュー・書評
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(受け取ったメッセージ)
テーマは「寂しさ」
一文目「寂しさは、鳴る。」
誰かと繋がることによって、寂しさが紛れるのかと思いきや、自分の何にもなさが際立って、余計に寂しくなったり、自分を嫌いになったりする。若い時にはよくそう感じることがあったことを思い出した。
(あらすじ)
ハツ、にな川は2人ともクラスで浮いている。ハツとにな川はオリちゃんというモデルを通して交流していく。自分より下に見えたにな川に、眼中にない扱いをされ、また、にな川はオリちゃんに夢中であるというアイデンティティとも言えるものがある。同じように浮いているように見えて、その実、もちろんだが中身はちがうのだ。
(感想)
印象的なたとえ、はっきりしない、できない部分に、純文学らしさを感じて好きだった。いつでも自分は自分を見ている。モニターしている。
他者(友達、家族、先生…)=出会う全ての人は
大なり小なり、自分の言葉や態度の一部を吸収して何かを返してくる。
それに対応するのは、やはり自分自身なのである。
若い時は特に他人の目が気になり、歳をとると図々しくなるというが、それは時間を経てだんだん自分を見慣れてくり返しの感情に慣れてくるからなのかもしれない。
そんなことを考えた。
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綿矢りさ、好き。
解説者曰く、感覚が鋭い。確かにそうだと思う。冷えたにな川の部屋からベランダに出るシーン。夏だと思った。鮮やかで爽やかな夏ではなく、だらっとした夏。季節をこんな風にかけるのって羨ましいなあ。
にな川が気づいていないはずないのに、なんで蹴られたことを確かめないのだろう。自分の世界に関係ないから?
長谷川はクラスに馴染めない。馴染もうとしない。自分の高校時代を振り返ると、長谷川ほどではなかったけどこんな日、こんな時期もあった。人間の趣味が良い、という皮肉。もやもやするけど、鬱屈とした精神はあの頃にしか経験できなかったのかと思うと懐かしい。気高いのかな。実際自分が長谷川の状況ならかなり苦しいとは思うけれど、なにか惹かれるところがある。
追記
長谷川は蜷川のことを「にな川」と認識している。漢字を知らない、覚えようとしない、というところには長谷川の幼さが現れているのだろうか -
これを19歳で書いたのか…
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痛いの好きだったら、きっと私は蹴りたくなくなるだろう。だって蹴っている方も蹴られている方も歓んでいるなんて、なんだか不潔だ。
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結局ハツはにな川に恋をしていたのか?
本当に困る姿を見たかっただけなのか
行間を読むのが難しいけど、私も痛い人間なので共感できる部分は多かった -
昔に、お兄ちゃんがよく読んでた、ようなイメージがある。
なのに私は読むのが初めてで、どうして兄がこれをよく読んでいたとインプットされているのかすらやや不思議である。
ただ、あの苦さ。きっと誰にでもは分からない。明確な境界線のこちら側の人間しか。
兄は、どちらの人間だったんだろうか。予想はつくけれど。 -
(kindle unlimited利用)
ちょっとひねくれた高校生の青春小説。あまり深刻な方まで行かないのがこの作者の特徴か。主人公に共感できれば面白いのだろう。残念ながら年寄向きではない。といっても全くつまらないわけではない。 -
10年ぶりくらいに読んだ。蹴りたい気持ちは愛情表現だと思いこんでいたのだけれど違うのだろうか。
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久しぶりの再読。冒頭以外ほとんど忘れていたので素直に読めた。青春だけどちょっと違う青春。ここまで考えて生活してたらもっと違う世界も見えていたのかなーと自分に置き換えてしまった笑