稲盛和夫 最後の闘い (日本経済新聞出版) [Kindle]

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  • 稲盛和夫のJAL再生に関する記録です
    肝はお得意の「アメーバ経営」ですが、稲盛節的な経営哲学に基づくJAL再生の道筋がすごい

    特に
    「数字にはすべて理由がある」
    「当り前の規範に従って経営を行う」
    あたりは参考にしたい

    また、あくまで本人の著作ではなく、周囲から見て客観的な目で分析してすくい上げられる経営哲学というのもまた面白い

    【引用】
    「自分は今日、会社の利益に貢献したのか、それとも赤字を作ってしまったのか」が一目で分かるようになった。稲盛が編み出した「アメーバ経営」の威力である。
    「日本企業のリーダーは、もっと強い意志力で会社を引っ張っていかなければならない。経営には格闘技と同じように闘魂がいる。闘志なき経営はダメだ。経営者は、自分の会社を何としても立派にしてみせる、という闘魂を燃やしてほしい。」
    「予算」という言葉には「消化する」という官僚的な思考が潜む。
    アメーバ経営では、リーダーに「自分のアメーバ(小集団)の数字は、すみからすみまで把握しろ」と教える。
    「ウソをつくな、正直であれ、欲張るな、人に迷惑をかけるな、人には親切にせよ。子どもの頃親や先生に教わった人間として守るべき当然のルール。そうした『当たり前』の規範に従って経営も行っていけばいい。」
    「不平不満を言う前に、まず自分が頑張ってみたらどうや」  JAL再生で稲盛が一番言いたかったのは、おそらくそういうことだろう。
    稲盛は常々、人間を3つのタイプに分けて考える。自分のように常に新しい目標を見つけて行動を起こす「自燃性」、隣に燃えている人間がいると燃え移る「可燃性」、何をやっても火がつかない「不燃性」の3つだ。
    なぜ収入が減ったのか。なぜ費用が増えたのか。数字にはすべて理由があるはずだ。それが分かれば、次の手が打てる。だが天気や景気のせいにした説明では、対策の立てようがない。それでは経営にならない。
    水道。上下水道がなければ生活は成り立たないわけですから、水道は社会にとって絶対に必要なサービスです。その事業が赤字、というのはどこかに矛盾があるのです。必要な製品やサービスを手がける組織は黒字にならなければおかしい。
    「問題が起きたら、部下任せにせず、自分が動け。自分で決めて、自分でしゃべれ。その姿を見て部下が育つ。それがリーダーだ。」
    「京セラは『ものづくり』しか知りません。『井の中の蛙、大海を知らず』です。『されど天の深さを知る』。ものづくり、という1つのことを極めれば、真理にたどり着ける。」
    経済を活性化し、国民の生活を豊かにするのは官による「規制」や「補助金」ではなく、民による「競争」である。

著者プロフィール

大西 康之(オオニシ ヤスユキ)
ジャーナリスト
1965年生まれ。愛知県出身。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に『稲盛和夫 最後の闘い JAL再生にかけた経営者人生』『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(以上、日本経済新聞出版)、『三洋電機 井植敏の告白』『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(以上、日経BP)、『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』(新潮社)などがある。

「2021年 『起業の天才!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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