或る少女の死まで [Kindle]

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著者 : 室生犀星
  • 2013年10月22日発売
  • Amazon.co.jp ・電子書籍

或る少女の死までの感想・レビュー・書評

  • 小川洋子さんのラジオを聞いていたら「蜜のあわれ」について取り上げられていて尻についての素晴らしさを滔々と雄弁に語る描写やそのロリコン文学さにこの作者はとんでもないものを持ってるに違いないなと思い立ち、さっそくこの作品を手に取るにあたった訳だが、見事であった。

    p34彼女は明るいつやつやした目で私を見上げた。誰でも一度は、この子のように美しい透明な瞳をしている時期があるものだ。五つ六つころから十六、七時代までの目の美しさ、その澄みわたった透明さは、まるで、その精神のきれいさをそっくり現わしているものだ。すこしも他からそこなわれない美だ。内の内な生命のむき出しにされた輝きだ。 それがだんだんに、宛然、世間の生活に染みてゆくように、すこしずつ濁ってゆき、疲れを感じるようになり、ねむれなくなってゆくのであった。私はいまこの濁った自分のひとみの中にうつした瞳を、その瞳の清浄な光によって、いくらか洗われているような、清さを伝えて貰えるような気がした。

    p46私はこのあどけない子供を見ない日は、寂しい心がした。なにかしら温かい特別な空気が、いつも平和に彼女をつつんでいるようであった。

    p48「あのふじ子さんという女の子を見ていると、僕らと人間の種類が異っているような気がするね。」 感傷的なかれはこう言葉を添えて言った。「そうだね。余りに清浄なものと、余りに涜れたものの相違は、ときとすると人間の隔離を遠くするね。」

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