宮本武蔵 01 序、はしがき [Kindle]

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  • 2013年10月22日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 歴史モノの古典にして日本における宮本武蔵像を創出した作品であると思う。しかしわたしはこの作品を、バガボンドから入って読んだので、武蔵のイメージの違いに驚いた。バガボンドの武蔵はもっと超然としていてともすれば非人間的ですらあるのだが、この宮本武蔵はゆうほど非人間的ではない。逃げるし、必殺技みたいなのを使うし、大衆小説というか…小説らしい脚色を多分に受けていると感じた。あとからWikiみたところによればこの作品は菊池寛と直木三十五の武蔵論争に端を発するとのことなのでそのあたりの影響を受けているのやもしれない。作品としては非常に読みやすい読み味で、時代劇としての洗練度の高さを感じた。

  • 若き日、青春小説として何度も読んだ吉川英治の「宮本武蔵」を、時を経て、なぜかまたもう一度読んでみたくなった。

    ・・・やはり、吉川英治の渾身の一作、読めば読むほど感動も深みも使わってくるという実感だ。

    青空文庫では「序」として一巻設けられているが、その序には、「私というものの全裸な一時代の仕事であったことにまちがいはない」と著者は本作について記している。

    著者もまた、作家として自分自身のすべてを投入して書きあげた作品なのだ。一剣を磨く武蔵は、筆才を磨く著者自身だったかもしれない。

    発刊当時の序(「旧序」と記されている-S11.4 草思堂にて)には、「あまりにも、繊細に小智に、そして無気力に髄している近代人的なものへ、私たちの祖先が過去には持っていたところの強靭なる神経や夢や真摯は、人生追求をも、折には、甦らせてみたいという望みも寄せた」とある。

    また、「はしがき」では、「宮本武蔵のあるいた生涯は、煩悩と闘争の生涯。この二点では現代人もおなじ苦悩をまだ脱しきれてはいない。」とし、「(そのような)人間宿命を一個の剣に具象し、その修羅道から救われるべき『道』を探し求めた生命の記録が彼(=武蔵)であった。」と述べている。

    「煩悩と闘争の生涯」は、人間としての宿命的なものであるから、いつの時代の読者であっても、また読者が何歳になろうと、武蔵はその心をつかむのだろうと思う。

    著者は、武蔵の剣について、こう述べている。
    武蔵の剣は、「殺」でも「人生呪詛」でもない。「護り」であり、「愛」の剣である。自他の生命のうえに、厳しい道徳の指標をおき、人間宿命の解脱をはかった哲人の道である。

    とにもかくにも、この著者の思いを頭の片隅にしっかりおいて、もう一度、武蔵とともに剣の修行に出てみよう。

  • 全8巻を読みまして。青空文庫で読みましたが、全く古さを感じさせません。元が新聞小説ということもあるのでしょうか、リズム良くすいすい読めます。
    主人公の武蔵を始め、脇役までキャラクターが立っており、最後まではらはらどきどき一気に読ませます。名作ですね。
    ちなみに、知らずに読んでいたのですが本書は漫画「バカボンド」の原作でもあるらしい。武蔵が、小次郎が、お通、又八、お杉婆が、漫画で見れるとは…。こちらも何とも気になるところです。

  • 全8巻読了。バカボンドの原作として無料の青空文庫にあったので読んでみた。

    吉川英治は面白い。多少途中間延びしたが、巌流島のラストの読後感は良い。

    よく映画化された小説は、その映画より面白いというが、漫画も同じかもしれない。今度は五輪の書でも読んでみよう。

  • まさにはしがき。数ページです。
    しかし、読み飛ばすにはもったいない内容。

  • 何故か序文のみ別れてほんの少し。高校時代に挫折した三国志以来の挑戦、吉川英治。楽しみ。

  • 世の男性諸氏にとっては「宮本武蔵」という名前は何らかの憧れをもって語られることが多いのではないかと思うのですが、残念なことに(?) KiKi は一応♀なので、これまでの人生の中でさほど彼という人物に興味をもったことがありませんでした。  時代小説・歴史ものは昔から好きだったうえに「吉川英治の宮本武蔵」とくればそこそこ評判も良かった作品なので、文学作品としての興味は辛うじて持ちあわせていたけれど、それ以上でも以下でもない・・・・・・そんな感じでした。

    ま、その程度の興味なのでこの「吉川・宮本武蔵」は大学時代に斜め読みでサラサラッと一読したことはあれど、恐らくあまり熱意を持って読んだという感じではなかったのでしょうね。  正直なところ、さほど感銘を受けたとは言い難い読書だったうえにどんなお話だったのかもうろ覚え状態でした。  ま、逆に言えばその程度の「いい加減読書」しかしていなかったということもあって、以前から「機会があればもう一度読んでみよう」という思いだけは抱き続けてきた作品でした。

    今回、Kindle で無料本として Get できたのはそういう意味では KiKi にとっては「神の恩寵」と言っても過言ではないような出来事で、迷わず最初のダウンロード本として選んでみました。 

    「三国志」の方もそうだったけど「01 序」は本当に序文だけ・・・・・(笑)  でも、ここを読んでみると作者「吉川英治さん」がこれらの作品・その世界観・登場人物たちにどんな想いを抱いているのかがじんわりと伝わってきて、それが作品を読み進めていく中であたかも地下を流れる伏流水の如く、表面的には何ら声高な主張はしていないものの、「なくてはならないもの」「作品に流れるある種の生命線」のようにじわじわと伝わってくる感じがします。  と同時に、イマドキの本では滅多に味わえない何とも深みのある語彙選択・日本語のリズム感の美しさみたいなものが感じられます。

  • 本当に序章のみ。前書き。

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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