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- / ISBN・EAN: 4988105068070
感想・レビュー・書評
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EVA
2011年 スペイン 94分
監督:キケ・マイロ
出演:ダニエル・ブリュール/クラウディア・ヴェガ/マルタ・エトゥラ/アルベルト・アンマン
2041年、ロボット科学者のアレックス(ダニエル・ブリュール)は、10年ぶりに故郷に戻って来る。彼が10年前に中断した子供型ロボットを完成させるため、恩師ジュリア(アンヌ・カノヴァス)に呼び戻されたのだ。10年前、何もかも捨てて海外へ渡ったアレックスは、同じくロボット科学者で今は大学でロボット製作を教えている元カノのラナ(マルタ・エトゥラ)と再会するが、彼女はアレックスの兄でやはりロボット科学者のダヴィッド(アルベルト・アンマン)の妻となっていた。子供型ロボットの感情研究のため、モデルとなる子供を探していたアレックスは、偶然みかけたエヴァ(クラウディア・ヴェガ)という個性的な少女を気に入り声をかけるが、彼女はラナとダヴィッドの娘で…。
珍しいスペイン産のSF。舞台になっているサンタ・イレーネは、スペインにこんな寒そうな場所あるの?と驚くほど雪深い。物語の中は終始、雪景色。基本的にはSFなのだけど、近未来とはいえ街の風景などはとくにSFちっくではなくごく普通。外観が研究所ぽいアレックスの実家も、内装はヨーロピアンクラシックで、むしろちょっとレトロな70年代くらいの雰囲気さえある。(パーティ会場で流れている曲はデヴィッド・ボウイの「スペイス・オディティ」だし)
なので科学的、専門的な知識など難しいSF要素はあまりなく、アレックスがロボットに魂をふきこむ描写などは、科学者というよりほぼ魔法使いか錬金術。当たり前に日常生活の中にロボットがいる(アレックスが連れている猫ロボット、執事的なお世話ロボットなど)という以外に未来的要素はなく、どちらかというとファンタジーの雰囲気。
どうやら天才の弟アレックスに劣等感を抱いていたらしき兄ダヴィッドは、弟がいなくなったあとまんまとその彼女ラナを妻にし、可愛い娘エヴァも生まれている。しかしアレックスとラナはお互いに未練がある。アレックスにとって姪であるエヴァはアレックスに懐くが、なぜかラナはアレックスがロボットのモデルにエヴァを使うことを嫌がっている。ついにその理由をラナがアレックスに明かしたとき、それを盗み聞きしたエヴァは…。
タイトルがエヴァの名前である以上、正直オチというか真相の予想は簡単についてしまうのだけれど、問題は、そこからどういう結末に持ち込むかのほうで、正直ちょっと意外な展開だった。いわゆるアシモフの「ロボット三原則」は、言及されずとも当然この世界でも有効で、ロボット科学者はロボットに対して最終兵器ともいえる共通ワードを作っている。序盤から何度か繰り返される「目を閉じたら何が見える?」という言葉。人間に危害を加えるロボットは存在を許されない。しかし…。
個人的にはあまり納得のいく結末ではなかったのだけど、リリカルSFとしては秀逸な世界観だったと思う。10歳のエヴァ役のクラウディア・ヴェガは、とても可愛いのだけど、かなり顔立ちが大人びていて、言動は子供のそれなのに表情がまるで大人なのがちょっと違和感。設定を考えたら、ラストで泣かすためにも、もっといかにも子供っぽいタイプのほうが良かったような気がする。アレックスに助けを求める場面も、色仕掛けみたいに見えてちょっと微妙だった…。
ダニエル・ブリュールは、ドイツ人俳優なのにスペイン語で演技しててすごいなあと思いながら見ていたのだけど、後で調べたら、お父さんはドイツ人だけどお母さんはカタルーニャ人でスペイン生まれ、スペイン語・英語・フランス語・カタルーニャ語までぺらぺららしい。びっくり。 -
珍しいスペインSF。
美少女アンドロイドを描いたファンタジーSF?と思ったら意外と重い話だった。
ただアンドロイド役の女の子はすっごい美少女。
筋はシンプル、「バレたらお終い。」
もう一捻り欲しかったかな。
ロボット三原則は生きているし、製作者が生殺与奪の権限を持つのもアトムや火の鳥の頃から変わってない。
改めて手塚治虫の凄さを感じると同時に日本でこのくらい叙情的なSFをなんで作れないんだろうと思う。
だってほとんど特撮ないんだよ?(猫はCGなんだろうけど)設定だけがSF。でも良かった。とても良かった。 -
オープニング映像がとても規律正しい美しさに満ちていて、ロボットではなくアンドロイドにおけける思考回路というか頭脳に当たる部分はこんな風に美しさに満ちているんだろうか?…と想像してしまう。
明らかにCGだと分かっているけれど、近い将来こんな風に小動物型の「Siriの進化版」的なロボットを連れて歩くような時代がやって来るんだろうな。とても面白い。
スマホも投影型ディスプレイを装備してて、家事をするアンドロイド、クルマのダッシュパネルもシステムパラメータ的で面白いですねぇ〜それでも家屋や調度は昔のままなのがいいです。最先端のデザインや技術って旧来の生活空間には不釣り合いなほど洗練されてたりしますもんね。現実にはこんな風に部分的な導入が望ましい気がします。
スペインにこんな雪深くなる地域があるんだね。南欧だから雪なんて降らないんだと勝手に思ってました。
家事アンドロイドの感情レベルを下げるシーンはとても面白いですね。まるで五月蝿過ぎるボリュームを下げるような作業でした。ちょっとしたシーンですが、リアリティを感じます。プログラミングの様子はアイアンマンっぽいですね。こんな風に目の前の空間に投影したエレメントを手に取り組み合わせる…もうこういう事が出来るようになっているんですかね。とても興味深いです。
強制終了の言葉に憂いがあって感傷的来させますね。あくまでもSFなんですけど、未完成だからこその揺らぎや儚さを描いているのかな…愛して止まない存在を倫理と節度を持って消去する。愛しているからこその決断…キツいです…でもそこで決断できないとより深い傷を負うのでしょうね。とても良い作品でした。 -
とても好きになる作品。
豪雪地帯の雪が暖かさを醸し出しているようにも思える。
登場人物同士の関係性はよくあるものなのだが、Evaがいることで全く変わってしまう。
とにかくEvaが魅力的。
女の子の役者さんは天才は間違いなくそれを超えている。
ロボット研究者の気を引くに値する少女。
また、このような演出が出来るのは凄い。
最初のシーンがここで使われるのかと言うのは、使われるシーンを見たらすぐわかるのだが心臓がぎゅっと掴まれる。
ハリウッド映画みたいな使い方とは全く違い、ストーリーに深みを持たせている。
最後に他の一般的なレビューにもあるが映像美は凄い。脳みその機能を抽象化したものも凄いし、気づかないようなところに使われているCGのレベルも高い。
総じて素晴らしい作品でした。 -
最後どういう意味なんだろ・・・
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エヴァは可愛らしくていつまでも見ていられるような魅力的な子だったけど、主人公のアレックスに全然共感できなかったなあ…。
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兄貴……。兄貴が得たものって、疑心と劣等感に苛まれた10年間だけやん。唯一の取り柄は、弟よりハンサムに生まれたことだけだし(自称)
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感情を持つロボットの記憶の消去は人間じゃないとわかってても悲しい。人間にとっての心の拠り所になる反面、倫理的問題にも目を向けなければならないと思った。
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スペインの新鋭キケ・マイヨ監督が手がけ、2012年ゴヤ賞で新人監督賞ほか3部門を受賞したSFファンタジードラマ。2041年、ロボット科学者のアレックスは少年型アンドロイドの開発に着手する。かつての恋人で、いまは兄の妻となったラナの一人娘、エヴァをモデルにアンドロイド作りを進めるアレックスだったが、アレックスとエヴァの間には、ある共通の秘密があった。
グラフィックデザインが非常に美しい。AIの設定を触るときのホログラムがシャンデリアのようでグラフィックアートだった。AIの感情レベルを操作する設定もとてもおもしろいものだった。
ストーリーについては、そんな事故が起こりうるほどに危うい設定になるだろうか、といった疑念が少し残った部分はありました。
AIのリスクに一石投じた形の作品。 -
キケ・マイーリュ監督、ロボット学者が主人公の近未来SF作品です。スペイン映画らしい美しい画面作りと情緒ある会話がロボットのメンタルモデルを作るという主題ととても合っていて微笑ましさと切なさの塩梅が素敵な作品です。
ロボットのメンタル構造が吹きガラス型だということと終盤にわかる台詞の所以がよく響いているので是非傾聴していただきたいところ。 -
名作名作名作!素晴らしいの一言につきる作品。SF、ロボット、近未来が好きなら見るべし!オススメ!
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かなり結末に不満があります。
ロボット開発のシステム的な部分が
かなり曖昧にされています。
なので、その辺のマザーボード的な
物質構築はどうなってんの?と
かなり緻密な世界構築を作品に求める御仁には
序盤でツッコミどころ満載です。
ロボットの感情や意思の開発・構築の
難点というものをクローズアップさせたかった
のかもしれませんが、
それにしてもの結末なので、
なんというか、ロボットの感情構築にまつわる
映像化がまあ綺麗なだけに
残念なしめくくりです。
バッドエンドストーリーに耐えられる
感情のときに、
ひとつロボットもののアイデアを得たいときに、
割り切ってみること~!