闇金ウシジマくん27 2013
『闇金ウシジマくん』(やみきんウシジマくん)は日本の漫画家である真鍋昌平による漫画。2004年から2019年まで『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で不定期連載された。
2010年10月より、山田孝之主演で毎日放送(MBS)の制作によりテレビドラマ化され、その映画版が2012年8月25日より公開された。また2014年1月にはドラマの新シリーズが放送された他、5月16日には新作映画が公開された。詳細はテレビドラマの記事ならびに映画の記事参照。
概要
10日5割(トゴ)の超暴利闇金融『カウカウファイナンス』の経営者である丑嶋馨とその従業員の日常と、カウカウファイナンスに訪れる客、およびその関係者の様々な人間模様と社会の闇を描いたストーリー。物語は各エピソードの中心となる人物の視点で進み、丑嶋はそれらの人物に接触する狂言回し的存在である。そのため丑嶋が全く登場しない回も多い。なお「○○くん」というタイトルは、当時流行した「むじんくん」(アコム)、「お自動さん」(アイフル)などのサラ金の自動契約機のネーミングから着想を得ている。
2022年3月時点で累計発行部数は2100万部を記録している。
第56回(平成22年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞作品。
連載を終了した理由として、作者は「闇金業者という犯罪者の視点で描く話に限界を感じていた。『突き詰めて描けば描くほど読者が離れる』」と述べている。その後、弁護士を主人公とした『九条の大罪』を連載開始した
「洗脳くん」編
神堂大道(しんどう だいどう)
本エピソードのキーパーソン。「神堂大道」は偽名。過去には「天見」と名乗っていたが、それも本名か偽名なのかは不明。ある日、まゆみと遭遇した謎の男。愛想が良く、紳士的にまゆみに近付き上原家の家庭トラブルを解決していった。まゆみとの結婚を前提に交際を始めるが、交際が進むにつれて凶悪なDV男の一面を見せていき、まゆみの社会的信用を落とすようなDV行為を働くようになる。
拷問とマインドコントロールによって、資産家である上原家の人々を自身の支配下に置き、その資産を譲渡させようと画策していた(神堂は「上原家全財産没収計画」と呼んでいた)。
計画は順調に進んでいたが、計画の最終段階である不動産売却が難航し、焦れた神堂は上原重則を追い詰めるためにさらに苛烈な拷問を行うが、その結果、上原重則は死亡してしまう。
上原重則の死亡により「上原家全財産没収計画」は頓挫し、神堂は残った上原家の人々の始末と逃亡を計画する。
しかし、柏木羊山の介入と、それをきっかけに起きた上原和子とみゆきの狂気をはらんだ暴走、まゆみの妊娠、資金調達のために選んだ闇金がカウカウファイナンスだったなど、予定外の事態が重なり、最終的にはウシジマによってリンチされた上に、詐欺で得た現金と車を全て奪われる。
その後、過去の詐欺と松田家、上原家の人々に対する所業が明るみに出て逮捕される。裁判では死刑判決が下り、被告人の中ではただ一人だけ上告した。「悪役総選挙」ては3位。
上原まゆみ(うえはら まゆみ)
本エピソードの債務者。ライフスタイル誌「ノマド」の編集記者。28歳。独身。趣味はパワースポット巡り。占い師の勅使川原を慕っており、何かと彼女に相談し、依存している。
以前より交際している恋人の「ハシ」がいるものの、結婚まで踏みきれずにいる。ある日、雹が降った際に、突如現れた神堂から傘をもらったことがはじまりで、その後も(神堂が装った偶然で)カフェやジョギングでの遭遇がきっかけでハシと別れ、神堂と結婚を前提とした交際を始める。
最初は優しかったが、次第に本性を現しDVを行うようになった神堂から逃れようとするも、松田明日香に死体遺棄を手伝わされて、さらには家族まで巻き込んだことによって本格的に逃れられなくなり洗脳されていた。
神堂の命令で、堕胎費用の名目でウシジマから金を借りようとした際、その証明として妊娠検査薬を使用したところ本当に陽性反応が出てしまい、そのころから徐々に洗脳が解けはじめ、最終的には神堂の支配から脱却することに成功する。
裁判では死体遺棄と損壊で起訴されたが、洗脳による心神耗弱が認められ懲役6年の判決を受け、獄中で神堂との子を出産した(子供は施設に預けている)。
その後、編集記者時代の元上司である林を身元引受人として仮釈放され、ビル清掃の仕事をして生計を立てている。
上原みゆき(うえはら みゆき)
まゆみの妹。公務員の旦那カズヤがいる。ガールズバーで働いており、カズヤとはそこで出会った。姉とは仲がいいが、大卒で親戚に期待されている姉と比べて自分は駄目だというコンプレックス、将来うまくやっていけるかわからないという不安があり、そこを神堂に付け込まれる。
神堂の勧めでスナックの老婆の店主が副業として経営する違法デリヘルで働くことになり、そこでウシジマに出会い債務者となった。
部屋に乗り込もうとした柏木を和子と共に殺害し、その後、乗り込んできたウシジマも同様に襲撃しようとするも、ウシジマを助けにきた柄崎や加納らに取り押さえられている。
裁判では心神耗弱は認められたものの、柏木の殺人罪が追加され、懲役28年の判決を受ける。
上原重則(うえはら しげのり)
まゆみとみゆきの父。資産家である上原家の長男であり、広大な土地を所有している。会社経営者でもある。妻の和子とは周りの反対を押し切っての恋愛結婚だった。
家族の中で唯一、神堂の正体に薄々ながらも気付いていたが、それを警戒した神堂に上原家を堕落させた元凶という濡れ衣を着せられ孤立。家族の憂さ晴らしのためのスケープゴートにされてしまう。
上原家の資産を狙う神堂と、洗脳された家族によって拷問を受けている最中に死亡。その遺体は家族によって解体され遺棄された。
上原和子(うえはら かずこ)
まゆみとみゆきの母。ごく平凡な主婦だが、夫との性的関係に全くと言っていいほど満たされていない。それを見抜いた神堂になし崩し的に肉体関係を持たされ、家族に内緒で不倫関係を続けていた。
重則がスケープゴートにされた後は神堂との性交にのめり込んでいき、彼の気を引くためなら娘たちに暴力を振るうことすら厭わない狂信者に成り果てる。神堂に貢ぐ金を一円も稼げていないことを娘のみゆきから蔑まれ、その報復に路上でみゆきを襲って捨てる予定だった人肉団子のカバンを奪うことで彼女の立場を無くそうと画策するが、すぐに神堂に見破られ、彼に誘導されたみゆきによって顔にスピリタスをかけられ火をつけられ大やけどを負い、その後は頭巾をかぶって顔を隠していた。
神堂に、自分に火をつけたのはまゆみと吹き込まれて彼女を襲い、それを止めたウシジマを襲うが、みゆき同様あえなく取り押さえられている。
裁判ではみゆきと共に懲役28年の判決を受ける。
カズヤ
みゆきの夫。婿養子。公務員。
見た目通りの体育会系で物事を深く考える能力に欠け、上の立場の存在に弱い。大麻を「ガンジャ」と呼んで吸っていたりと素行にも問題がある。
学生時代にはラグビー部の主将で、シゴキを率先して行っていた。そのため神堂の支配下において上原家のリーダーとして傍若無人に振る舞うが、拷問中に加減を誤って重則を殺害し、そのことについて神堂に焚きつけられた和子とまゆみによって食事にタリウムを盛られて衰弱し、部屋の片隅に作られたダンボールハウスに押し込まれていた。
殴られても反応しなくなるなど、白痴化して証言能力を失ったと思われていたが、実は自らの血でハウスの中に毎日の拷問を記録しており、それが神堂逮捕の決め手となった。
勅使川原(てしがわら)
まゆみが利用している占い師。本名は麻生川弥生。まゆみからは「先生」と慕われている。
「ノマド」の取材を受けたこともあるが、良くない噂もあり、まゆみに怪しげなスピリチュアルグッズを売りつけ、まゆみと上司との人間関係を言葉巧みに悪化させている。
実は彼女もまた神堂の支配下にあった一人であり、彼女の家族三人も殺害されている。事件解決の後、裁判で死刑判決を受ける。
松田明日香(まつだ あすか)
上原家が軟禁されていたアパートの住人で、上原一家よりも先に神堂に洗脳されている。みゆきが勤めていたガールズバーの元同僚で、神堂の支配から逃れようとしたところでまゆみとみゆきに出会っており、その際に部屋に泊めてほしいと頼むが、みゆきの結婚式前日ということもあって助けてもらえず、すぐに連れ戻されている。
神堂にそそのかされて大麻を吸っているまゆみの画像が入っているスマホを警察に届けないかわりに、死亡した自分の父親の死体遺棄を手伝わせてまゆみを追い込み、また、その後やってきた他の家族にも死体遺棄を手伝わせ、神堂が一家全員を支配するための重要な役割を果たす。
神堂、勅使河原同様、裁判で死刑判決を受けた。
柏木羊山(かしわぎ ようざん)
「学小一家」の構成員で、ウシジマに借金があるヤクザ。「無尽」で入札も無しに全取りするなどのヤクザらしい粗暴さで、周囲からは「死ねばいいのに」と陰口を叩かれている。
デリヘルで出会ったみゆきを気に入り、自分の女にしようとしていた。
出勤日数が減ったみゆきに直接会うために、単身で神堂たちが潜伏していたアパートを訪れる。
その際、ただならぬ事態が起こっていると感じとり、面白半分に首を突っ込もうと玄関に出てきた神堂を押しのけ、アパートに押し入ったところを和子とみゆきに襲撃され殺害された。
後にウシジマがアパートに押し入った際、柏木の携帯電話などの遺留品や遺体の一部を発見した。
延川・辻下(のべかわ・つじもと)
大阪府警捜査一課の刑事コンビ(延川が上司)。神堂が絡んだ詐欺事件を捜査中、参考人たちが主犯の社長よりも従犯とみなされていた神堂(当時は天見と名乗っていた)に反応していたことに疑問を持ち、かつて神堂が根城にしていた部屋を捜索し、電源タップや大量のペットボトルの水と粉ミルク缶などの遺留品を発見。そこから、この事件は単なる詐欺事件だけではないとの確信を強めて捜査を続け、最終的に東京に潜伏していた神堂にたどり着き、彼を殺人容疑で逮捕した。
作中でも述べられているが、詐欺事件は捜査二課の担当であり、捜査一課の刑事が直接担当することは本来ならばありえない(神堂に殺人や傷害の容疑がかかっていればその限りではない)。
ハシ
物語開始時のまゆみの彼氏。セレクトショップでアルバイトをしているフリーターで「自分の店を開く」と大言壮語してまゆみにたかり、その上でまゆみの友達・ユカリと浮気している。後にカズヤにより暴行を受け、その際の動画を取られた上で神堂に200万円を奪い取られた。
林
まゆみの上司。「ノマド」の編集長。37歳。独身のキャリアウーマン。まゆみを高く評価しており責任のある仕事を任せるが、神堂に洗脳され無断欠勤が続いた上に、不正を行ったまゆみに解雇を通告する。ただ、その後もまゆみを心配し、終盤でまゆみの釈放時の身元引受人になったことがまゆみから語られている。
岸田可奈子
上原家の後で神堂の標的となった女性。埼玉の資産家の娘。子供がいるが離婚しており、慰謝料や月20万円の養育費などを受け取っている。そうした背景から神堂に狙われ、まゆみと同様に洗脳されてゆく。最終的な結末は不明。
莉子
エピソード終盤で新堂の標的となった女性。神堂からプロポーズを受け、言いなりに200万円を渡すが、その直後に神堂が逮捕されたため、みゆきたちのような洗脳は免れた模様。
以上のようにWikipediaで紹介される作品。
真鍋昌平氏による著作。
週刊ビッグコミックスピリッツ2012年第48号〜第51号、2013年第1号〜第4・5合併号、第8号〜第11号掲載作品。
2013年3月5日初版第1刷発行
電子書籍制作会社 株式会社昭和ブライト
洗脳くん14~25
冒頭から神堂によるまゆみさんへのDV。
いきなりきつい場面だ。
どんな理屈を語ろうがDVは肯定されない。
全て屁理屈である。
極端に優しく極端に怖い人間は異常者なのだ。
それはおかしいので即座に離れる判断をしないといけない。
長期的に接しないと見えてこない人間性というものがある。
神堂大道の語る台詞には頷ける点もあるけれども、その行動が全く持って許しがたいものである。お前がその台詞をしゃべるな。この男は偽善者だと言いたい。
やはり半グレ、ヤクザのごとく何も言わず殴るべきだなこの異常者は。
神堂大道は鰐戸三蔵作成のお仕置き椅子に座らせて拷問させるべきだ。
巧みに嘘や誇張、偽りの死体遺棄行為などを強制させコントロールしていく。
松永太死刑囚を想起させる手法だ。
ちょっと闇金ウシジマくんっぽい話ではないのが逆に驚く。
違う漫画を読んでいるような気になってくる。
印象の残った点
(離婚の)原因は何?どうせ旦那の浮気かDVでしょ?
たしかに暴力男は嫌だよな。
でも婚約破棄で自分の評価が下がるのも嫌。
あなたなどいなくっても機能するのが会社です。
今あなたがしている事は誰がやっても同じです。
愛の反対は憎しみではない。無関心だと。
たいていの日本の家族は家族の会話を垂れ流しのテレビ番組に奪われ、コマーシャルで刷り込まれた必要のない物を買い続けてお金がないのです。
なぜテレビを観るのでしょう?
面白いからです。スペシャリスト達が人の関心に寄せて面白くする努力をして番組を作るから当たり前です。
親の世間話がテレビタレントに敵うはずがありません。
子供に面白く話す努力も、人に語れる面白い生き方もしてないから当然です。
たいていの人間が取るに足らないくだらない人生をさも大層な顔をして生きているのです。
伝えるべき言葉はテレビに。
教えるべき事は学校と先生に。
何もかも他人任せ。
現代の家族とは、同じ家に住んでいるだけの同居人です。
親は子供の相手をするのが面倒くさいからアニメを垂れ流しテレビゲームを買い与え勝手に遊ばせているのです。
心と心が触れ合うような関係性を築く手間を省き、ただ一緒にいるだけの無関心。
我慢のコントロールもコミュニケーションスキルも学ばない子供は集団に馴染めません。
褒められた経験も失敗して許される経験も少ない子供は自信もないまま、年齢だけ大人になって社会に放り投げられます。
本当は話を聞くだけでいいのです。
人は話が通じる相手なら、自分の事を話したいのです。
自分の事を知って欲しいのです。
自分の事を分かって欲しいのです。
わが国の解剖率は世界的に見ても驚く程低く、死因救命システムは貧弱であり、その結果犯人をを捕まえられそうな死体は事件扱い。
無理そうなら自殺か不審死扱いが現状なのです。
2023/11/23(木・祝)記述