喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima (講談社文庫) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
4.18
  • (32)
  • (20)
  • (12)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 292
感想 : 33
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (304ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • こんな世界が、こんな生き方があるのだなと驚きと興奮をもちながら読みました。
    ちょうど同じような境遇の娘と主人公と重なり、理系研究者の頭の中そして心のヒダがようやく少し分かったような気がしました。

    そして、「えっ⁈」っと思わず呟いてしまった、幾許かの余韻を残すミステリアスな締めくくりはさすが!!
    恐れ入りました。


  • Fの店名の由来にもなっているぐらい
    私が傾倒している作家である森博嗣

    「すべてがFになる」との出逢いから
    100冊以上読んでるけど
    私的、森博嗣作品の最高峰でもある本書


    約10年前に出版されてるけど
    かれこれ、もう5回目ぐらいの再読

    気持ちを落ち着かせたい時には
    必ずココに戻ってしまう


    森先生の自叙伝的作品


    子供の頃から、勉強が嫌いで
    疑問に思ったことを
    周囲の大人に聞いても、なかなか納得できず
    いろんな事に失望してた幼少期

    卒論を書くために
    ゼミに配属された時から
    初めて、学問の面白さに気づく

    指導教官である喜嶋先生は
    純粋に学問を愛する人だった


    とにかく真面目で、時間にも厳格
    何事につけても、きっちりしている

    性格は誠実だけど
    直接的な表現をするので
    第三者からは、とかく誤解されやすい


    「普通の人間は、言葉の意味なんかそっちのけで
    言葉に表れる感情を読み取ろうとする

    言葉より、態度を重んじる傾向が強い

    少なくとも、研究者の間で言葉は
    それが意味するところ
    その意味から形成される
    共通認識が全てだ

    感情なんて、ちっぽけなものに流されてはいけない」


    何度読み返しても
    この部分には、感動させられる


    「『学問には王道しかない』

    この王道が意味するところは
    歩くのが易しい近道ではなく
    勇者が歩くべき正しい本道のことだ」


    この一言の響きのおかげで
    一人前の研究者になれた



    「どちらへ進むべきか迷った時には
    いつもどちらが王道かと考えた

    概ね、歩くのが難しい方
    抵抗が強い方、厳しく辛い道の方だった

    困難な方を選んでおけば
    絶対に後悔する事がないということを
    喜嶋先生は教えてくれたのだ」


    側から見たら、ひたすら変人な喜嶋先生だけど
    人並みに恋もする 笑

    計算機センターのマドンナに一目惚れし
    プロポーズした件では
    毎回、吹き出してしまうホッコリさがある


    純粋に、学問と向き合い
    学問を愛した喜嶋先生



    ミステリーでも、エッセイでも
    一貫して同じ事を言い続けている森氏

    喜嶋先生からの教えを
    学問とは、全く無縁に過ごしてきた
    私に伝えてくれる

    読書を趣味としてて
    一番痺れる瞬間だ









    #喜嶋先生の静かな世界
    #森博嗣
    #自伝的小説
    #何度も再読
    #安らかな気持ちになる
    #来世では研究者になろう笑

  • ⚫︎静かであるけど、熱く心に残る

    様々な解釈があると思うが、
    「喜嶋先生はフィクションであった」と私は感じた。

    この本の作者である、森博嗣のエッセイ「静かに生きて考える」では、自分が影響を受けたものに対しては 他人には語らず、そういう人がいるんだなと俯瞰するような人。

    清水スピカ=星=消えない
    フィクションであるから先生と櫻井さんもなにかしらの手法で「消す」しかなかった。

    とても面白かった。

  • 何かに熱中できる人はいいなーと思いながら読んでいたけど、その「何か」を見つけるために研究者も山を登っているんだなー。何を問うのか、それが一番難しい。喜嶋先生も面白いが主人公も大概で、スピカさんは大変だ。

  • 大学生のうちに出会いたかった一冊
    卒論を一生懸命書いていた少し前を思い出して懐かしい気持ちに浸りながら読了

    淡々と進んでいくもののどこか暖かくて、喜嶋先生に会いたくなった

  • 自伝かどうかはわからないけど、研究に一途な姿がとても感動。森先生だから書ける小説だと思う。しかし最後のアレはないだろう!自分が大学時代に出逢いたい本だな。
    森先生の作品の中で一番好きかも。

  • 森博嗣作品の中でも一番の名著だと言える。
    何度でも読み返したくなる。
    呼吸すらも忘れてしまうほど研究に没頭しているときだけ得られる静かな世界が本当にキレイで羨ましく思う。

  • 研究者の生活をかなり正確に描写している。最後は少し切ない終わり方。

  • 周りに人がいないかのような静かな世界。

  • 風立ちぬのような感じで、人生で夢中になれる時期というのは貴重だということがすごいわかりやすく書かれている。
    10代のうちに読みたかったし読ませたい。

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森博嗣の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
森博嗣
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×