浅田次郎のエッセイ。私自身も「笑える本」として友人から紹介してもらった本だが、爆笑すること間違いなし。
電車の中など公共の場所で読む場合、あるいは会議中や授業中などに盗み読みするような場合は要注意である。トイレ個室などでも、思わず声をあげないよう注意して頂きたい。
本書の原稿は、1994年から95年にかけて「週刊現代」に連載されたものらしい。ということで時代は平成一桁頃にさかのぼる。そう、いまだ記憶に鮮明な「阪神大震災」や「オウムサリン事件」などが何度となく登場するのである。
本書で、浅田次郎という作家を心底好きになってしまったのだが、その理由をいくつか挙げてみたい。
まず、ペン一本でこれだけ読者を号泣させたり、爆笑させることができる作家はなかなかいない。泣かせる、笑えるのレベルならそこそこいるが、号泣と爆笑の両刀使いはそういない。なんというか、感情の奥の部分まで入り込んできて、笑いにも泣きにもトドメを刺しにくる。凄い作家である。
ただ、本書の笑いのほとんどが「下ネタ」であるところはやや反則ではあると思うが、その「下ネタ」の料理方法がまた天才的だなと思う。ゲロネタ、クソネタなど通常は人に語るのをはばかるネタを、うまくコーティングしてかつ、開放的に語っているのに、なぜか不快感が全く残らないのである。
しかもそのほとんどがご自身の体験にまつわるものであるから、まさに体を張って笑いをとる関西芸人以上のセンスを備えておられると感じる。
それでいて、阪神やオウムを語るときの常識論にもうなずかされる。
うーむ、浅田次郎は偉大だ!(笑)