爆速経営 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • あまりに引き込まれ、仕事終わり爆速で読了。 経営危機ではないが、改革トリガーを引くべき企業の状況が、身につまされる思い。もっと早くに読んでおくんだった。 クーデター的な社長交代でなく、孫会長と井上前社長も議論の上での若返りだったと言うが… インタビューには一切答えなかったと言う井上前社長の真意は? だが、身を引いた側の何も語らないスタンスも、潔さをまた感じる処。

  • いち消費者の目線でヤフーの変貌を目の当たりにしてきたので、その裏側で何が起きていたのかを学ぶことができました。

    【メモ】
    ・組織を変えるということは、人のやる気や向上心をどう引き出していくかにある

    ・宮坂氏の組織改革
    ①理念の再定義
    ②明確な目標の設定
    ③戦略を定め、戦術に落とし込む

    ・宮坂流のマネジメントの本質=原理原則で動かす

    ・人事評価制度の要諦
    ①頑張る人が報われるということを社内に周知すること
    ②実際に頑張った人に報いること
    ③どうしたら報われるのか、その基準を明確にすること

    ・最も効果のある人材開発手法は異動

  •  宮坂体制になって500日を追った書。

    「リーダーが判断に迷うのは、目標が明確でないからだ。」ヤフーの目標設定の際にソフトバンクの孫氏が宮坂氏に与えたアドバイスは、確かに本質を突いている。

     …、もう一つ、宮坂氏が工夫を凝らしているところがある。それが冒頭に記したワンフレーズ、すなわち伝え方である。経営方針、改革の本質的な考えを社員にどう伝えるかという点を、宮坂氏をはじめとした新経営陣は徹底的にこだわる。「オンリーワン」「異業種最強タッグ」「未踏領域への挑戦」

    「サービスの不具合を発見すれば、真夜中でも担当者にメッセンジャーやメールで改善を要求する。」井上氏について解説した過去の雑誌記事には、井上氏が事細かにヤフーのサービスを使い、その使い勝手について注文を付ける姿が描かれている。
     そこには、自分こそが最初のヤフーユーザーであり、誰よりもヤフーを愛用する者として、その声を真っ先に社員に届けるユーザーたらんとする矜持があった。ところが、パソコンから携帯電話、そしてスマートフォンへと時代が変わり、いつしか最初のユーザーとしての気持ちが正しいのかどうか、分からなくなってしまった。

    「10倍挑戦、5倍失敗、2倍成功だ」

    「僕らは課題解決エンジンとしを目指し、何よりもユーザーファーストを考える」

     会社の使命を再定義した後、議論はそのままヤフーに必要な戦略へと移った。ここで浮かび上がった多くは、皆が日頃から感じていた課題だった。
    1.強いサービスをより強く伸ばす
    2.補完し合える異業種企業と積極的に組む
    3.飛び地のような事業展開を仕掛ける
    4.スマートフォン事業に力を入れる

     永守さんは、経営者には2つの要素しかないと言うんです。1つは、いかに多くの意思決定をするかということ。もう1つは、いかに早く挫折を経験するかということです。もう、この2つしかないとまで言い切っていた。そのうえで、なるべく長期間にわたって経営者をやることが大事だと言っていましたが、意思決定の数、挫折の数というのは、確かに自分自身の起業経験を振り返ってもその通りだなと。しかも、あれだけ実績を残している人が言うんだから、間違いないだろうと。

     川邊は、金融事業の展開を次のように語る。
    「僕なりに分析したマスメディアとネットの特性というのがあるのですが、まずテレビというのは暇つぶしのためのメディアなんです。何もすることがない時に、ついスイッチを入れてしまうという意味でね。新聞というのは、一面を見て世の中のアジェンダを確認する特性と、逆説的だけど、テレビを見るために見ているという特性がある。テレビ欄がありますからね。
     ではネットというのはどういう特性があるかというと、実は買い物をするメディアなのではないか。これは従来のメディアにはなかった特徴で、極めて特殊なんですよね。多くの人はネットをみながら買い物をしている。」

     宮坂が何よりも驚いたのは、グリーの事業サイクルの速さだった。グリーのソーシャルゲームは原則として無料だが、ゲームを進めやすくするために、利用者がお金を払う仕組みが用意されている。例えば、釣りゲームであればより魚を釣れる釣ざおを購入したり、カードゲームであればより強いカードを購入したりすることで、ゲームを有利に進められる。その課金収入によって儲けているわけだが、それを日次で管理しているということだった。

    「勝負の土俵がスマートフォンになったことで、ヤフーのパソコン時代の経験則はほとんど通じなくなりました。その代わり、従来はあまり意識しなくてもよかった2つの筋力を鍛える必要が出てきた」
     まず何よりも重要なのはスピードである。ここまで書いてきた通り、組織をコンパクトにし、企画立案からサービス具現化までの時間を短縮した。
     もう1つ、スピードアップと同時に、安宅が鍛える必要があると説くのが「察知力」とでも呼べる力である。

     人事評価制度の要諦は3つしかない。
     まず、頑張る人が報われるということを社内に周知させること。
     そして、実際に頑張った人に報いること。
     さらに、どうしたら報われるのか、その基準を明確にすること。

    「フェイスブックからいいアドバイスをもらったのは、会社の価値観をつくるんだった、人事評価にそれを持ってこないと定着しないということでした。ファイスブックは『move fast』といった4つの評価軸があって、それが会社の価値観と直結しているというんだよね。ヤフーには、課題解決エンジンとか、フォーカスとか、いい言葉が出てきているけれど、それは人事評価の中に組み込まなければ定着しないと。あれは、参考になった。」と川邊は振り返る。」
     
     では、最も効果のある人材開発手法は何かというと、僕自身は異動だと結論付けています。

  • 2014/12/29 Kindleで読了、【2014年-40冊目】今や新生ヤフーの代名詞となった「爆速」。注目すべき宮坂体制の裏側が詳細に描かれており、印象に残る言葉も多かった。

    ・経営者にとって最も大事なのは、能力以前に志があるかどうかだ。
    ・ナンバーワンになるためにはゲームのルールを変えていかないといけない。
    ・停滞している組織も、言葉一つでガラリと変わる。
    ・組織の活性化には一つ、絶対に外してはならないポイントがある。「誰かに見られていると本人に意識させることに尽きる」
    ・自分の仕事が見られていると感じることで、仕事に対する明らかな変化が生まれる。

    最近読んだビジネス書の中では一番良かった。機を見て何度も読み直してみたい。

  • 安定した組織を改革するプロセス。分かりやすいが、目新しさはない。

  • 安定した大企業ヤフーが停滞を打破するために、新たな社長のもと経営体制を一新し、経営理念を「課題解決エンジン」として人事の仕組みにまで落とし込み、スピーディーな経営判断のできる組織へと生まれ変わりつつあるドキュメンタリー。

  • かなり面白い。漫然とした停滞感が出てきた企業が、あらためて成長ステージに入っていく挑戦の物語。もはや大企業となったヤフージャパンの改革の内幕はそのリアリティに読んでてもドキドキする。
    著者も言っている通り、道半ばの記録でありリアルタイム感がこの本の面白さでもあると思う。
    「企業の老化は止められない」と同時に読んでみると面白さがまた広がる。いったん老化が始まった企業が、あらためて若返るための方策の実践例。

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