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感想・レビュー・書評
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読み方を間違えた…。
著者の作品を読むのは初めてだったのですが、Kindleのセールにかかっていたので「日本SF大賞候補作」なんてコピーを見つつ購入。
読み始めてみてみると、完全にブツ切れになった短編が連なる形式。哲学的に感じるくだりもあり、雲をつかむような言い回しのところもあり、クスリと笑えるような気もするし、数学なのか量子論なのか難しい気もする。要はちょっと混乱したまま、物語は意外にサクッと終わってしまう。
そして最後に私が気付いたのが、「これ、四つに組んじゃいけない本だ…」ということです(笑
いや、冷静に振り返ってみると「靴下と同衾」とか「床下から大量のフロイトが出てくる」とか、第一部の段階でも既におかしかった!
本著、しかめっ面で真面目に読んだおかげで読了するまで結構な時間がかかってしまったのですが…。いや、この踊る言葉たちを眺めるだけでも良かったんだと思えば、だいぶ楽しい時間になったはずなのに。。
と、思いながら本著の冒頭を改めて読み返してみたのですが、異質な言葉回しに戸惑っていた1周目の時と全く印象が違うのです。これはひょっとすると、2周目も楽しめるヤツでは…?
キャラたちも、その展開も、既に頭に入っているコトもあって、1つ上のレイヤーから眺められると言うか(それこそ、超越知性体?)、2周目を読むことで、作品内の輪廻(では厳密にはないんですが)が繋がって、「過去に向かって撃つ」とかそういった表現がなんとなく理解できるような。。
1周目から楽しく読める方も当然いらっしゃるんだと思うのですが、個人的には2周目をチラ見したことでやっと作品の価値を理解できた(気になった)気がします。2周目前提で☆4つ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
詳細な書評はネットにいくらでも転がっているのでごく個人的な感想を。
短編集の体裁をとっているものの、それぞれの関係はある程度明確かつ余白があるので、余白の情報や関係性をを妄想することを楽しめる人に合っている本と思います。
SFに分類されることが多そうですが、理系的な要素はさほど強くなく、考えることが主眼の哲学的な本だなと感じました。
序章と終章は明確に繋がっているので、2周目がとても楽しいです。 -
『アルファ・ケンタウリ星人』とか言っちゃうあたり、円城塔さんは悪ふざけがすぎる。
でも、なんか刺さるんだよなあ。 -
「イベント」という出来事以来、時空がめちゃめちゃになった世界を舞台に、人間と巨大知性体とやらが攻防を繰り広げる…というような設定の短編集。ひとつ一つの短編は直接繋がっていないけど、関連していて、読み進めるとだんだん話が見えてくる。
純文学のような文体。というかそのつもりで読まないと「早く話進めろよ」と言いたくなってしまう。いわゆるSFだと思って読むと面食らう。
この世界は一体なんなのか、巨大知性体とはなんなのか、後半の第2章から明らかになってくるが、第1章はなかなかちんぷんかんぷんな不思議物語だ。明らかに2度読まそうとしてる。
純文学的SF(?)という感じの新感覚小説で、これは話題になりますよね、という作品。 -
SF的な話題や語句が出てくるのでSFなのだと思われるが、形而上学的な感じや哲学的な感じもする。巨大知性体と人間が存在する世界。知性体を作った人間は、はるか昔にそのレベルを知性体自身が凌駕してしまった。沢山のお話でできてるが、理解できなくてもついつい読み進めてしまう。
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SFの素養もない自分がふとした思いつきで円城氏の本を読んでみたところ、なるほどこれはさっぱり意味がわからない。
わからないなりに根気強く読み進めていくと、ところどころにひっかかる面白さ。これは読んでみないとわからない。しかし読んだところで何がわかるかは保証できない。 -
荒唐無稽の衣をまとった理論。
靴下をはくことは虐待か。
並行世界の妙を表現した不思議。
意味不明と興味深いの間を縫いながら進む物語。
量子的なこと、にアレルギーが無ければおすすめ。 -
理解しないということを、一旦諦めないで読み続けると、じわじわと面白さが分かって来た気がしない。