惑星レンカを襲う第二次帝都震災。そしてセイオ・スミルVSサイテンの激しい攻防。
九死に一生を得たセイオは、これまでの強権的で強引な手法を捨て、災害時に現場が融通しあいながら自主的に動ける草の根ネットワーク作りに勤しむ。
軟禁されていたスミルは、クーデターを起こし、サイテンを倒して国民を救うことを決意する。「一〇日間です。その間だけ、私が帝都を預かります。それから──三月一日、私は退位し、レンカ皇室を廃止します」。「もう容赦はしません。政府を倒します!」。
サイテンは、政府組織・軍を震災対策に一切従事させず、専ら星外勢力との戦いに備えて武力を蓄えることに費やした。そして震災でトレントの町に甚大な被害が出ても、救済に動こうとはしなかった。「もし我々が民衆を守ることに成功しても、帝国を守ることには失敗する。これが敗北でなくてなんだ? 国を守れずして何が軍隊だ!?」。「国家政治家は民衆を思いやりつつ遠くを見通すのではございません。民衆が拒否しようとも未来へと駆り立てる者なのです」。「私は、惑星レンカの命脈を守ろうとしております」。
震災カウントダウン、そして星代に開発された重力兵器(「名もない太陽系を永遠に巡り続ける軍の遺物」「戦略厭戦兵器」)が惑星レンカを過る瞬間、前回にも増して激しい地震に見舞われたトレントは、セイオの狙い通り災害を最小限にとどめることができるのか? そしてスミルとサイテンの激しい権力闘争の行方は?
結局、サイテンの片腕グレイハンは大物として活躍すること無く終わったな。同じ片腕でも、セイオ付きのソレンスの存在感が圧倒的だった。
大災害に立ち向かう人々を描いたリアリティ溢れる力作SFだった。