時砂の王 [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
3.61
  • (13)
  • (27)
  • (19)
  • (4)
  • (4)
本棚登録 : 264
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (242ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 良かった。
    時間を遡りながら、人類を滅ぼそうとする謎の生命体と戦いを繰り広げる人工知性体の話。
    SFとしての舞台設定がよく出来ていて、単純に「過去に干渉して未来を変える」だけではない深みがある。

  • いまいち。
    時間分岐をタイムリープと組み合わせて、理論的に突き詰めていくというやり方は面白いのだけれど、だからといって個人的にセンスオブワンダーを感じられるほどのびっくり理論が登場するでもなく、「まあ、そういうロジックになるよな」以上のことは思わなかった。敵の機械群の目的及び動機も単純で「後半になるまで隠しておくほどのことじゃないな」と思ってしまった。
     では、ドラマ部分はどうかというと、そもそもそのドラマが生じる必然性が乏しいように感じられてノレなかった。具体的には、オーヴィルがなぜ恋愛をしなきゃいけなかったかってことだ。本文中には「人間的な感性」を持たすためとは書いてあったものの、別に過去世界における人々との交渉事はそれ専用のインターフェイスを作ればいいだけのことだし、むしろ兵士(あるいは兵器)であるモノたちにそんな機能を持たせれば大方動作不良に陥ってしまうに決まってる(そんな感性を有した存在が無限に等しい戦争を継続してれば、精神病の1つや2つ患うことは目に見えている)。かといって、そんなリアリティの欠如を強引にねじふせてしまうほどの独創的なドラマであるとも言えず、ヒロインもハードボイルドなんだかウェットなんだか、描かれ方が中途半端で一貫性がなくて、要は雑で魅力を感じられない。半端なドラマをやるくらいなら、時間遡行だけに集中した方がよかったのでは……?

     総合的には、「王道というには粗雑で、独創的というには単純すぎる」といったところか。

    ……とここまで批判し続けてきたが、ラストが個人的に気に入っているのと、太古の人々が機械群と戦っているという「ホライズン・ゼロ・ドーン」的なビジュアルが好みだったので、星3つ評価にした。

  • 面白かった!
    メッセンジャー(人型人口知性生命体)と地球人類の根絶を目的とするET(増殖型戦闘機械)が時間遡行により様々な時代で戦う壮大な物語。
    繰り返される時間遡行は過去未来を枝分かれさせ、愛する人のいる時代が消えてしまったりもする。オーヴィルとサヤカの今生の別れはとても切なかった。
    そのようなあまりにも長く苦しい戦いの中で人類存亡のポイントになる卑弥呼の時代、3世紀の日本へ。
    メッセンジャーであるオーヴィルが大切に想ってきたこと。
    オーヴィル亡き後、卑弥呼が叫ぶ。「卑弥呼の大旗を立てよ。妾はまだ倒れてはおらん」と。
    そこで歴史が変わるのだが。
    とにかく卑弥呼がかっこよかった。
    最後に物語の中で登場するアレクサンドルの童話が未来へつながっていたところも素敵だった。

  • SF初心者には優しくない一冊。だが、雰囲気だけでも十分に楽しめる。人類を救うためにやってきたメッセンジャーたちの、執念がすごい。「執念」とは書いたものの、人間ではないからプログラム、かな。こうしたものと感情との書き分けが上手にできていて、本当にメッセンジャーがいるのではないかと思ってしまうくらいだった。

    ☆勝手にイメソン
    創聖のアクエリオン(AKINO)

  • 読了。

  • 最高に面白い。ただ時間遡行の概念についてはいくつか矛盾している部分はあると思って気になってしまったが、満足。

  • とてもシンプルでわかりやすいストーリーです。
    時空を遡りまくっててタイムリープ系に近い感じでしょうか?
    個人的に著者の作品は好きな傾向にあるので、自分にはポップで読みやすかったですが、好き嫌いはあるかもしれませんね。

  • 某有名SF映画の設定にマルチバースを絡めた感じの歴史改変もの。中編ということもあり、読みやすく、さらっと読めました。

  • 時砂の王

  • 時間改変物。中編ぐらいだけど、やはりこういうのは良いねぇ。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川一水の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×