あなたのための物語 [Kindle]

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著者 : 長谷敏司
  • 早川書房 (2011年6月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (122ページ)

あなたのための物語の感想・レビュー・書評

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  • どんなに科学が発展しても、やっぱり最期は1人で死んでいくんだな。
    強烈で、結末がバシっと突き放される感覚でしばらく呆然としてしまいました。嫌悪感と主人公の貫き通す生き方と仮想人格が人間ぽくなっていくところがずっと頭の隅にあって、時と共に忘れられない一冊になりました。抜け落ちて好きになりました。

  • ひたすら“死”と対峙する主人公のサマンサ。科学技術の恩恵を受けて、住みやすい世界に(一部は)なっているようであるが、“死”は逃れられない。たとえ医療技術が発達しようとも、コンピューター上に自分の脳を再現できたとしても。

    人工知能の〈wanna be〉は小説など物語を紡ぐために起動された。〈wanna be〉はサマンサとともに成長し、彼女を支える。本作品では人工知能の限界が、人ではないことだったり、人の限界が死ぬことであったり、“死”の重要性を思い知らされる。“死”と向き合うことの過酷さと死に行くものを見送る周り(特に〈wanna be〉)の優しさが心にしみる。若干冗長性がある長い物語であるが、“死”を受け入れるにはこの物語の長さが必要なのだろう。

  • 『バーナード嬢曰く。』3巻を読んで、もっとも読みたくなった2冊のうちの1冊。
    前々からタイトルは当然知っていたけど、そういう話なのかそれは面白そうと思って手に取り、全編にわたってくっらーい話なのに息をつく間もなく隙を見ては開いて一気に読んでしまった。
    近未来、神経系に関する研究から人の経験やものの考え方までコピーできる、脳を再現する技術が開発された世界。その技術の研究で社会的成功を納めた主人公が、不治の病を宣告され、自身の死と向き合っていく話。
    自分たちの技術で作成した、小説を書くための人工知能と対話をしつつ、一人きりで様々にあがき、最後まで研究を続けようとしていく。
    冒頭で主人公の死に様はもうわかっているのに、それでも読み進めざるをえないぐいぐいくる感じはすごかった。

  • 良すぎる

  • 身近な人の死がきっかけで、死というものを考えてみたくて読んだ本。
    救いのない展開に、正直読後感が良くなかったし、面白みがあまり感じられなかった。。。
    世の中が進んでも人間死ぬときは死ぬ、という部分が、当たり前なんだけど救いがない。
    あと、彼とサマンサの愛の部分は胸キュン。形はどうあれ、人生に愛って大事。

  • 長谷敏司のあなたのための物語のどこがすごいって、独自性。
    読み始めたらすぐわかるけど、冒頭で苦しんで死ぬのが主人公だ。
    ここからどう始まるの?と思ったらずっと苦しんでる。言ってしまえばそれだけなの描写が緻密すぎていつのまにかのめり込んでる.

    一人称ではないけど完全な三人称でもない感じで、とにかくずっと悩んで苦しんで思索していて、セリフはほぼ無く地の文が9割以上。そんな感じ。
    どんな小説だよ!!って思うんだけど、読み始めると止まらない。そんな小説見たことねえよ、と。
    おすすめです。

  • 絶望的にこわい。

    少し未来、科学がものすごく発達した世界。
    きる服が体周りの温度などの環境を調整してくれ、無人自動車が走り、
    さらには人の人格さえテキスト化し、感覚、性格を取り込める技術が開発されている。

    主人公は社会的な成功者。
    脳の中身をテキスト化し、データとする技術の開発をしている。

    そんな発達しきった世界でも、まだ死は人に訪れる。
    そして主人公は病気にかかり、余命宣告される。

    序盤から中盤の、近づく死の圧倒的描写がこわくて、しばらく読むのをやめていました。

    死ぬのがこわくなる物語。
    死についてひたすら向き合う主人公の物語です。

  • 全てはデータであり、意識もただの脳の電位差であり、他愛もないこと。
    言語を奪うための嗜好用の言語。
    ・・・直喩は、無い。

    理不尽なものとして記憶するようにさせたい、
    との、想い、はいいですね。

    言葉、比喩、テーマ、表現、いずれも好みです。

  • 主人公、サマンサの死に様から始まる物語は、一人の人間が死ぬまでの記録といった雰囲気で進んでいく。
    そこに、格段に進化した未来の技術が絡まっていくのだけど、SFというよりも一人の女性の話と捉えても遜色ないような気がする。
    どんなに技術が発展しても、死はどこまでもただ平等で容赦ない。権力者だが孤独なサマンサが最後に見つけた相手は、人工知能という皮肉。

    どうしても最後の「動物のように尊厳なく」というワンフレーズがしっくり来なかった。
    自分の力で生まれ立ち上がる動物に、死に際の尊厳など関係あるだろうか?彼等にとっては、生まれたのと同じように死んでいくことが一番の尊厳のように思える。
    対するサマンサは、医療の力で寿命を先延ばししながら、それでも自分の仕事に打ち込もうとする。
    尊厳の意味を、何となく考えてしまった。

  • 題名から受ける印象に反してひたすら気が滅入る内容だけど、後半、擬似人格である《彼》のある行動をきっかけに俄然意味を持ち始めた。

    死と言葉と物語と粘り強く向き合って、その関係性に明快な法則を導き出している。
    小説という形を借りた良質な思索を読んだ気分になった。
    哲学書は全く読まないけれど、こういう物もそう呼べるのかなと思った。

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