ラヴクラフト全集 3 [Kindle]

  • 東京創元社
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  • ラヴクラフト全集 3に収録されている短編より、彼の代表作の一つである「ダゴン」を紹介します。

    第一次世界大戦中に船が沈没した主人公は、救命ボートで漂流していたところ、奇妙な島にたどり着きます。その島は、海の生物の死骸でできており、不気味な臭いと音がします。主人公は島の奥にある巨大な石碑を発見し、そこに刻まれた古代の文字と恐ろしい像を見て、恐怖に陥ります。やがて、石碑の前に現れた、人間と魚の混血のような怪物に追われることになります。主人公はなんとか逃げ延びて、救助されますが、その後も悪夢に苛まれ、最後にはなんと、自分の部屋の窓から、怪物の姿を見て、発狂しまうのです。

    この本のテーマは、人間の無力さと恐怖です。ラブクラフトは、人間が知らない、あるいは知ることができない存在や現象に対する恐怖を描き出しました。主人公が遭遇する島や怪物は、人間の理解を超えたものであり、それに直面したときの恐怖と狂気が強調されています。ちなみにダゴンという名前は、後に登場する邪神クトゥルフの配下の一柱とされています。

    この本を読んで、私は、主人公の視点から、島や石碑、怪物の描写が細かく、リアルに伝わってきました。特に、石碑に刻まれた文字や像の内容が、主人公の精神に深い影響を与えるところで、ラブクラフトの描く恐怖の世界に引き込まれてしまいました。また、主人公が怪物に追われる場面や、最後に発狂する場面は、スリルと恐怖が高まる展開で、息をのむほどでした。

    ダゴンは、ラブクラフトの短編小説の中でも、人間の知らない恐ろしい存在や現象に対する恐怖を、鮮やかに描き出している点で、特に傑作と言える作品だと思います。

  • 【収録作】「ダゴン」「家のなかの絵」「無名都市」「潜み棲む恐怖」「アウトサイダー」「戸口にあらわれたもの」「闇をさまようもの」「時間からの影」「資料:履歴書」

  • 3作目にもなると大分自分なりの「読み方」が見えてきました。
    基本的に全作を通じて恐怖の体験を手記に纏めた形式を採っている様ですので、自分がクトゥルーに関する謎を解き明かそうとする研究者にでもなったつもりで、その資料となる手記を漁っているという体で読み進めています。
    すると物語として捉えるよりも荒唐無稽さという灰汁が少し抜けて、より素直に、より面白く受け入れられている様な気がしています。
    にしても狂えるアラブ人、アブドゥル・アルハザードは何を書き残したというのでしょう…
    ミスカトニック大の図書館に行って確かめたい!

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