森に眠る魚 [Kindle]

著者 :
  • 双葉社
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感想・レビュー・書評

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  • 女性、女、心理を描かせるとうまい作者
    ママ友、子供を介しての付き合い
    感性が合うわけではない、子供が人質だから、
    勝手な振る舞いもできない、しかしこの時期は自分も覚えがあるが
    動物の母になってる、エゴと狭さがあるれてる
    近視眼的になってるので
    ドツボにハマると何も見えない、
    身に覚えがあるだけに
    もっと賢く生きなければならない。あとで分かることだけに
    どこで気がつくか?

    描写が上手い。
    ある時期、角田光代にハマってた。好き。

  • TVドラマで観た「名前をなくした女神」を思い出した。それよりもずっと心理描写がリアルで、かつ鬼気迫るものがある。やはり角田光代さんすごいな、と思う。

  • 本作も女性の心理描写がうまい。
    ドロドしたいやーな気分と記憶が呼び戻される感じ。

    人間関係のドロドロ具合が濃くて、読後は不快な気分に。
    みんな闇を抱えてる。
    容子は特に病んでて怖い。

    もっと自分に自信持って他人と比べず幸せ感じられないのかな。
    わかってはいるけど、気づいたらこの小説の女性たちのように森を彷徨っていることがある。
    そうならないように現実を見て意識して過ごしていきたい。

  • 序盤の軽い違和感がどんどん本格的なものになり、終盤は先に進むのが怖い程だった。。
    外から見てると絶対におかしいと思えるような状況でも、当事者になると見えないものなんだよなぁと改めて思う。
    終わり方としては一応丸く収まったけど、意外にも瞳さんが一番不穏な感じ。
    怜奈ちゃんの日常に平穏が訪れますように。
    怖かった。。

  • 5人の母親が徐々に内側から狂っていく様を描いた物語。
    子供をきっかけに最初は皆仲良く関われた5人の女性が、子育ての仕方の違い、受験に対する価値観の違いによって徐々にすれ違い、生活の違いにより憎み憎まれおかしくなっていく物語。
    子供にとって何をするのが正しいことなのか考えさせられた。
    めちゃくちゃ面白かった。
    久しぶりに読む手が止まらなかった本に出会った。

  • ワーママも専業主婦もどちらも経験があるけれど、ワーママ時代は記憶が飛んでいる時期がある程、心身共にとんでもなく大変でした。情緒も不安定だったと今になっては思います。
    専業主婦になってからは、当時の自分が嘘のように穏やかな自分になれました。たとえ子どもの受験があったとしても、ワーママ時代の自分より不安定な状況になることはないだろうと断言出来ます。
    そのため、こちらの本を読んで、「あるある!」とはあまり思えなかったです。ママ友付き合いや子どものお受験でそこまで追い込まれることにリアリティを感じられなかったです。そう思える環境にいられている、ということに感謝しなければいけないのかなと思いました。

  • 同じ年頃の子を持つ容子、千花、瞳という3人の母親に、年上の娘を持つかおりと娘を生んだばかりの繭子という2人、計5人の女性が出会い、交流し、そして個々の生活環境の変化や子の受験を機に関係が変化していく様を描いた物語。
    角田光代作品らしく、個々の人物の抱える問題や生活の様子が丁寧に描かれており、それらが互いに噛み合ってより大きな流れを作り加速していく様が感じ取れて大変面白かった。

  • 面白いのは間違いなく、さすが角田光代の人物描写は読み手に想像させるのがうまいな~と思うんだけど、もう絶対何かが起こる不穏な予感に本を閉じてしまった。。ママ友こわいんよ

  • すごく面白かった!
    親になってから読んだから、すごく想像できたし、興味も持てたけど、自分の環境が全く違ったら、へー、こんな感じかーと、ここまで興味深く読めなかったと思う。

  • 1999年の〝お受験殺害事件〟が元になっている小説です。5人のママ友が軸になっています。誰が誰だがわからないままでしたが、なかなか面白かったです。
    どの人の気持ちもわかる気がしました。

    思わず〝お受験殺害事件〟を検索しました。重なる内容に驚きました。



  • 角田光代さんはやっぱり、グサり具合が半端じゃない。
    これまで無作為に手に取った数冊、全部自分との”親和性”が高すぎて、心身ともに調子のいいときじゃないとグサりすぎてツラすぎて読めなかったりもした。

    登場人物たちと自分はぜんぜん違う境遇にあっても、彼女たちの心の動き方に思い当たる節がありすぎて、読んでる自分は痛いんだけど、同時に安心してもいる。
    一冊読むと、「こんな痛い思いはもう当分ごめんじゃわい」ってなるクセに、しばらくするとまた自然と別の作品を手に取ってる。

    今、私の本棚の積み本コーナーには角田さんの本があと2冊。写真のヤツを読了して、2冊に減っちゃった。今度本屋さん行ったとき、きっとまた、別の作品手に取ってるんだろうと思う。

  • 小学校受験をきっかけに、初めは仲の良かったママ友5人が嫉妬や焦り、悩みを抱き、まるで森の中で彷徨い、踠いるかのような物語。どんなライフステージであっても、人と比べることで幸せになることはないのだなぁと思った。話の最後も、登場人物それぞれが自分の選択は正しかったのか、不安を抱いている。人生は自分で決めないと満たされない気持ちになるのだろうが、自分自身も人と比べてしまう時もあるので、頭で分かっていても実行するのは難しいなぁと思った。

  • お受験がからむと、人間関係もギスギスするのかな……。

  • 中高時代は所属するグループで、大学時代は就職先で、社会人になれば結婚するしない、結婚相手のスペックで、その後も子の有り無し、子の進学先などで…女性という生き物は多かれ少なかれ、仲良くしていても同性同士で比較し、無意識に優劣をつけてしまうところがあるかもしれません。SNSが発達した現代は、比較材料がいくらでも手に入ってしまいます。
    でも、表向きは"わたし"より幸せそうに見える"あの人"を、本当に幸せと決めつけ羨む必要があるのか、女性としてそんなことを考えさせられる本でした。
    それぞれが抱える事情など、他人には分からないものです。表面的な部分のみを見て比較し、焦ったり妬んだりすることがどれだけ愚かしいことか、改めて教えられたような気がします。
    お子様のいるいないに関わらず、全ての女性におすすめしたい一冊です。

  • 15年前の小説なのに、リアル。リアルすぎて途中読んでて気味が悪くなったほど。令和の今VERYで連載してても違和感ないかも。

  • 小学校受験を巡る母親たちの
    ドラマ。
    気が合うと思っていた友人、
    ママ友と呼べる距離感、
    あることをきっかけに広がりゆく温度差。
    わかるわかる、と思いながら
    読みました。
    母親だからって決して強くない。
    他人を意識してしまうほど、不安な子育て。

    登場人物が多い話は苦手と思っていたけど、
    入り込める話でした。

  • かなり面白かった
    ママたちの感情の描写が細やかで、衝撃的でかつ現実味を帯びている
    人間関係の変化ってよくあることで
    たしかにー
    なるほどー
    と思える

  • ドラマの名前をなくした女神にハマっていた頃にネットで話が似ていると知ったのがキッカケで読んだら本当にそのままぐらい似ていた。
    あのドラマが好きな人は楽しめるはず。

  • オードリー若林が推薦してたのでよんだ。
    ドロドロの女性コミュニティを覗く感覚

  • 母親5人の群像劇。小学受験を機に関係が変わる頃からページをめくる手が止まらなかった。子有子無等、読者の立場により捉え方が変わる作品。最終章からは著者からのエールや希望を感じた。

  • 我が子の受験を通して、ママ友との関係に翻弄される女性たちの物語である。

    なぜそんなにひねくれているのか、なぜそんな些細なことを気にして傷つくのか、とイライラしながらも、同じ女性としてわかりすぎるくらいリアルな心情に、一気に読み進めてしまった。

    「○○ちゃんのママ」ではなく、1人の女性として扱われたいと思いながらも、結局は子供を通してしか自分の存在を確かめられない登場人物たち。幸い、私には仕事があり、家庭以外の世界もあるけれど、専業主婦である彼女たちにはそれがない。どうしたって狭い世界にしか生きられなくて、その中でもがいてみるものの、なぜかうまくいかないママ友との関係。誰も悪者ではないけれど、ほんの少しの思い違いや意識のズレから、仲の良かったはずのグループがばらばらに引き裂かれてしまう。ママ友ではないけれど、そういうことってあったよな、と思い出された。

    あと、何よりかわいそうなのは子供たち。「この子にとって最善の道」という名のもとに、母親たちに振り回される。親は子供のことを一番に考えているつもりでも、結局自分のために子供を追い詰めてしまっているかもしれない。私も同じことをしてしまっていないか振り返ったりした。

    この物語は読み終わっても決して気分がすっきりするものではなく、同じような境遇の女性に読んでほしいかと言ったらなんとも言い難いが、そうそう女性ってこういうところある、と共感したい人にはおすすめしたい。

  • 同じ子を持つ母親として、読んでおいて良かったような悪かったような。
    何かをすることで、他人がどう思うか、思っているのかを考えて行動しなくては。でもそれを考えすぎて、容子みたいに被害妄想が激しくなるのも考え物。
    私も他人の目を気にしすぎる所があるので、“人は人、私は私”という言葉が印象的だった。
    最後は、皆また仲良くなって終わりという感じではなかったので現実味があった。
    肩脱臼の話は本当に悔しい。

  • 母親業というものは充足感を味わうのがこれほど難しいのかと括目してほしい。ここで描かれている母親たちは、私たちとそれほどかけ離れているだろうか。身勝手だったり弱かったりしても責められるほどではない、にも関わらず充足から遠いところにいる。「世界が終わるようなショックを味わったとしても、世界は終わらない。残酷なほど正確に日々はまわる。」日々を生きるということは波打ち際で砂の山を作り続けること。

  • 女性たちのどろどろな感情を、倫理的な揺れ動きを含んで善悪双方をとらえてリアルに書くのが本当に上手だ。角田さんの小説は基本的に好きだけれども、この一冊はどうしようもなく苦しくて、印象に一番残る。

  • 子育てをしていた頃の事を思い出して胸がヒリヒリと痛む様な思いで読みました。私が住んでいる地域は田舎なのでお受験もなかったし極端に生活レベルの違う人も居なかったのでこの本の内容よりは穏やかだったと思うが、根底は見栄やグループになじめない孤独感や子育ての不安、何故か夫が居るのに夫では心の支えにならない(笑)あの頃の嫌な感情が心の中によみがえりました。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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