文章は接続詞で決まる (光文社新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「文章を構造化し、正しい接続詞で繋いであげると読みやすくなるよ!」という本。

    読んだ感触としては、"正しい接続詞"のほうは母国語が日本語の方なら無意識のうちにできているのではないかと思う。
    「ここ接続詞をいれたほうがわかりやすいのでは」と感じる文章にはたびたび遭遇するが、間違った接続詞を使っている文章はあまり見かけないからだ。

    文章の構造化のほうは、老若男女問わずぜひ取り入れてほしい。特に主張の着地点が見えないタイプ。

    この本をお薦めしたい職種は、ライターや論文を日常的に扱う方。
    帯に「ビジネス文書」とあるが、パワポが多用される職場ではあまり生かせないと考える。そういう職場は、文章は簡潔に、箇条書きや表を駆使し、"ぱっと見てわかる"資料を求められるので、構造化した文章を接続詞で繋ぐぐらいならページ区切って箇条書きしろや、と突っ返されるからだ。

    あと昨今のオキャクサマはびっっっくりするほど文章を読んでくださらないのでね……。この本に掲載された例文ならおそらく最初の2,3行程度。接続詞まで到達することなく途中で投げ出すだろう。

  • 文章の10%の接続詞、書き手は読み手に意図を伝えるためにある。

  • 接続詞の具体的な使い方を解説した本。

    文章は接続詞次第で良くも悪くもなります。悪い文章は深く考えずに接続詞を多用しています。良い文章を書きたければ接続詞への理解を深めることが重要です。本書は接続詞に関する解説の決定版だと思います。

  • それからもだからも、接続詞単体では意味を持ちません。接続詞は、それ自体には実質的な意味はなく、前後の文脈があって初めて意味を持つ言葉です。

  • さまざまな接続詞の細かいニュアンスの違いが説明されている。

    例えば、「にもかかわらず」は、論理的な受け入れがたさを表し、現実に対する不当さや不合理さ、意外さなどを暗示する。一方で同じ逆説の接続詞に属する「それなのに」は、「にもかかわらず」よりもやや柔らかく情緒的で、書き手の不満や憤り、不思議さなどを伝えるのに適しているなど。

    また、文頭に来る接続詞だけではなく、前の文との関係を表す「文末の接続詞」についても説明されている。例えば「のだ」「のである」という説明の文末接続詞は、先行文脈からの帰結を表して内容のまとまりを作るため、段落や文章の最後の文に使われることが多い。むやみに使いすぎると本来の効果が失われて、押しつけがましくなってしまうという説明には「なるほどな」と納得した。

    第三章で「論理の接続詞」の上手い使い方の例として、「おおきなかぶ」という民話の翻訳が取り上げられている。「ところが かぶは ぬけません」「それでも かぶは ぬけません」「まだ まだ かぶは ぬけません」と、登場人物と動物が増えるたびに変化していく接続詞の選択はたしかに素晴らしく、わたしもこんな翻訳ができるようになりたいものだと思った。

  • 留学生が論文を書く際に意外と悩んでいるのが接続詞で、ケースバイケースで相談に乗っていたのですが、体系的に整理されたこの本は参考になりました。
    また、接続詞だけでなく、「である」「と考える」「ではないだろうか」などなど、文末のバリエーションも留学生たちの悩みのタネのようで、「文末の接続詞」と称して様々な文の終わらせ方や後の文への移行のさせ方なども提示されており、そちらも参考になります。

  • タイトルの通り接続詞で決まるかどうかはさておき、接続詞がきちんと使えるかどうかで文章の出来が大きく変わることは確か。それは単に見栄えや読み易さだけでなく、論理的な思考とその表出ということにも強く影響する。論理的な文章を書くためには、接続詞は避けては通れないクリティカルな要素だと思う。
    そういう接続詞について、全体的な位置づけや4種10種類ごとの性質を解説したあと、接続詞の効果的な使い方を説明する。とくに、第10章「接続詞の戦略的使用」は、ロジカルな文を書きたい人におすすめ。
    なかでも、アウトラインを作る段階で接続詞を活用する手法は、長い文を書き慣れない人にはすごく効果があると思う。書くべき要素同士を接続詞でつなげることで論理展開が明らかになるし、要素の過不足も可視化される。自分自身むかしからこの手法を使ってるし、後輩への文書指導でも活用している。一見、迂遠なようでいて、こういう正攻法が結局は近道なんだよな。

  • 厳密な意味での正書法がない日本語では、どの文字を漢字や平仮名にするかは、最終的には個人の判断に委ねられている

    ①AさんがBさんに書類を提示する、②BさんにAさんが書類を提示する、どちらが適切ですか。

    私は①を選びました。論理はありません、わかりません、ただの感覚です。指摘されたのは②でした。理由は「②の方が分かりやすいから」だそうで。

    言語学的、心理学的な回答が欲しいです。分かりやすさは個人の感覚で決めるべきものではないと思います。

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著者プロフィール

横浜市出身。1993年一橋大学社会学部卒業。1999年早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。国立国語研究所教授。一橋大学大学院言語社会研究科連携教授。著書に、『「接続詞」の技術』(実務教育出版)、『段落論』(光文社新書)、『よくわかる文章表現の技術』Ⅰ~Ⅴ(明治書院)など多数。明治書院教科書編集委員。

「2021年 『よくわかる文章表現の技術 Ⅳ 発想編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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