- Amazon.co.jp ・電子書籍 (243ページ)
感想・レビュー・書評
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タイトルどおり経済学の変遷を知るためには世界史の理解の必要性がよくわかった。お金、貿易、金融、財政というテーマで説明されているがテーマごとに時代は行ったり来たりするので流れの理解には注意が必要だ。お金とははじめは金貨や小判であったが紙幣が登場して以来その紙幣の価値が何によって決まるかということが重要かつ難しい。ゴールドラッシュ時代以降は豊富になった金によって価値を保証する金本位制が採用された。しかし世界大戦や世界恐慌を経るたびに金本位制は停止と再開を繰り返した。そして現在は変動相場制に落ち着いたわけだがこれらの金融ルールを決めるのは基軸通貨がドルになって以来いつもアメリカであった。結局は軍事や国力のパワーバランスで決まるのだと痛感した。また保護主義/自由主義の争いの歴史やバブル経済の失敗の経験を知ることで比較的に経済学は今どうすべきかを歴史から学びやすい学問であると思った。今後CBDCや仮想通貨は間違いなく歴史を変えると思うがこれまでの経験に基づいて判断していきたい。
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経済の視点で世界史を見る!
経済で世界史を切った本。
総花的に世界史を横断しながら
書いているので、
全部を腑に落ちるのは難しいが
国と中央銀行はなぜ別なのか?
という部分はおもしろかった。
国が通貨発行権を持つと
国は無駄遣いをしがち。
どんどん通貨を発行して
通貨の価値が下がり、
インフレになる。
とくに戦時下では
通貨を大量に発行しがち。
で、国の財政は破綻する。
そこで、通貨発行権は
国から独立した中央銀行が持ち、
通貨の安定を図る。
個人の経済活動の自由を
最高の価値とする「新自由主義」は
欧米では左派。
大きな政府が財政出動によって
経済を活性化する
「ケインズ理論」は左派。
①19世紀の古典的自由主義
②1930年代、世界恐慌に始まるケインズ主義
③1980年代、ケインズ主義の限界から新自由主義へ
④2010年代、世界恐慌に始まる新ケインズ主義(アベノミクス)
という整理はわかりやすい。 -
経済の世界史の入門書。貨幣、紙幣、銀行、バブル、投資、債券、商社、株式会社、監査、など、経済に係る各種エレメントの変遷を世界史のストーリーベースでなめている。トピックごとに、時代背景と主要人物にフィーチャーしている点も印象に残りやすい。
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現代の経済の様々なトピックスを、歴史をたどり、そもそも何がきっかけでこうなってきたのかをわかりやすく解説。総花的なトピックではあるが、それぞれの解説は断定的ですっきりとしており、わかりやすい。
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歴史は繰り返されるんですね。
世界史と経済の関係について、少しは前進したと思う。
巷のニュースをもう少し冷静に受け止めねばと思う。 -
「世界史ってこんなに面白かったっけ?」という一般読者からの支持を受けて、ベストセラーに。もうすぐ10万部だそうです。今回はゆえあってKindle版で読みました。
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■経済と世界史
A.江戸幕府が鎖国に踏み切ったのは、キリスト教を警戒したのと同時に、銀の流出を恐れたからです。日本の銀山は、枯渇しつつあった。
B.日本も西ドイツも、世界銀行の融資を受けて戦災から立ち直りました。日本は1953年以降、東海道新幹線、首都高速道路、黒部題ダムなどの建設に総額8億6000万ドルの融資を世界銀行からうけています。日本がその債務を完済したのは1990年です。
C.日本の経済成長は、アメリカが「円」を守ってくれたから、いわば、世界最大の経済大国アメリカが、日本円の信用を担保してくれていたわけです。一方アメリカにとってみれば、日本経済の混乱が、軍国主義復活の芽となることが恐ろしかったのです。
D.個人の経済活動の自由を最高の価値とする新自由主義は、欧米では「右派」とみなされます。一方、大きな政府が財政出動によって経済を活性化するケインズ主義は「左派」です。阿部内閣は経済政策的には左派政権となります。長い視野で考えれば、19世紀の古典的自由主義1930年代、世界恐怖に始まるケインズ主義1980年代、ケインズ主義の限界から新自由主義(レーガノミクス)2010年代、世界金融恐慌に始まる新ケインズ主義(アベノミクス)日本で始まった実験の行方に、世界が注目している。