失われた時を求めて 1~第一篇「スワン家のほうへI」~ (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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  • 大学卒業以来初めてフランス文学を読んだ。『スワン家のほうへ』は学生時代に一度読んでいるが、ほぼあらすじを忘れていた。文章と段落の長さ、そしてどこを修飾しているのか分からない比喩の嵐という、いわゆる「プルースト節」にどっぷりと浸かり、今回もこの一冊でお腹いっぱいになってしまった。

    本書を読んで気づいたことだが、出来事の記憶は長く残りやすいが、感覚の表現は記憶に残りにくい。(少なくとも私はそうだ)『失われた時を求めて』においては、出来事などはほぼどうでもよくて、むしろ感覚的なもの、つまり修飾する語や節に重きが置かれている。今回は丁寧に読んだつもりだが、自分の中での本書で起きた出来事の記憶はかなり朧げだ。しかし、読み進めるうちに、プロットなどはそれほど重要ではなくて、場面の情景にどれだけ入り込めるかがこの作品を楽しむためのカギなのではないかと思えてきた。このような小説は自分の好みではないが、精度を極限まで高めた創作世界はまさに『失われた時を求めて』でしか味わえないだろう。今回はここで読むのを止めるが、定年退職後に是非通読したい。

    2022年はプルースト没後100年であるし、つい最近にもプルースト効果について歌った歌が大流行した。また脚光を浴びる機会が多くなるかもしれない。

  • 作者のプルースト愛が凄まじい…。今まで翻訳された本を全部読んだ上でこれは違うんじゃないか、となって、日本語としての響きや漢字の雰囲気まで考えに考えて翻訳しつつ、更には先達は辞書の引きが甘い!という主旨のことを言っていて熱量と愛がすごい…。そしてものすごく勉強している人なんだなという印象

    初めの方に、この本はこう言うところがしんどいともうけど、ただ世界に浸るように、とかいてあったのがとても良かった。あの文章がなかったらこんなに素直に読めなかった。

    読んでいて、よくもプルーストは幼い頃のこんな繊細な気持ちを覚えていたなとか、表現できるな、とか思ったけれど、後書きで、自分の失われた時を思い出すことができる、と書かれていて、感覚間違えてないんだ!となった。

    そもそも、感じ方に間違いなんてことが読むことにおいてあるのかとも思うけど。

    なんのこっちゃ、となる部分もあるから繰り返し読みたい。かなりノスタルジィに浸れる本だった。

    映画の翻訳に関して、昨今では取り沙汰されるけど、本の日本語訳だって、実際かなり意味合いが変わっていることがあるのだな…。というよりも、言葉というのはその言葉を話す人々の文化を背負っているわけだから、そこから別の言葉に、別の文化に変えるとなると意味や受け取り方が見る人によって変わってしまうのは仕方のないことなんだろあ…。

    翻訳が話している言葉と、原文と、違うのは映画だけではないし、原文ママで見聞きしたとして受け取り方は人によって変わってしまうのは仕方ないことなんだろう…。

    熱が冷めないうちに次の本を読みたいし、長期休暇の間に全6冊を通しで一気読みしたい気持ちすらある。

  • 入院をきっかけに読む。Amazonプライムで無料で読めて嬉しい。翻訳は読みやすいと感じた。
    これを機に20年以上前に挫折したこの作品の通読を再度始めてみたい。
    有名なマドレーヌもそうだけど、鐘楼のシーンは特に美しい。訳者解説にある様にこの作品はストーリーの展開云々よりもまず、文章を感じていくんだ、と考えた方が読み進められる。

  • 寝る前に少しずつ読み進めてやく2ヶ月
    やっとP213まできた。
    寝る前の時間を静かに過ごしたく...またチャレンジの思いもあって手に取る。

    文体は心配していたけれど、少し回りくどく(笑い)細やかな表現が嫌いじゃないかも...という感じ...

    慌ただしい日中にはこの文体はリズムが合わずどうしても寝る前に読んでいたが...

    ちょっと一旦中止!忙しくて寝る前の読書が無理...バタンキューです。

    図書館から借りて読んでいたので一旦は返すことに!
    また生活のリズムが少し落ち着いてきたら読み始めることにする!

    それにしても プルースト 内容が濃いです。貴族の生活というかこの時代の芸術とか文学とかそういうものに詳しい人が読めばもっともっと感じるものがあるんだろうと思ってしまう。

    なんだかすごい本を手にした感...あり!

    平日の午後に広い庭の緑の中でこの本を読めるような人生...ちょっと憧れちゃう...

    そんな感じ...

  • 栞を挟み忘れた次の日、この本の真の恐ろしさを体感した。

    章立てがなく、脈略もないので、どこまで読んだかは探し出すの不可能…!

    「失われた時を求めて」彷徨うことになった

  • 難解、難解と言われてずっと読むのを躊躇っていたが、仏文学好きなら全然いける、これ。こまやかで空気や色、匂いまでも見えるような美しい風景描写と、単純化できない心理、思考を精緻な筆でみごとに描いています。幼いころに休暇を過ごしたコンブレ―での鮮やかな記憶の断片たちをつづっています。お母さんのキスとマドレーヌ、アスパラ、花々と乙女が印象的な本。これは電子書籍でなくて紙で読みたい。

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