無気力なのにはワケがある 心理学が導く克服のヒント (NHK出版新書) [Kindle]
- NHK出版 (2013年9月10日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (209ページ)
感想・レビュー・書評
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資格試験を前に、試験日が近づくほどにやる気が落ちてきて、無気力に。
机に座って勉強しては、すぐに集中力を切らしてごろごろ・・・。気持ちを奮い立たそうにもエネルギーがなく、完全に無気力状態でした。自分でもわかるけれど、あれはひどかった。
思い当たるのは、試験勉強を始めるのが遅すぎて、どう考えても合格基準まで達せなそうだったこと。全然間に合わなくて、半ば投げやりになっていた気がします。
そんなとき、偶然Kindleでセールをしていたこの本を発見。思わず買っちゃいました。
結果だけ提示されるのではなく、心理学に基づいた実験をいくつも解説してくれ、人が無気力になるのはどういう時か、どんな風に対処していけばいいのかわかりやすくまとめてくれています。
“自分でコントロールできないと思うこと、つまり、コントロール不可能性の学習が無気力の原因である“ と述べているのですね。
無気力に陥りやすいかどうかは、個人差があって、課題が達成できない理由を①課題の困難度②能力③運④努力のどこに見出すかによっても変わってくるし、
自分の能力に対して「人間の能力や資源は努力次第でいくらでも伸びる」と考えるか、「能力は石に刻まれたように生まれつきのもので固定的で変わらない」と考えるかで変わってくる。
つまりは、外からの刺激が絶対的なものなのではなく、私たちの捉え方、考え方のクセを見直すことで無気力はある程度防げる、のかもしれない。
仕事でもキャパオーバーになると、もう無理!とミスが頻発したり、かえって仕事が手につなかったり気力が低下しますが、印象に残ったフレーズが、「無気力にならないために重要なのは、状況を自分でコントロールできていると思えていること」というもの。
主観的な考え方のクセを変えていくことである程度無気力になることは防げるかもしれないけれど、現状を認識したり、スケジュールをしっかり立てるなどして、なるべく状況をコントロールできている状態を保つこと、がとても重要なんでしょうね。
そして、本書では「オプティズム」という言葉を用いていますが、自分に対する肯定的な評価を持つこと、も意識して、せっかくだから無気力にならずに過ごせる毎日を送りたい、と思った次第です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「現実を必ずしも客観的に見ない傾向、ある意味、歪んだ評価をする傾向が、われわれを精神的なダメージから守っている可能性を示唆している」
現実を客観的に見ないほうが自己肯定感を保てるのかもしれない、そう考えると反ワクやQ アノンや真実に目覚めた人も自分の心を守ってるのであり、ちょっと理解できる気がする。
本書ではやる気が出ないこと、無気力に陥ることについて、心理学の実験結果などからその原因や対策を書いている。やる気がでない状況は経験や体験によりやる気がでなくなった状況で、学習によって学習性無力感を会得したらしい。
無力感を持たせる経験とは、否定的な言葉で関わったり、主体的に動くことを制限することとかで、マイクロマネジメントや厳しい教育は子供の自主性を奪うことになる。無力感は経験や体験から学習することならば、裏を返せば、子供は無限の可能性を持っているということで、発達の初期段階でコントロール可能な事態を経験することが学習性無力感に陥りにくいらしい。
コントロール可能性と予測可能性が大事なようで、これは成人でも、今からでもセルフエデュケーションでなんとかなるものなのか知りたい。大人が能力は固定、努力は可変と考えているのに比べて、子供は能力も努力も可変と考えているらしい。まぁ、当の子供からすると、リアルタイムで成長してるんだから能力も可変と思うのは当然だろう。
大人になっても能力が可変で努力によって向上するのかどうかはよくわからないけど(能力は先天的なものだから不変というのが通説か)
たとえ、お金持ちになれなくても、高い地位につけなくても、自身を鍛え続けてできないことができていく感覚を持ち続ければ幸福なのかもしれない。 -
意外とアカデミックな分析
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コントロール可能性が無気力になることと関係している。
またうつになりやすいかどうかは人の「原因帰属」の考え方で異なる。
内的と外的、持続的と一時的の4象限。
①能力 ②努力 ③課題の困難度 ④運。
無気力になりやすい私。どのようなときに、どのような考え方をしていると無気力になってしまうのかわかり大変ためになった。 -
無気力に関する実験のまとめ本。
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被験者は動物だが、学習性無力感を検証する実験が興味深い。
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太字の所だけ読めば十分