道 [DVD]

監督 : フェデリコ・フェリーニ 
出演 : ジュリエッタ・マシーナ  アンソニー・クイン  リチャード・ベイスハート 
  • 紀伊國屋書店
4.09
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4523215101912

感想・レビュー・書評

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  • 1954年イタリア映画。監督および共同脚本はフェデリコ・フェリーニ。
    主演は旅芸人ザンパノ役のアンソニー・クインと、彼の巡業に連れ添うことになったジェルソミーナ役のジュリエッタ・マシーナ。ジュリエッタ・マシーナは実際のフェデリコ・フェリーニ監督の妻であり、本作はフェリーニ監督の出世作でもあります。他に、ザンパノと対決する芸人役にリチャード・ベイスハート。そして音楽担当は、ニーノ・ロータ。

    この映画はたぶん20年以上前に一度観たことがあり、今回再見になります。ところどころ以外、ほぼ記憶なしでした・・・。(>_<)

    少し頭の弱いジェルソミーナは家族の口減らしのために、旅芸人のザンパノに売られてしまう。ぼろぼろのオート三輪に乗って2人の旅巡業は続く。必死に芸を憶えようとするジェルソミーナに対し、ザンパノは酒に女にと余念がなく振る舞いも粗暴だ。ザンパノの傍若無人ぶりに嫌気がさしたジェルソミーナにはある考えが・・・。

    印象深いニーノ・ロータのメロディにのって、哀しくも細やかに揺れ動く2人の関係性がとてもよく表現された作品です。
    粗暴で大男のザンパノと、少し頭は弱いけれど心根の優しいジェルソミーナの組み合わせがいいんですよね。ジェルソミーナのことを都合の良い女にしかみないザンパノに、どこまでも尽くし自分の方を向いてもらおうとするジェルソミーナ。しかし、最後に面倒くさくなったザンパノは・・・。こんな一途で葛藤するジェルソミーナに、哀しみを感じない人はいないでしょう。さすがフェリーニ監督の出世作だけあって、ジェルソミーナ演じたジュリエッタ・マシーナは、愚かで哀しみのある女性をそのものさながらに演じ切ったといえます。
    それにしても鎖を胸で断ち切る大道芸なんてそんなに面白いのか?(笑)しかしながら、これを何度も何度も見せつけられると何だか逆に面白くなってきて・・・。(笑)こんな大道芸に全てを賭けているところにも2人の生き方の哀愁が感じられます。
    ところで、「道」とはどういう意味なのか。直接的には、巡業につぐ巡業を繰り返す、道すがらの彼らの出来事を象徴として指しているのかもしれない。そして、人が人として生きる道のことを表現しているともいえます。あるいは、ラストのザンパノの様子から、人はいつか人としての道に気付くという道程のことを示していたのかもしれないですね。
    最後に道の彼方にそっと消えてしまい、後に道の傍らで消息を聞くことになるジェルソミーナの演出は心憎いばかりです。
    全編にわたり真面目過ぎるところが少し難点だったかも・・・。(笑)これはきっと監督の性格ですね。

  •  イタリア映画です。アカデミー賞外国語映画賞受賞作品らしいです。
     ずっ~と前にNHKBSでやっていたのをDVDに焼いておいたので見てみました。白黒のステキな映画でした。画面の両側の切れていない,きれいな画像でもみたいなと思いました。
     路上で大道芸をしてその日暮らしをしている男性。その男性に買われたちょっと知能の足りない女の子ジェルソミーナ。その女の子は,母子家庭一家の口減らしのために母親が売ったのでした。
     男性は芸の教育係として,あるいは愛人として,その女性との関係を睦んでいきます。一方,女性の方は,いつもまにか男性を愛してしまい,男性が他の女性のところに行くことを良しとしなくなるほどに…。そこに現れる綱渡りの青年。
     この女性,ある日,この青年に「自分は何もできない駄目な人間だ」と漏らすが,青年は「この石ころだって,なにか役目があってここにある」と励ましてくれます。これが,この映画のいいたいことなんでしょうね。
     なんとも言えない結末ですが…。
     ジェルソミーナの吹く哀愁のあるラッパの音が心に残ります。

    《映画.com》の解説を抜粋して転載
     イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの代表作のひとつで、旅回りの芸人たちの悲哀を描き、第29回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した古典的名作。貧しい家庭に生まれ育った知的障害の女性ジェルソミーナは力自慢の大道芸人ザンパノに買われ、彼の助手として旅回りに出る。粗暴で女好きなザンパノに嫌気が差したジェルソミーナは彼のもとから逃げ出すが、捕まって連れ戻されてしまう。そんなある日、2人はサーカス団と合流することになり、ジェルソミーナは綱渡りの陽気な青年と親しくなる。青年の言葉に励まされ、ザンパノのもとで生きていくことを決意するジェルソミーナだったが……。

  • イタリア映画の秀作です。名曲と俳優の素晴らしい演技、脚本の卓越さを堪能できる完璧な作品です。
    ジェルソミーナの死を洗濯ものを干しながら語る素っ気ないシーンが彼女の「役立たずの石ころ」を象徴し、でもザンパノにとっては宝石のような存在だったという対比となっており、逆に胸を打つ。

    『道』(伊: La Strada; ラ・ストラーダ)は、1954年製作・公開のイタリア映画。
    フェデリコ・フェリーニ監督作品で、第29回アカデミー賞「外国語映画賞」を受賞した。自他共に認めるフェリーニの代表作の一つ。フェリーニの作品の中では最後のネオリアリズム映画といわれる。チネチッタ撮影映画。ストーリーは道化師たちの悲哀が展開し、破天荒な監督フェリーニの人生が反映されている。同じネオリアリズムの映画監督であるビスコンティは伯爵貴族であったが、フェリーニは少年時に神学校を脱走してサーカス小屋に逃げ込んで連れ戻されたり、10代で駆け落ちをしたり、ローマで放浪生活をして詐欺師にまでなっていた過去がある。

    ストーリー:
    旅芸人のザンパノは芸の手伝いをする女が死んでしまったため、その姉妹のジェルソミーナをタダ同然で買い取った。粗野で暴力を振るうザンパノと、頭が弱いが心の素直なジェルソミーナは一緒に旅に出る。
    道化の格好で芸をするジェルソミーナ。新しい生活にささやかな幸福さえ感じていたのだが、ザンパノの態度に嫌気が差し、街へと逃げていく。そこで陽気な綱渡り芸人イル・マットに出会う。ジェルソミーナはザンパノに連れ戻されるが、イル・マットのいるサーカス団に合流することになる。イル・マットはザンパノと古くからの知り合いらしく、何かとからかってザンパノを逆上させる。ある日、我慢の限界を超えたザンパノはナイフを持って追いかけるのだが、その行いで逮捕されてしまい、サーカス団は町から立ち去らねばならなくなる。
    イル・マットとザンパノはサーカス団から追放される。サーカス団のオーナーはジェルソミーナに一緒に行くように誘うが、ジェルソミーナは町に残る。イル・マットは、「自分は役立たず」と嘆くジェルソミーナに「世の中のすべては何かの役に立ち、ジェルソミーナも役に立っている、それは神が知っている」と言い残して立ち去る。この夜、ジェルソミーナはイル・マットが運転するザンパノのバイクの荷台に乗せられ、ザンパノのもとへ送られる。翌朝、2人は到着した。イル・マットは行き、ジェルソミーナはザンパノのバイクにもたれかかってザンパノを待ち、釈放されたザンパノはジェルソミーナがやってきて自分のバイクもここにあるこの事態に渋い表情を見せる。
    ジェルソミーナとザンパノは再び2人だけで芸をする日々をすごした。しかし後日、ザンパノは自動車の車輪の不具合を直すイル・マットを見かける。仕返しする機会を待っていたザンパノはイル・マットを撲殺する。
    ジェルソミーナは、イル・マットの死に放心状態となる。ザンパノは、大道芸のアシスタントとして役に立たなくなったジェルソミーナを見捨て、居眠りしている彼女を置き去りにして去ってゆく。
    幾年かの時が流れ、見知らぬ海辺の町に立ち寄ったザンパノは、ジェラートをほおばりながら、耳慣れた歌を耳にした。それはジェルソミーナがよくラッパで吹いていた曲だった。これを歌っていた町娘にザンパノがたずねると、ジェルソミーナと思われる旅芸人が、この町に来ていたことがわかった。ある朝、この旅芸人は死んでいたという。少し老いたザンパノは、往年の鎖芸をこの町のサーカスで披露する。酒場で暴れた後、海岸にやってきたザンパノは天を仰ぎ地にしがみつき、絶望的な孤独感に打ちのめされ、ひとり嗚咽を漏らし、ラストを迎える。(ウィキペディア)

  •  1954年公開のイタリア映画。小学生の時にたまたま教育テレビで観て以来、機会あるごとに何度か観ているが、いつ観ても圧倒される。演出、シナリオ、俳優、音楽、すべてが最高の完璧な映画。「旅の大道芸人」という設定も、戦後イタリアの貧しい生活描写も、電気も通っていないような近代化されていない農村風景も、一見いずれも過去のものだが、ヒロインのジェルソミーナが象徴する「無垢」と「弱さ」、そして終始語られる「孤独」と「不安」は、人間の価値を「経済的有用性」だけで評価し差別する現代社会でこそ痛切に観るものの感情を揺さぶる。名作は時代と国境を超えるという証である。

  • 1954年のイタリア映画。これ、故 淀川長治さんも絶賛していたとか。
    終始モノクロなのだけど、画質が綺麗。
    キリスト教がやたら出てくるこの映画。聖者の行進というよりも、仰々しい感じ。
    ところで、映画のタイトル「道」だけれど
    最後までキッチリ観れば分かる。
    軽度の知的障害を持ち、様々なことを疑わない女と
    欲が強く、自己中で自分本意な男の話。
    ザックリだけど。
    「私は何も役に立たない女よ」
    「石ころも、星も同じ。お前だって何かの役に立ってる」
    人それぞれ。
    泣きながら修道院を出るシーンとか、グッとくるものがある。
    自分がこれから進むべき道は何なのか…という感じでしょうか。
    1954年の映画とは思えない内容と演技力と音楽。
    近年の映画は見習って欲しいくらい。

  • 映画といえばこれ、的な記念碑的作品であるが、シンプルにDV男とADHD女の共依存ロードムービーという印象しか残らなかった。エンディングが海辺の作品がこの頃は多く、ひとつのセオリーなのでしょうか。

  • 先日、午前十時の映画祭で「フェデリコ・フェリーニ」監督作品の名作『道(原題:LA STRADA)/1954』を観ました。

    -----story-------------
    旅芸人の「ザンパノ」は芸の手伝いをする女が死んでしまったため、その姉妹の「ジェルソミーナ」をタダ同然で買い取った。
    粗野で暴力を振るう「ザンパノ」と、頭が弱いが心の素直なジェルソミーナは一緒に旅に出る。

    道化の格好で芸をする「ジェルソミーナ」。
    新しい生活にささやかな幸福さえ感じていたのだが、「ザンパノ」の態度に嫌気が差し、街へと逃げていく。
    そこで陽気な綱渡り芸人に出会う。
    「ジェルソミーナ」は「ザンパノ」に連れ戻されるが、綱渡り芸人のいるサーカス団に合流することになる。
    綱渡り芸人は「ザンパノ」と古くからの知り合いらしく、何かとからかって「ザンパノ」を逆上させる。
    ある日、限界を超えた「ザンパノ」はナイフを持って追いかけるのだが、その行いで逮捕されてしまう。

    綱渡り芸人はサーカス団から追放され、「ジェルソミーナ」に助言を与え去って行く。
    翌日、「ジェルソミーナ」は釈放された「ザンパノ」を迎え、2人だけで芸をする日々をすごした。
    しかし後日、「ザンパノ」は故障した自動車を直す綱渡り芸人を見かける。
    仕返しする機会を待っていた「ザンパノ」は綱渡り芸人を撲殺する。

    なきがらのそばから離れようとしない「ジェルソミーナ」は、綱渡り芸人の死に放心状態となった。
    「ザンパノ」は、大道芸のアシスタントとして役に立たなくなった「ジェルソミーナ」を見捨て、居眠りしている彼女を置き去りにして去ってゆく。

    数年の時が流れ、見知らぬ海辺の町に立ち寄った「ザンパノ」は、耳慣れた歌を耳にした。
    「ザンパノ」がたずねると、「ジェルソミーナ」と思われる女が、しばらくその海岸を放浪していたが、誰にも省みられることなく死んでいったという。
    それは「ジェルソミーナ」がよくラッパで吹いていた曲だった。
    海岸にやってきた「ザンパノ」は、絶望的な孤独感に打ちのめされ、ひとり嗚咽を漏らすのだった。

    野卑な男が、僅かに残っていた人間性を蘇らせるまでを描いた「フェデリコ・フェリーニ」の名作。
    -----------------------

    以前から大好きな作品ですが、劇場で観るのは初めて… やっぱり映画はスクリーンで観るのがイイですね。

    何度観ても、、、

    頭は弱いけど、素直な心を持った「ジェルソミーナ」の一生懸命な行動に共感しちゃいます。

    それだけに… 「ザンパノ」に殴られた綱渡り芸人が命を落としたことが、大きな心の傷として残っちゃったんですねぇ。

    「ジェルソミーナ」がラッパで奏でる曲のメロディが頭から離れません。

    でも、、、

    野卑で不器用な「ザンパノ」の気持ちも、理解できる部分があるんですよねぇ。

    「アンソニー・クイン」が、人間の持つ本能… 誰もが心のどこかに持っている卑しい一面を巧く演じていたように思います。

    ラストシーン… 砂浜で慟哭する場面が強烈に記憶に残っています。

    悲しい物語ですね。

    あっ、本作品で意外と好きなのが、「ザンパノ」がワインを気持ちよく飲むシーン… あれだけ大胆に飲めるといいのになぁ。


    --------------------------
    監督: フェデリコ・フェリーニ
    製作: カルロ・ポンティ
        ディノ・デ・ラウレンティス
    脚本: フェデリコ・フェリーニ
        エンニオ・フライアーノ
        トゥリオ・ピネッリ
    撮影: オテッロ・マルテッリ
    音楽: ニーノ・ロータ
    出演:
     アンソニー・クイン
     ジュリエッタ・マシーナ
     リチャード・ベースハート
     アルド・シルヴァーニ
     マルセーラ・ロヴェーレ

  • ジェルソミーナの死を知って、後悔にかられるザンパノの姿が印象に残る。

  • ネズミハナビというバンドの「もう一度裸の君をメチャクチャにしてやりたい」という曲の歌詞でこの映画のことを歌っているというのを知って見た。
    切なくて凄く良かった。

  • 切ない
    ラストシーンで涙せずにはいられない
    ジェルソミーナがかわいい。イタリア人的美ではないのかもね
    ザンパノは吠えることしかできないんだな。悲しいよね。不器用だけど悪人ではないよ
    互いに必要としあってるのに噛み合ってないのが伝わってきた
    綱渡り芸人惚れた

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