現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 中田敦彦のyoutubeで座右の書として紹介されてから気になっていたが、遂に読んだ。
    最初は、youtubeで粗筋わかるからいいやーんと思っていたが、やはり原著を読むと
    その情報量に圧倒された。

    読んで良かった。そしてまた期をあけて読みたいと思う。
    内容は全然古くないし、寧ろ今こそ持たないといけないものと思う。
    自身の座右の書にもランキングされた1冊だった。

    そして為になるだけじゃなくて、話が面白い!修験者の話や、西郷さんの話。
    皆に読んでほしい一冊。

    # 心に響いたポイント
    - 「誠実さ」が最も大事
    - 趣味を持っている人間はかっこいい
    - 時代により環境は進化する。「道徳」も進化していく。
    - 成功や失敗は、カスにすぎない。その過程の充実が最も重要。そして大きな時間軸で見ると邪は滅ぶ
    - 現代(明治)は、民の道徳心が失われてる時代であると危惧している。
    - 「論語(道徳)」「算盤(経済活動)」の両輪が大事
    - 志を立てよ。 <= ただ立てればいいものでない。自分のことをよく見極めて立てる必要がある。生涯貫く気概で(身の程にも合わせる)間違えると回り道になる。渋沢さんも定まったのは、30頃「実業界に入ろう」
    - 社会と学問の両輪 (道徳も理論に徹してはならない)
    -上に立つものは、大きな物事をみて、決断したければならない。知らないことは知らんという。(西郷どんの話より)

    # 余談
    読みながらふとエルピクセルの不祥事のことを思い出していた。同じ業界を戦う大先輩だし、輝ける星として一目置いていた。そして今回の資金を私的に運用していた話。大変残念な気持ちだった。ただ、潰れてしまうのも惜しいと思ったし、中で働いている人はしっかり働いているのであろうと思うといたたまれない。ただ、この本を読んでいて思った。金が儲かっているだけでは意味がないのである。理念を失って仕舞えば会社の意味がない。自分がモヤモヤしていたことの原因はこれなのだと再認識した。トップ層の方に渋沢さんの意思が少しでも入っていればと悔やまれるばかりである。

  • 士魂商才-武士の精神と商人の才覚をあわせ持つ

    現状に満足することを知って、自分の守備範囲を守り、腰を据えてくるべき運命を待ちながら、コツコツと挫けず勉強するのがよい。
    世の中のことは、自分次第な面も多く、自分を反省して悪い点を改めて、本気で頑張れば、だいたいはその思い通りになるものである。

    欲望のままに振る舞っても、ハメを外さない

    「何事も誠実さを基準とする」

    得意な時も、失意な時も、いつも同じ心構えで道理を守り続ける様に心掛けていくことが大切。

    精神の向上を、富の増大とともに進めることが必要

    些細なことを粗末にするような大雑把な人では、しょせん大きなことを成功させることはできない。

    智(知識
    情(情愛
    意(意志

    普段の行い、生活のなかから学ぶ心がけ

    自分を磨くとは、知恵や道徳を完璧にしていくこと。精神面の鍛錬に力を入れつつ、知識や見識を磨き上げていく。自分1人のものではなく、貢献するものでなければならない。

    「賢者は、貧賤(ひんせん)な境遇にいても、自分の道を曲げない」

  • 友人に薦められて読んだ。
    日本人の道徳心のなさが教育から来ていること、また外国では道徳教育に宗教が一役買っていることがわかったことが学び。
    1900年代前半に書かれた本なのに、最近の若者は〇〇という文が出てきて驚いた。
    道徳心という土台に知恵を積み上げていきたいと思った。

  • 社会に対する責任や志がない状態での金儲けだけには価値はなく、逆に社会に影響を与えられない口だけの理想論も意味がない。
    この本では人は中庸である事の重要性を度々言っていますが、倫理と功利のどちらが上とは言ってはいません。
    しかし、功利のない理念は馬鹿にされこそすれ、倫理のない功利のように非難される事はない事を考えれば、まず倫理があり次に功利があるべきだと考えるのがしっくり来ました。

  • 日本の資本主義の父、この経歴から想像して経済学の本だと思えば肩透かしくらう。
    この著作はいわゆるデータから基づいた仮説で実証する経済学の書物ではない。
    自身の徳を伸ばし成長をする自己啓発、ビジネス書と呼んだ方が近い印象だ。
    内容は戦前以降に書かれている故にその価値観は古い部分もあるが、現在でも十分通用する部分も多く心の支えになれる格言もかなり存在する。
    特に1章と2章は成功する為のチャンスをつかむ上での心構えを書かれており、私自身本書を読んだ章の中でも最も心に響いた内容であった。
    また作者の体験談が例に書かれてあり実用書でありながらもエッセイとしてのジャンルにも分類できるであろう内容となっている。
    ちなみに私自身、元々大甥の澁澤龍彦のファンで氏の著作をよく読んでいる訳であるが、同じ血筋という理由からか氏の文体と似ている部分があり特に無学の素人である読者にもわかりやすく理解させることのできる説明力や理系文系分野問わず多種多様な知識を兼ね備えている博聞強記な面は特に目立つ点であると思う。

  • 渋沢栄一の生き様と共に
    とても説得力のある教えだった。

    響いたものはぜひこれからの人生
    実践していきたい。

  • 同じ埼玉県出身の偉人ということでかねてより関心があり、本書含む関連書籍に目を通しているが、100分で名著や大河ドラマを見たりしたこともあり再読。
    道徳に偏重するわけではなく、欲とのバランスをとるという箇所がいくつもあり特徴的である。
    以前この本を読んだ際、時代背景の違いのためだと思うが、この本を誤解していたところもあったが、100分で名著などで少し正しく理解できるようになったような気がする。本書を読み返そうと思うとともに、拠り所となっている論語についても読んでみたい。

  • 様々な著名人が座右の書としている本書をようやく読んでみた。読んでみて納得。本書の至るところに至極の言葉が散りばめれれていて、マーカーだらけとなった。

    論語を礎とした渋沢栄一の考えが本書の中に散りばめられており、人生の中で寄りかかれるものが、本書の中にある気がした。
    道徳を人生の様々な場面に当てはめて、どう考えるか、現実とどう折り合いをつけるのか、そのバランス感覚が渋沢栄一の素晴らしいところだと思った。

    読むタイミングでも響く場所が違うと思う。時間を置いて何度でも読み返したい。

  • ▼書き抜き
    ・これは要するに、私の主義は「誠意精心、何事も誠をもって律する」と言うより他、何物もないのである。
    ・世の中のことを大事小事と区別するのは、つまるところ君子の道ではあるまい。
    ・怠惰はどこまでも怠惰に終わるものであって、決して怠惰から好結果が生まれることは断じてない。
    ・まさにおのれの欲するところを人に施さないで、ただ我を募り、強い者が無理を押し通すというのが、今日の有様である。一体文明とはなんであろう。要するにきょうの世界は、まだ文明が足らないのであると思う。
    ・誠に人を評論しようとするならば、その富貴功名のような、いわいる商社とか歯医者とかではなく、その人が世に尽くした精神と効果によって、すべきものである。
    ・「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし、急ぐべからず。不自由を常と思えば不足なく、心に臨みおこらば困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基、いかりは的と思え。勝つことばかり知りて敗くる事を知らざれば、害その身に至る。おのれを責めて人を責めるな。及ばざるは過ぎたるにまされり。
    ・しかし、とかく人は迷いもので、常日頃は「かくあるべし」「かくすべし」と固く決心していた者も。急転して知らず知らずに自己の本心をだまし、平素の心構えと全く違う判断、行動してしまうのは、常時における精神修養に欠ける所があり、意思の鍛錬が足らぬことにおり生じるのである。
    1、小さな出来事でも、これをいい加減にしてはなっておくのはよくない。
    2,事故の意思に反することは、ことの代償は関係なく、してはいけない。
    3,最初は些細なこととあなどってやったことが、遂にそれが原因となって総崩れするような結果を生み出すものであるから、何事に対してもよく考えてやらねばならない。
    ・とかく世の中は、人の結末だけを見てこれを評価し、その結末を得る原因がどれほどであったかということに、思い至らぬ輩が多くてならぬ。
    ・ゆえに人間は、人力では以下ともすることもできない、ある大いなる力の存在を認めることだ。人力を尽くしさえすれば、無理なことでも不自然なことでも、なんでもアナらず貫徹するものと思わず、恭、敬、信をもって天に対し、正々堂々と大道を歩み、無理をせず、不自然な行為したりするのを慎むこと。
    ・人生を俯瞰し超然として立ち、どうりにして一身を終始するならば、成功失敗にこだわらず、それ以上に価値ある生涯を送ることができるのである。

    学び
    ・小事をほったらかしにしない。君子の道にあらず。
    ・天命を探し続ける。意思と適正から。
    ・意思を強く持つ。鍛え続けていれば誘惑に惑わされなくなる。

  • 新一万円札の顔、2021年大河ドラマになった、渋沢栄一の著を読みやすく現代語訳

著者プロフィール

渋沢栄一:1840(天保11)年2月13日、現在の埼玉県深谷市血洗島の豪農に生まれる。幕末はのちの将軍・徳川慶喜に仕え、家政の改善などに実力を発揮し、次第に認められる。 27歳のとき、慶喜の実弟・昭武に随行し、パリの万国博覧会を見学するほか、欧州諸国の実情を見聞し、先進諸国の社会の内情に広く通ずることとなった。帰国後は「商法会所」を静岡に設立。その後、明治政府に招かれ、のちの大蔵省の一員として国づくりに深くかかわる。1873(明治6)年に大蔵省を辞した後は一民間経済人として活動。第一国立銀行の総監役(後に頭取)として、同行を拠点に、株式会社組織による企業の創設・育成に力を入れた。また、「論語と算盤」として知られる「道徳経済合一説」を説き続け、生涯に約500もの企業にかかわった。さらに、約600の教育機関・社会公共事業の支援や民間外交に尽力。実業家のなかでは最高位となる子爵を授爵する。1931(昭和6)年11月11日、多くの人々に惜しまれながら、91歳の生涯を閉じた。

「2024年 『渋沢栄一 運命を切り拓く言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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