日本近代史 (ちくま新書) [Kindle]

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  • 「安政の大獄」前夜(1857年)から、太平洋戦争前夜(1937年)までの約80年を著者独自の視点から6期に分離し、各期に詳細な史実を記載した日本近代通史。

    80年というと歴史の中にあっては短い期間にも思えるが、尊王攘夷から明治維新、大正デモクラシー、ファシズム台頭まで、政治史的には激動といってよい時代を切り取っているために、非常に濃密な一冊になっている。全体的に、詳述すぎて全体の流れを押さえにくい印象があるが、近現代史にある程度通暁した読者を想定してのことだろう。

    従来の歴史解釈や、一般に流布している解釈(西郷隆盛や原敬の評価など)に対して独自の解釈を開陳している箇所も多く、うまくいっているところも、いないところもあるが、その不完全さが逆に近代史研究の面白さを伝える。「現在」の影響を少なからず受けるのも近代史の特徴で、本書の場合は2009年民主党政権発足時の影響か、政権与党と官僚の癒着の起源を議会設立当初に求める指摘がユニーク。

著者プロフィール

一九三七年神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京大学社会科学研究所教授、千葉大学法経学部教授を経て、現在は東京大学名誉教授。専攻は日本近代政治史。主な著書に、『明治憲法体制の確立』『日本憲政史』(以上、東京大学出版会)、『帝国と立憲』(筑摩書房)、『昭和史の決定的瞬間』『未完の明治維新』『日本近代史』(以上、ちくま新書)、『近代日本の国家構想』(岩波現代文庫)、『〈階級〉の日本近代史』(講談社選書メチエ)、講談社現代新書に『明治維新1858-1881』(共著)、『西郷隆盛と明治維新』などがある。

「2018年 『近代日本の構造 同盟と格差』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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