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感想・レビュー・書評
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「安政の大獄」前夜(1857年)から、太平洋戦争前夜(1937年)までの約80年を著者独自の視点から6期に分離し、各期に詳細な史実を記載した日本近代通史。
80年というと歴史の中にあっては短い期間にも思えるが、尊王攘夷から明治維新、大正デモクラシー、ファシズム台頭まで、政治史的には激動といってよい時代を切り取っているために、非常に濃密な一冊になっている。全体的に、詳述すぎて全体の流れを押さえにくい印象があるが、近現代史にある程度通暁した読者を想定してのことだろう。
従来の歴史解釈や、一般に流布している解釈(西郷隆盛や原敬の評価など)に対して独自の解釈を開陳している箇所も多く、うまくいっているところも、いないところもあるが、その不完全さが逆に近代史研究の面白さを伝える。「現在」の影響を少なからず受けるのも近代史の特徴で、本書の場合は2009年民主党政権発足時の影響か、政権与党と官僚の癒着の起源を議会設立当初に求める指摘がユニーク。詳細をみるコメント0件をすべて表示