ばしゃ馬さんとビッグマウス(通常版) [DVD]

監督 : 吉田恵輔 
出演 : 麻生久美子/安田章大 
  • キングレコード
3.43
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988003825454

感想・レビュー・書評

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  • 最近気に入っている吉田恵輔監督の旧作(2013年)。

    吉田作品では『純喫茶磯辺』も『犬猿』も『さんかく』もよかったが、これもなかなか。私はこの監督とウマが合うというか、リズムが合う。

    脚本家を夢見てシナリオ・コンクールに応募しつづけるも、一次予選にすら通過したことがない34歳独身のヒロイン・馬淵みち代を、麻生久美子が好演。
    この役にこれほどハマる美人女優は麻生久美子しかいないだろう。化粧っ気のない地味メガネ姿でも、とても美しくチャーミング。

    脚本家に限らず、何かの「クリエイター」を目指した時期のある人にとって、これほどヒリヒリと痛い映画はほかにないだろう。最初から最後までヒリヒリしっぱなしだ。

    なにしろ、これはよくある「頑張れば夢はかなう」という映画ではなく、「どんなに頑張っても、才能がなければ夢はかなわない」と現実を突きつけ、世の「ワナビ」たちに冷水をぶっかける映画なのだから……。

    こんな映画が過去にあっただろうか? たとえ夢がかなうまでは描かなかったとしても、かなうことを予感させて終わるのがフツーの青春映画だろう。

    管見の範囲で本作に近いのは、コーエン兄弟の『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』だろうか。あの映画でも、主人公ルーウィン・デイヴィスは最後までフォーク・シンガーとして芽が出ないままで終わる。

    ただ、ルーウィンはまがりなりにもレコード・デビューを果たしていたし、モデルになったデイヴ・ヴァン・ロンクは通好みながらも多数のアルバムを出すまでに成功している。その意味で、本作のほうがより徹底した〝「夢はかなわない」映画〟と言える。

    みち代オンリーだったら、切なく哀しい物語になったであろう。「ビッグマウス」こと自称天才脚本家・天童義美(安田章大)をもう一人の主人公に据えることによって、ビターな青春コメディになった。

    天童のように、一度も作品を書き上げたことがないのに「天才」を自称するイタイやつは、脚本家・小説家・マンガ家等、各界ワナビの中に多数実在するのである。

    みち代が天童を罵倒し、缶コーヒーを吹き出すまでのシークェンスがすごい。『純喫茶磯辺』で、麻生久美子が男に殴られて鼻血を一筋出すまでの奇跡的タイミングの名シーン(観ていない人には意味不明だろうが)に匹敵する。

    そしてもう一つ、みち代が元カレ(岡田義徳)の家に行き、「夢」への未練について泣きなから語るシークェンスが秀逸だ。

    「ホントはね、きっと夢はかなわないんだろうなって、わかってはいるんだけどね……。でもね、抱いちゃった夢って、どうやって終わりにしていいかわかんないんだもん……」
    「夢をさァ、かなえるのってすごい難しいのは最初からわかってたけどさ。夢をあきらめるのって、こんなに難しいの……?」
    ――なんと哀切なセリフだろう。

    ワナビのイタさを笑いと切なさに昇華し、〝青春の終焉〟を活写した傑作。

  • 2013年

    綺麗事が少なくて現実味がある内容は好みだった。
    頑張っても報われない主人公が自分と重なって少し落ち込んだが、自分は頑張ってもなければ夢もない事を改めて思い知り更に落ち込んだ(笑)
    何か一つぐらいはこの主人公みたいに必死になりたい。

    “次々と脚本コンクールに応募するものの、一次審査すらも通らない34歳の馬淵みち代(麻生久美子)。そんな彼女と同じシナリオスクールに通う26歳の天童義美(安田章大)は、自分の作品をほとんど書いたことがない割には、常軌を逸した毒舌で他人のシナリオを酷評する。そんな彼らが出会ってしまい、何と天童がみち代にほれてしまう。嫌味な自信過剰男だと自分を嫌うみち代に認めてもらおうと、ついにシナリオを書くことを決意する天童。意外な彼の真摯(しんし)な姿に、みち代も心を開き始めるが……”

  • 夢に向かって壁にぶちあたれよ、青春?

    とちゅうまで、身につまされるなーと、イタいイタいと思いながら見ていたけれど
    とちゅうから、話の展開に感情移入できなかった……

  • 夢を見さしてくれる映画ではなく、現実を叩きつけてくる映画でした。

    ばしゃ馬さんとビックマウスを正反対の二人が登場するんだけど。なんか自分の中にこの二人があるときは、ばしゃうまさん、ある時はビックマウスがたしかに存在していて。見につまされるそんな映画です。

    ビックマウスの役者がとてもハマっていると思いました。この人がジャニーズだったのがほんとにびっくりです。
    シナリオライターという仕事もなんとなく垣間見れたような感じもしたし、物語を描く側の苦労も。

  • 安田くんがけっこうよかったです。

  • 勧められて観たんですけど面白かった!
    麻生久美子の足がきれいすぎて惚れ惚れするけどはっきり映さない演出ズルイ。
    ラスト前のカットバックで麻生久美子に当たる陽の美しさにゾクゾクしました。
    安田章大の演技も良かったですね。

    最終的には麻生久美子の腹が撮りたかった映画だと思います。間違いない。

    すごく面白かった。

  • テンポが悪くてきつかった…

  • 「誰もが夢を叶えるわけではない」その通りですが、自分が夢を叶える側でないことを受け入れるのは難しい。今年の芥川賞だって63才の人が受賞したって聞くと、ますます諦めづらくなります。でも、これは夢見た多くの人がたどるリアルなドラマですね。麻生久美子が、引くに引けない感とそれでも年貢を納める心のうちを良く演じてました。

  • 2017/10/22

  • BSでやってたのを録画して鑑賞。
    みんな夢と折り合いをつけながら、葛藤しながら生きていくのだ。かなえばよし、かなわなくても人生は続くのだ。
    そういう映画だった。
    ずっと続けていればものになってたのかな、って思うことある。岡田義徳の台詞に激しく同意した。
    最後に脚本関係の本や書類を処分する主人公を見て、私も昔の夢についての本を捨てる踏ん切りがようやくついた。

    安田章大に対する秋野暢子の「あんたはやればできる子やから」みたいな愛情がいいな、と思った。それがビッグマウスの原因だとしても、そういう母の愛っていいな、と思った。
    そして麻生久美子のメガネ姿がかわいすぎる。
    メガネの岡田義徳とのキスシーンはエロい&メガネどうしということもあって眼福だった。

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