ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書) [Kindle]

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著者 : 杉山春
  • 筑摩書房 (2013年9月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (142ページ)

ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

  •  大阪のマンションで置き去りにされた二人の乳幼児が餓死していた事件は、思い出すだけでも涙が出るほど痛ましい。子供を閉じ込めたまま遊び歩いていたという母親は当然世間から非難を浴びたが、彼女がどんな人生を送ってきたか丁寧に取材してまとめられた本書は一読に値する。

     父親は高校教師で、荒れた学校の生徒たちをラグビーで鍛えたという、スクール・ウォーズの熱血教師みたいな人だったようだ。従って彼女も幼少期はかなり厳しく育てられたが、次第にグレて悪い仲間と交わるようになるという、これまたドラマみたいな展開だ。

     離婚して子供二人を抱えた女性が近親者もいない見知らぬ土地で生活していくのは、よほど優秀な人でも簡単ではない。まして彼女はいわゆる底辺の人だ。風俗で働くようになったのは必然的な帰結だったろう。全ての責任を彼女に負わせて何の手助けもせず、事件発覚後は被害者面して厳罰を求めたという元夫とその親族に対しては強い怒りを覚える。

     このルポを読んで感じるのは、彼女は単に無責任で奔放な人というわけではなく、むしろ自分の能力に見合わない責任感を持っていたということだ。そういう人は周囲に助けを求めることができない。その先にあるのは自滅だが、彼女の場合は子供たちが犠牲になってしまったのだ。

     あまりにも痛ましい事件ではあるが、この母親が特殊な人物とは思えない。短絡的に彼女を責めて罰するだけでなく、誰がどうすれば救うことができたのかきちんと検討しなければ、同じような事件はまた起こるのではないだろうか。

  • 二人の幼児がマンションの一室で餓死した"大阪二児置き去り死事件"のルポルタージュ。

    途中で何とかならなかったのかと何度も思いながら読み終わった。
    目の前の現場で一杯で細かな所まで手が届かない公共福祉、
    現状を知らず手を貸さない方が良いと判断する父母や元夫、
    自分を良い母親として盛って見せていたため周囲に助けを求められない母親。
    現実を直視できなくなった母親は家に子供を残し、食料を置いて、家を空けるようになる。
    無縁社会、シングルマザー世帯の貧困、育児放棄、親から連鎖するDVなど、
    現代社会の様々な問題が実感できる一冊でした。
    先日のベビーシッターの死体遺棄事件とも通じるものが多々あると思います。

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