絶望の裁判所 (講談社現代新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 2016年出版なんだが、裁判所を含む日本の司法界の実体は、戦時中かと思う様な世界であることに、衝撃を受けた。
    おそらくこれは裁判所周りのシステムだけではなく、政治もそうだろうし、身近なところでは大方の会社などもそうなんだろう、と思われる。が、どうしたら変えることができるのか、個人の力ではどうしようもない、というのが実情ではないか……。
    そんな感じで、読んでいるとなんとなく嫌な気分になってくる。

  • ○引用
    趣味も、教養も、一定の限度には達しているが、同じようなほかの人々のそれと救い難く似通っていて、彼自身が備えていると信じている本当の可能性は感じられない。価値観についても同様であり、頭のよい、そして表面的には感じのよい人間でありながら、彼の存在には、人々の心を深くゆり動かすような何か、存在の重みといったものが決定的に欠けている。

    法理論というものは、純利にとどまらない結論正当化のための理屈という性格を必ずいくぶんかは含んでいる。社会・人文科学の科学性に限界があるのはこうしたことが一つの理由なのだが、人々の行動を規正する規範を研究する学問である法学については、ことにこの限界が大きい。悪い法理論は、最初に結論を決めてただそれを正当化するために構築されていることが多い。

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。東京大学法学部卒業。1979年から裁判官。2012年明治大学教授に転身、専門は民事訴訟法・法社会学。在米研究2回。著書に、『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』(第2回城山三郎賞受賞)『民事裁判入門』(いずれも講談社現代新書)、『檻の中の裁判官』(角川新書)、『リベラルアーツの学び方』『究極の独学術』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『教養としての現代漫画』(日本文芸社)、『裁判官・学者の哲学と意見』(現代書館)、小説『黒い巨塔 最高裁判所』(講談社文庫)、また、専門書として、『民事訴訟法』『民事保全法』『民事訴訟の本質と諸相』『民事訴訟実務・制度要論』『ケース演習 民事訴訟実務と法的思考』(いずれも日本評論社)、『民事裁判実務と理論の架橋』(判例タイムズ社)等がある。

「2023年 『我が身を守る法律知識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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