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- / ISBN・EAN: 4571390736849
感想・レビュー・書評
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これぞ、ドラン監督的総合演出を心ゆくまで楽しむための映画、という感じの作品でした。
女性で異性愛者のマリーと、男性で同性愛者のフランシスは、昔からの親友同士。
彼らは二人とも、あるホームパーティで出会った、ギリシア彫刻のような美青年でおまけに人たらしのニコラに恋してしまう。
恋のライバルになってしまった親友二人の微妙な駆け引きが始まるけど、享楽的でずるいところのある天性の「小悪魔」なニコラは…というお話。
展開に、というよりは、身体の一部をやたらとクローズアップしたり、故意に断片的だったり緩慢だったりする独特なカメラワーク、鮮やかな色使い、新旧音楽やレトロな衣装のセレクトなど、すべてを一人で担うドランらしい細かいこだわりの演出の積み重ねと融合に、まずは目がいってしまいます。
でも、たんなるお洒落なラブコメというわけでもなく、恋愛の一種の真理を容赦なく晒してしまうあたりにドランらしい哲学性を感じます。
まるでドキュメンタリーのように、三人とは全く無関係の人物たち四人が各々が体験した恋愛を語るシーンの挿入などの手法などは、恋愛って、現在進行中の当事者にとっては、生きるか死ぬかって思い詰めるぐらいの大問題だけど、いざ終わってしまって時間が経つと、苦しく割り切れはしないものながらも、意外と小さいことだったかも(と自分を納得させるもの)…と見返すようなものだったり…という、残酷なようで救いのある真理を、恋愛映画を鑑賞中の鑑賞者に、話の途中途中で何度も容赦なくチクチク針のように刺していくセンスよ…。
もう、ドラン・アートと呼びたいかも。
物語の最後は、たとえライバルになった相手でも、切れない親友の関係っていいなあ、と思えます。
色々な意味で、観て楽しい、素敵な作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フランシス(グザヴィエ・ドラン)が好きになった人は、親友マリー(モニア・ショクリ)も思いを寄せるニコラ(ニール・シュナイダー)という青年。
二人ともニコラに首ったけなのに相手の内心を探るために悪口を言ったり、ニコラの思わせぶりな態度にどぎまぎしたり。複雑な三角関係の中、片思いの歯がゆさや嫉妬心に身もだえする……。
デビュー作「マイ・マザー」では母親と息子の愛憎劇をストレートに描いたグザヴィエ・ドランが、片思いが交錯する三角関係を描いたビターなラブコメディに挑戦した監督第2作。
ニコラが悪気なく発する甘い言葉や行動にマリーやフランシスが一喜一憂したり、恋のライバルがいない時にライバルのイメージを下げることを言ったり、片思いの相手とライバルが仲良くしているとイライラしたり、片思いしている時のイタさがリアルに描かれるので、見ながら「あるある」と笑ったり泣いたり楽しめる。
片思いしているマリーやフランシスの気持ちを「バンバン」(タランティーノの「キル・ビル」で使われた曲)で表現するなど、音楽の使い方が絶妙だし、グザヴィエ・ドランの小物やファッションやライティングのセンスの良い色彩感覚が冴え渡っている。
グザヴィエ・ドラン初心者にも楽しめるビターなラブコメディ映画です。 -
仲の良いマリーとフランシスが、新しく出来た友だち・ニコラをふたりとも好きになってしまって展開される片思いのあれこれ。
ニコラ…こんな人好きにならないはずがないと思わせるたらしっぷりでした。明らかにクズ系のイケメン。好きになったら振り回されるタイプ。。
マリーとフランシスの、お互いへの牽制とニコラを交えての歯痒い感じがひしひしと伝わってきます。
恋が終わった瞬間の痛みも。ニコラがふたりを振る言い方が、あ、ダメなやつ!ってなりました。フランシスを否定したみたいな言い方もだし、マリーのときの、鍋を火にかけてるから、って何だ。
マリーが煙草を吸う理由が切ない。
1年後、赤でキメたマリーとフランシスとっても格好良かったです。ニコラが完全に、ふたりの人生から弾かれてた。
でも、それからルイ・ガレルに走るって、マリーとフランシスの男の趣味一緒だしこれからも恋敵なのでは…と思いました。
でも、仲良いの素敵。いいな。
フランシスのかた、監督さんだったのか。こういう想いを経験したことあるんだろうな。
これからも作品を観ていきたいです。 -
原題:Les Amours imaginaires
レンタルで鑑賞。
良くも悪くもグザヴィエ・ドラン作品。
この作品が彼の長編二作目で、しかも当時21歳だと言うから驚き。
もう既にスタイルが確立されている。 -
ラストがイマイチだったかなぁとは思うが、演出やカメラワーク?、音楽、色彩的なところではさすがグザヴィエ・ドランという評価である。ラスト、ニコラと再会したときに、フランシスが喉をカーって鳴らすシーン、あれに違和感を感じる日本人は多い気がする。
マリーはタバコが好きで、タバコがあるから生きられるとも言っていた。が、後日、タバコをやめたと言った。生き甲斐であるタバコをやめようとするほど、ニコラとの日々は彼女にとって大きな出来事であった。そして、私も禁煙中である。現在も。 -
不思議な浮遊感の漂う映画だった。仲の良い二人の男女(男はゲイ)が、一人の美しい青年を好きになり、その三角関係の様子を繊細に描いた作品。本気の恋はかたちはどうあれいつも痛々しいものなのだなあと思った。ニコラが金髪の巻き毛でキラキラの美青年だった。あんなのと知り合ったら誰でも一目で恋に落ちそう。
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ドラン愛しい…魅せられまくる…!この映画はヒトタラシに弱い二人組の話でした
「大切なのは誰かの隣で起きること」
ドラン映画について、キャストが!ドランがメインキャストに起用するキャストは他のドラン作品にも出ているひとだったりで、「あれこのお母さんマイマザーのお母さんだ」とか「この先生わたしはロランスの彼女役の人だ」とかいう楽しみもあった〜2作品しか観てない頃は気付かなかったやつ
上映前にドラン作品の解説トークみたいなのも上映されて、そこで言ってた
「近距離後ろ姿のカットが多い」「快楽や啓示のシーンでのスローカットは必ずある」「独特の画角で演者の目の動きが分からないことにより観客との間に距離が生まれる」「シンメトリーカットも特徴的」
っていうの聞いてから映像観たら、ものすごいほんとその通りでドランの狙い通りに観せられて感じさせられてたのだなあと
それでいて監督も脚本も衣装も主演もやっちゃうんだもんな…どういう思考構造なんだろ頭よすぎる -
ニコラの、天性の人たらし感がとても良かった。フランシスとマリーが目の前で取っ組み合いのケンカをしているのに、自分はその横でほくそ笑みながら煙草を吸って眺めてるシーンが好き。
(@目黒シネマ) -
Les Amours imaginaires
2010年 カナダ 101分
監督:グザヴィエ・ドラン
出演:グザヴィエ・ドラン/モニカ・ショクリ/ニールス・シュナイダー/ルイ・ガレル/アンヌ・ドルヴァル
http://picturesdept.com/jp/titles/heartbeats/
https://www.facebook.com/XDolan2nd/
目黒シネマでドラン二本立て。こちらは二十歳の頃の主演・監督映画。とりあえずまだあどけないドランが可愛いすぎる。なんか誰かに似てる気がずっとしていたのだけれど、ウエンツ君かも(笑)
姉弟のように仲良しなマリー(モニカ・ショクリ)とフランシス(グザヴィエ・ドラン)。フランシスはゲイなので二人の間には恋愛感情は一切ない。しかし同じ男性ニコラを好きになってしまったことで奇妙な三角関係に。共同戦線、駆け引き、あげく掴み合いの喧嘩、と、むしろニコラそっちのけで二人の関係性がめまぐるしく変化するのが面白い。
ニコラは二人を翻弄する魔性の青年・・・というよりは単に誰にでもいい顔をする八方美人タイプ。なのだけど、演じるニールス・シュナイダーがとにかくべらぼうに美しい!!!何その金髪巻き毛!そんな巻き方、萩尾望都の漫画でしか見たことないよ!とテンションだだあがり(笑)それだけで★ひとつ追加。
マリーはちょっと老け顔だけど美人でレトロ調ファッションが可愛いし、全体的におフランス映画的色彩もオシャレで、とりあえず目の保養度は抜群。フランソワ・オゾンの初期作品を彷彿させられました。
最後にちょこっとだけ登場する、マリーとフランシスの新しい恋の相手がルイ・ガレルで、なんだ二人とも結局面食いだからタイプかぶっちゃうだけなのねっていう(笑) -
ニールス・シュナイダーの美しさたるや聖母子像からそのまま抜け出して来たようだ。もーさすがドランさん。誰より男子を綺麗にエロく撮る天才。劇中に挟まれる一曲一曲がかなり仏的で洒落てた。画のカラーリングもアーティスティック。
ニコラがかなり不憫な役回り