終わる夏休み。ついに公生は音楽の道に進学することを決意する。しかしそれは地元から離れることを意味し、それはまた公生だけではなく生まれた頃からずっと一緒だった椿にとっても意味のある決意だった。「あんたなんかいてもいなくてもおんなじなんだから」。そう言ってきた今までの記憶が絶えず椿の頭を巡る。そんな椿は彼氏である先輩に別れを告げられ、「キズつく人が出るよ」と言われたことの意味を初めて理解する。そんな椿は一人音楽室へ向かうが、その横にそっと座るのは公生だった。自分だけが変わらないことを望む中、前へと進み始める公生や渡の姿を思い、そして変わりゆく関係性に涙する椿。そんな椿に公生は何も言わず、「一緒にいるよ」とだけ告げる。進み始める公生と一緒にいるためには椿もまた、歩み始めなければいけないのだった。
一方の公生は二学期になってから登校していないかをりの容態が気になり見舞いに足を運ぶも、不吉な前兆ばかりを感じ、足を向けられずにいた。そんな中、突如木の上から少女が落下してきてーその少女は音楽の名門、胡桃ヶ丘中1年の藍里凪と名乗り、紘子の弟子にしてほしいと申し出る。ピアノでその気にさせてくれたら、と公生がコンクールで演奏した曲と同じものを退かせるが、演奏の上手さと同時にその棘棘しさを感じ取った紘子は弟子入りの代わりにその指導を公生に任せる。
公生は文句を言いつつも受け入れ、意を決してかをりの病室へ足を運ぶが、病室の中に渡の気配を感じそのまま引き返してしまうのだった。そんな公生を知ってか、電話をかけるかをり。お父さんのカヌレを持ってきてね、と約束をする二人。カヌレの苦さが心に沁みる公生だった。そしてそんな公生を楽しみに待つかをりの足は、立つことすら許さない状態になっていた。
かをりの容態を知らない公生は凪のレッスンを始める。機械じかけと呼ばれた彼だけあって、事細かに的確な指導を見せる公生。一方で凪は楽譜至上主義の反抗を見せる。
その合間にかをりのお見舞いを考えていた公生。そんな帰路に現れたのは他でもないかをりだった。
「君でいいや」。渡の代役を任命された公生はかをりのショッピングの荷物持ちに使われる。かをりの変わらぬ姿に安堵する公生。二人はそのまま学校へ向かう。なんでもない日常を過ごした今日という日を二人は忘れない、死んでも忘れない。二人の帰り道には、そんな一日を忘れるなと言わんばかりの流星が降り注いでいた。そして公生の背中でかをりは止めることができない涙を流していた。
そして別の日。公生は凪のレッスンを続ける。厳しいレッスンについに凪はレッスン場を出、紘子は公生に追いかけるよう言う。神社で一人座り込む凪に声をかける公生。少しずつ悩みを打ち明ける凪。初めて「有馬センセ」と呼ぶ中で、凪は公生の想いも聴く。少しずつ分かり合う二人。凪は、公生に自分と似たところを見つけ、ピアノへの向き合い方が少し楽になるのだった。
一方、そんなレッスンをしている時間はない、と激怒するかをり。自分のせいではなく、練習もしていると言い返す公生。そのやり取りの中でかをりは自然と涙が出てしまうのだった。
そんなかをりを心配して再び見舞う公生。かをりの姿に亡くなった母の姿を重ねる中、かをりから出た一言は「あたしと心中しない?」だった。