花競べ 向嶋なずな屋繁盛記 (講談社文庫) [Kindle]

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  • 向嶋で評判の植木屋(種苗屋)"なずな屋"の主人・新次は、腕のよい花師(樹木や草花の苗を、実生・挿し芽・挿し木・接ぎ木で育て、品種改良や新種の作出を行う職人)。新次の妻・おりんは元手習いの師匠。この他、知り合いから預かった男の子・しゅん吉(雀)、新次の幼馴染み・留吉とその女房・お袖、上総屋の隠居・六兵衛らが登場し、"なずな屋"に巻き起こる様々な出来事を連作短編形式で描いた時代小説。人情味溢れるホームドラマであり、かつ、植木職人(花師)の営みを通して、季節の草花を愛で、新種を珍重する江戸の風流を描いた秀作。

    癒されるなあ。草花を扱っているのもいい。植木職人、憧れちゃうなあ。

  • Kindle Unlimitedで読了

    江戸の花師、新次とおりんの夫婦は、向嶋で評判の花苗の店、なずな屋を営んでいる。伸び盛りのなずな屋だが…。

    卒論も図書館の本も放って、うんうんと悩んでいたここ数ヶ月。家内の心配事を引き受けて、ちょっとまっとうな人々の出てくる小説が読みたかった。親友が見事な落語を聞かせてくれて、江戸物の時代小説に手が伸びた。朝井まかての作品らしく、破綻なく、気になったところはきちんと回収される。宇江佐真理亡き後、筋を通して、こつこつと生きる、芯のある人々を描くなら、朝井まかてだろうなと思わせる。

    ダメでぽんこつな女と指をさされる私でも、読んでる間は背筋が伸びるのだ。

    新次と、奉公先の娘だった理世の秘めた恋は、記憶に残るが、おりんにそれを悟らせないのは、新次の優しさなのか。おりんへの愛情はうすいような、そんな気がする。
    預かり子のしゅん吉がいなかったらこの夫婦は危うかったかもしれない。そこだけがくしゃっと気になったけれど、それ以外は本当に気持ちのいい物語だった。

  • 時代小説は圧倒的に男性の作家が多い。侍や職人など主人公も圧倒的に男性が多いからか、女性は添え物の感がある。
    そんな中で「朝井かまて」の小説は他とは一線を画していると思う。

    自分の仕事に熱心に真摯に取り組む主人公。
    それを支える女房。
    そんな二人を陰から助けるご隠居。
    登場人物の誰もが物語の中で生き生きと動き、映画でも見ているようにその姿が頭に思い浮かぶ。
    次から次へと降りかかる災難を自力で、助けられて乗り越えていく様子は今の時代にも置き換えられて物語の中にどんどん引きこまれ一気に読んでしまった。
    読み手を江戸の町へ連れて行ってくれる一冊です。

著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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