闇金ウシジマくん(29) (ビッグコミックス) [Kindle]

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  • 小学館
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  • 闇金ウシジマくん29 2013

    『闇金ウシジマくん』(やみきんウシジマくん)は日本の漫画家である真鍋昌平による漫画。2004年から2019年まで『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で不定期連載された。
    2010年10月より、山田孝之主演で毎日放送(MBS)の制作によりテレビドラマ化され、その映画版が2012年8月25日より公開された。また2014年1月にはドラマの新シリーズが放送された他、5月16日には新作映画が公開された。詳細はテレビドラマの記事ならびに映画の記事参照。

    概要
    10日5割(トゴ)の超暴利闇金融『カウカウファイナンス』の経営者である丑嶋馨とその従業員の日常と、カウカウファイナンスに訪れる客、およびその関係者の様々な人間模様と社会の闇を描いたストーリー。物語は各エピソードの中心となる人物の視点で進み、丑嶋はそれらの人物に接触する狂言回し的存在である。そのため丑嶋が全く登場しない回も多い。なお「○○くん」というタイトルは、当時流行した「むじんくん」(アコム)、「お自動さん」(アイフル)などのサラ金の自動契約機のネーミングから着想を得ている。
    2022年3月時点で累計発行部数は2100万部を記録している。
    第56回(平成22年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞作品。
    連載を終了した理由として、作者は「闇金業者という犯罪者の視点で描く話に限界を感じていた。『突き詰めて描けば描くほど読者が離れる』」と述べている。その後、弁護士を主人公とした『九条の大罪』を連載開始した

    「中年会社員くん」編

    加茂(かも)
    本エピソードの債務者。一流企業に勤める40代の中年社員で、役職は課長補佐。妻子持ちのマイホーム住まい。
    表向きは誠実な人柄で通っているが、その裏で浮気や人事考課表の改竄を行うなど、卑劣な本性の持ち主。過去に闇金融からの借金を踏み倒したことがあり、それが原因で獏木に拉致、暴行を受けた上に、400万円という大金を要求されてしまう。
    丑嶋の仲介により、闇金絡みのトラブルは解決する。しかし、その直後に浮気相手の瑠璃に花蓮とのやり取りがバレて切り捨てられ、さらに改竄行為が社内に露呈してしまう。最終的に自らが追い出し部屋勤務に回されるようになり、妻からも離婚を突きつけられてしまう。

    曽我部正行(そかべ まさゆき)
    加茂の同僚。真面目な会社員であるが、加茂による改竄行為の責任を転嫁させられたことにより、追い出し部屋勤務を強いられていた。既婚者で妻と2人暮らし。
    要領の悪さが災いして上司との関係がうまくいかず、パワハラを日常的に受け、最終的に退職せざるを得なくなる。その後、かつての同僚であった服部の紹介により、転職を果たす。転職後はブラック企業同然の過酷な労働環境に苦しむことになるが、働き甲斐は感じている様子。

    曽我部恵(そかべ めぐみ)
    曽我部の妻。妊娠していた子供を亡くしている。夫に対して時折、敬語を使う。

    瑠璃(るり)
    加茂の不倫相手で保険外交員。地味な容姿だがスタイルは良く、加茂がUSBメモリの中に隠し撮りしていた写真が多数存在している。
    加茂からは雑な扱いをされながらも耐えていたが、彼が花蓮に送ろうとして誤送信したメールを見たことで吹っ切れ、加茂と決別する決意を固める。
    加茂の会社の人事部長宛に加茂の不正を告発した後、結婚することを加茂に伝えて別れを告げた。

    雅花蓮(みやび かれん)
    加茂の行きつけのキャバクラ「セリーヌ」のキャバ嬢。元々はタレント養成所に通っていたためか、立ち居振る舞いが女優やモデルのように見えることも多々。
    ネイルサロンをオープンするのが夢であり、そのために加茂を利用する。

    花丸(はなまる)
    加茂と曾我部の元上司で、部長職に就く中年の男性。部署異動してから部下を飲みに誘っても断られ続けており、自身が現在の部署では嫌われているのではないかと心配する。加茂が飲みの誘いを承諾し、自身を持ち上げたことで安心していたが、加茂からは「以前の部署にいたころから評判が悪かった」と内心で毒づかれていた。

    伊達(だて)
    曽我部が転属させられた「キャリア開発部」の上司。日常的にパワハラを繰り返し、曽我部を目の敵にしている。

    服部大助(はっとり だいすけ)
    曽我部の元同僚。現在はベンチャー企業の経営者となっており、曽我部に自分の会社への転職を持ちかけてくる。仕事はワンマン気質。

    獏木(ばくき)
    飯匙倩組の構成員。普段は工場らしき建物を根城にしている。
    かつては地元で敵無しと恐れられていた不良で、無意味に人の耳をライターで炙るなど傍若無人に過ごしていた。組では一番の下っ端となり、先輩組員からきつく当たられているが、飯匙倩からは貴重な生きのいい若い衆として可愛がられている。
    「中年会社員くん」編では加茂を脅迫して、カウカウに金を借りさせようとする。その件で丑嶋と交戦するがタクティカルペンで撃退され、最終話で肉蝮に片目を潰される。以後、眼帯を装着している。
    以降の話にも登場するが、銃を持つと手が震える、死体を見て吐き気を催すなど初登場時の大物感はすっかり影を潜めてしまっている。「ヤクザくん」編では肉蝮と丑嶋への恨みからマサルを手助けするが、最終的に飯匙倩に自ら止めをさす格好になってしまった。その後、丑嶋に射殺されたと思われたが実際は生存しており、滑皮に熊倉殺害犯は丑嶋であることを伝えた。最後の頼みとして丑嶋を殺させてくれと懇願するも結局、滑皮にそのまま殺され、遺体を土の中に埋められる。


    以上のようにWikipediaで紹介される作品。
    真鍋昌平氏による著作。
    週刊ビッグコミックスピリッツ2013年第32号〜第38号、第40号〜第44号掲載作品。
    2013年12月4日初版第1刷発行
    電子書籍制作会社 株式会社昭和ブライト

    中年会社員くん1~11

    どうしようもない人間、中年会社員の話だ。
    前回の洗脳くん編がかなり異色の話だったので、闇金ウシジマくんらしい話に戻ってきた感がある。
    冒頭で借金申し込み、浮気、浮気をバラすという脅迫、愛人に借金依頼とクズ人間フルコースだ。
    追い出し部屋がテーマの1つになっている。
    2013年頃朝日新聞で追い出し部屋特集の記事を読んだ記憶がある。
    キャリアなんちゃら部とか一見かっこいい横文字を使っているものの自分で職を探すか、自社の部署で自分でアピールして異動を勝ち取るのだという。
    (もちろん、厳しい金融の銀行や証券でその手の追い出し部屋は聞いたことはない。営業店での厳しい詰めで、営業中に失踪するとかある会社は追い出し部屋などない。追い出し部屋を設けないといけないくらい通常の部署はまともなコンプライアンスの効いている会社という印象だ。もちろんオーナーの強い企業や中小企業ではこの限りではない。追い出し部屋とは恵まれた大企業限定なのだ)

    しかしこの加茂、どうしようもないクズだな。
    愛人いて、さらにキャバクラの美人を向いて・・・救いようがない。
    オホーツク海に漁に行かせるか、鰐戸三蔵の拷問椅子に座らせて拷問を受けさせるかのどっちかが必要な気がする。
    キャバクラはホストくん編の逆だわな。
    仮想恋愛。
    こんな所に行っても得るものないやん。
    加茂のクズっぷりにイライラしてくる。
    そして闇金ウシジマくんを読んでいるという実感が湧いてくる。
    寂しさに堪えられない人間、大人になりきれていない人間が多いとテレクラくん編で丑嶋は最後の辺りで語っていた。それを思い出させる場面もあった。

    ライトとペンの使い方がまさか護身用とは。
    警察の職務質問で怪しい所持物をもっていない証明になると。

    最後に肉蝮がかなり久々に登場する。
    連載で読んでいたら、まず間違いなく誰これ?って感じになるくらい時間が経ってる。



    印象に残った点

    ドアは自分で開けて自分で閉めろよ

    俺ら(闇金)が閉めたら監禁になっからだよ。分かる?


    そう、無用な人間が送られる追い出し部屋だ。

    人事部の俺から言わせりゃ会社には確実に必要のない人間がいるんだ。

    だからって社員を簡単に解雇はできないから、他の会社に追い出すためにキャリア開拓部で職探しさせるのさ。

    良くはないな。30代ならまだしも40代での転職は厳しいよ。
    何のために一流大学を出てこの会社に入ったのかを問う毎日だ。

    金は思い出に残る使い方しねーとダメだって、丑嶋社長が教えてくれただろ?

    俺らガキの頃から利用されることが多かったから、利用する時だけ寄って来る奴じゃなくって本当に大事にしてる人間に金を使えってな。

    今までのキャリアを無視されて会社に腹が立ったよ。

    自分が俺の立場になったらどう思うんだ?

    加茂、お前も20年会社員やってきたなら、自分の技術、経験、知識を活かすことができない苦しみが分かるだろ?

    俺は今まで会社員は会社に貢献するのが使命と思ってた。

    どこかで会社を親のように信じていた自分がいた。
    まさか会社から自分が捨てられる日が来るなんて思いもしなかった。

    お前は批評家か?
    可愛くないんだよ。
    会社に貢献してない人間は辞めてもらって構わないんだぞ。

    金が全てじゃねえが、全てに金が必要だ。

    だいたい課長補佐なんて名ばかり管理職で残業手当も付かない社畜じゃねーか。

    会社の部下との飲みで、一皿280円のチェーン店の居酒屋か立ち飲み屋で安くあげても、
    付き合い付き合いで回数がかさんで一ヶ月の飲み代だけで4万円。
    昼飯は600円まで。
    缶コーヒーやペットボトルは買わない。
    他のキャバクラ代で3万円。
    瑠璃とのデート代で2万円。
    妻に内緒のキャッシングに利息の返済に3万円。
    それとあの金融屋の返済にあと5万か・・・・

    (飲み代の回数を削減すること、キャバクラ代、浮気相手とのデート代が無駄やろー。7〜8万円を生み出せる。缶コーヒーやペットボトルは買わないはまさに自分もそうしているのでめっちゃ実感がある。社畜とはこういうものなんだろうな。)

    人生はあっという間なのに、ほとんどがどうでもいいこと。
    人生の虚無を埋めるために、男はティッシュか女に向かって射精する。

    あの人リストラされた上司に似てる・・
    再就職に失敗してホームレスになったって噂を聞いたことがある。
    組織から離れたらおしまいだ。
    他の生き方なんてできない。

    金は使ってこそ価値があんだ。
    1万円の原価知ってるか?
    約28円。
    金は価値と交換できる引換券だ。
    金自体に価値はねえよ。

    肉の一番うまい瞬間を逃したら、もはや焼肉じゃねえ。牛の焼死体だ。

    その日に連絡して会える人間は貴重だ。
    天然記念物の珍獣より貴重だ。

    年をとると友達が減る。
    絶滅危惧種並みだ。

    家に帰っても居場所がない。
    妻との冷え切った関係は永久凍土。
    もう分かり合えない。
    家には帰りたくない。
    行く場所はない。

    その日約束もなく会える人間は貴重だ。
    若くて美しい女の貴重な時間を金で囲ってる養殖場がキャバクラだ。
    貴重な女がいるキャバクラが高いのは当然だ。
    ああ、寂しい。たまらなく寂しい。

    嫌なら辞めたら?
    簡単に言うね。
    金は必要なんだよ!

    デリヘル嬢を手マンした手で子供の寝顔に触れなかったのが俺の最後の良心。

    こっちは命の次に大切な金貸してるんだぞ。

    (キックバックを要求した心理)
    今まで、まーまーの給料で会社に貢献して来たんだ。
    臨時ボーナスを頂くのは当然でしょ!

    俺はちゃんと生きてない時間を過ごした。
    追い出し部屋にいた期間か?
    そうだ。
    不安定でもちゃんと生きたい。

    吹けば飛びそうな小さな所に転職するのは本当に勇気のある決断だ。
    尊敬に値する。
    頑張れよ曽我部。
    心から応援するよ。

    何者かになるために会社に入ったのに何者になりたいか分かっていなかった・・・・

    ほとんどの奴が自分本来の生き方を見失って、オンラインゲームやバラエティ番組で時間を浪費して思考停止のつまらない人生だ。

    自己愛の追求ですね。
    お金で関係もったり周りの人間を自分の都合で道具みたいに扱ってたら、心の溝は一生埋まりませんよ。
    周りの人間を傷つけて苦しめても、結局自分に返ってくるだけです。

    自己愛なんて求めなくても自分を許して最低限の自尊心が満たされたら、人に優しくなれる気がします。

    私みたいなブスは身体目当ての中年にしかちやほやされないけど、都合のいい関係は楽で楽しいです。でも一時しのぎに寂しさを埋めるのは虚しくなるだけで先がないから終わりにします。

    自己愛を満たしていたのは自分の一生を捧げる会社物語でした。
    辛い人生を生き抜くには物語が必要です。
    会社を信じていたのに追い出し部屋に押し込まれ、「必要のない人間」の烙印を押され、会社物語が夢物語だったと目が覚めました。
    大きな会社の会社員はいくらでも換えがきくから、会社員は不安に怯えてます。
    私は気が付きました。
    会社員はどの部署にいても役職者になっても換えがきくから同じだと。
    私の元同僚を馬鹿にする人間もいますが、彼はやりたい仕事を選びました。
    私は危険を冒してまでやりたい仕事などありません!
    だから私は一生会社にしがみつきます。
    何があっても絶対に。

    加茂さん、話なげーよ。なんだっけ?
    会社の社員と仲が良くっていいですね。
    うちは必要最低限で成り立ってる。
    いつパクられるか分からねえし、周りは敵だらけ。
    換えがきかねーだけだ。

    人は分かんねーもんとして扱う。
    いつ裏切るか分かんねえ。
    それでも仲間が大事。
    生きてくのに必要だから。

    そんな厳しい仕事選んで、なんのために働いているのですか?
    食うため。
    (食うためだけなら、丑嶋達は周りが敵だらけになるような闇金をやる必要はない。もしくはどこかのタイミングで闇金から足を洗っても良かったはずだ。とるかとられるかなら取る方を選ぶと1巻で語っていた。収入は多い方が良かったのか。丑嶋の能力なら表の仕事でも実績を出せたものと思う。ここだけは食うためという回答は加茂をあしらったとしか思えない。)


    2023/11/26(日)記述

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著者プロフィール

漫画家。神奈川県出身。1998年、『憂鬱滑り台』で「アフタヌーン」(講談社)四季賞夏のコンテスト四季大賞を受賞、同誌同年9月号に掲載され商業誌デビュー。2011年、『闇金ウシジマくん』(小学館)で第56回小学館漫画賞一般向け部門を受賞。その他著書に『スマグラー』『THE END』(講談社)などがある。

「2017年 『THE END クライマックス編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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