文藝 2014年 05月号 [雑誌]

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  • 河出書房新社 (2014年4月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910078210545

文藝 2014年 05月号 [雑誌]の感想・レビュー・書評

  • 【特集】人文書入門

    【対談】
    小林康夫×大澤真幸
    世界と出会うための読書案内
    いとうせいこう×千葉雅也
    装置としての人文書
     ——文学と哲学の生成変化論

    【アンケート】
    わたしのオススメ「人文書」3冊
    赤坂真理/池澤春菜/絲山秋子/大橋仁/鈴木涼美/長野まゆみ/平野啓一郎/ミカエル・フェリエ/真鍋大度/水戸部功

    【小説】
    青木淳悟 男一代之改革
    園子温 毛深い闇
    柳美里 サンタのおうち
    大鋸一正 ドーナツ
    中村文則 A
    平野純 スッピヤの新しい月
    藤谷治 黙過

    【新連載】
    田口ランディ 逆さに吊るされた男

    【連載小説】
    恩田陸 灰の劇場 第二回
    田中康夫 33年後のなんとなく、クリスタル 第三回
    町田康 ギケイキ 第五回
    岸本佐知子=編・訳
    コドモノセカイ 第二回 ラモーナ・オースベル「引き出し」

    【連載】
    生命と言葉の根源へと向かう新たなる思考
    若松英輔
    [評論]愛しみの哲学
    ——第三章 隠された悲しみ

    あの時の出来事は、我々に何を刻印したのか?「本」を巡る新たなる考察
    神山修一

    [書評カレンダー]あの日からのこと
    ——第十一回 穢れのまっただ中で生きるぼくらの…

    【BOOK REVIEW】
    池澤夏樹『アトミック・ボックス』野崎歓
    中原清一郎『カノン』中条省平
    辻原登『寂しい丘で狩りをする』藤野可織
    仙田学『盗まれた遺書』雪舟えま
    向井豊昭『向井豊昭傑作集 飛ぶくしゃみ』池田雄一

  • 河出書房から発行されている文芸誌、文芸の2014年夏号です。雑誌は基本的に本棚に登録しておりませんが、本号はとても重要な一冊だと思いましたので、例外的に登録します。

    何と言っても「特集 人文書入門」に収録された大澤真幸氏×小林康夫の対談が刺激的です。いかに人文書とカテゴライズされる本が世間の関心を失っているかということは、ブクログ含めたランキングの数々や、書店の店頭を見てみればすぐにわかる。それでもわたしは人文書とカテゴライズされる本を夢中になって読む。わたしの趣味そのものを改めて語ってくれている「有り難い」対談だったのです。

    “(大澤)もし人文書というものを書く、あるいは読むことの意味があるとしたら、その一つは「この船を放棄しても大丈夫だ」という確信をもてるようになること。(…)人文書に限らず今出ているすべての本は、「こういう時でも鬱病にならないためにはどうしたらいいか」というような問題にすり替わっていて、つまりこの船自体が問題だという対応になっていないんですね。”(P.29)

    “(大澤)やがて、一部の人をゴミのように棄てたり、あるいは、真の価値や大義を感じさせない役割を与えるのが関の山であるような、この社会システム自体に根本的な欠陥があるのではないか、という感覚をもつまでになる。このような感覚まで得られた時に、それを概念的な把握にまで高め、この問題を総体として乗り越えるための想像力を触発するためには、どうすればよいのか。そのために人文書の読書がある、というわけです”(P.31~)

    もう、おっしゃる通りとしか言いようがありません。そして「鬱病にならないためにはどうしたらいいか」ということばかり考えているわたし自身の「本の読み方」に何か問題があるのではないかという鋭い指摘を頂けました。これは何度も読み返す価値のある対談です。

    小説でおもしろかったものは藤谷治という方の『黙過』。一言では言い表しがたいのですが、すごくリアルな感触がありました。一方、園子温『毛深い闇』、大鋸一正『ドーナツ』はどうもおもしろさがわかりません。田口ランディ『逆さに吊るされた男』は林泰男死刑囚と、冤罪被害を受けた河野義行氏を取り上げたノンフィクションぽい作品。題材そのものはインパクトがありますが、著者自身の言葉(P.180など)は月並みで薄っぺらい感じがします。今後、どうやって展開させていくのか、気になるところです。

    巻末の批評、若松英輔『愛しみの哲学』は、日本におけるマルクス主義と宗教のかかわりがテーマになっています。最近関心を持っている分野だっただけに、大変興味深く読みました。

  • いただき物。メイン特集の人文書入門、こちらに素養がないせいかちと厳しかった。
    青木淳悟「男一代之改革」それなりにおもしろいんだけど、今のままだと源氏物語パートがムダに長い気がする。直接本筋と絡まないところをバッサリ切るか、もしくは本筋に影響を与えるようなトリッキーな構成にするか、ちょっと中途半端感。
    園子温「毛深い闇」豊川って街(豊川稲荷周辺)に何度か行ったことがあることと、園子温という先入観のせいか、スゴい映像が頭に浮かびやすい。むしろ映画よりも素直でけれん味がない印象。もう少し肉づけしたら映画なりドラマなりできそう。
    岸本佐知子編訳「引き出し」変な話。ユアグローかマコーマックみたいなテイスト。この連載、いずれ単行本化してくんないかな、まだ2回目だけど。何なら前号の「国境なき文学団」も入れたムックでもいい。

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