風立ちぬ [DVD]

監督 : 宮崎駿 
  • ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
3.62
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本棚登録 : 1870
感想 : 360
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4959241753410

感想・レビュー・書評

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  • 「いい男」と「いい女」像をこれでもかとばかりに描いた映画だと思った。

    二郎は結局自分の夢を一番に追いかける。どんだけ妻のことを好きだと言っても、死にかけてても、やっぱりタバコを吸いながら図面を描き続ける。

    菜穂子はそれでも仕事に行かせる。自分は死ぬほどしんどくても、旦那が帰って来たらそのまま受け入れて、仕事の話を聞いてやる。最後には記憶の中の自分の姿を取っておいてほしいと、死ぬ前に家を出る。

    賛否両論あるけど、アニメでやるべきか、ジブリでやるべきか題材だったかは分からないけど、凄く良い映画だと思った。

    図面を必死で描く二郎の描写が凄く格好いい。タバコを吸って頭を埋めてる絵とか、鉛筆の走らせる音とか、計算尺の使い方とか。宮崎駿は女の子を描くのを得意としてたのかもだけど。なんだかんだかっこいい男の描き方も知ってる。

    図面を描く男はカッコいい。生まれ変わったら図面を描きたい。

  • ユーミンの『ひこうき雲』を聴きたくて視聴。

    直接的には表現されていないけど、やはり妻は亡くなってしまったんだなぁ。はかなさが歌詞とぴったりして沁み入る。聴いただけで涙が出そうだった。
    名曲だと思う。

    この映画は大人向け。
    子供だと退屈してしまうんじゃないか。

    個人的には好き。
    特に二郎の夢の中と現実が交わって、どちらも夢のような現実のような境界があいまいなところ。

    たくさんの人を乗せるための飛行機が、やがて爆弾を積むようになって、一機も帰ってこないなんて胸が詰まる。
    零戦は美しい飛行機なだけに目的と結果が重くのしかかる。

    ここをもう少し深く掘り下げて欲しかった。
    それだけでも一本映画ができそう。

    関東大震災の表現は素晴らしかった。
    絵はもちろん、音。得体の知れない底から湧き上がる恐ろしさが伝わった。
    震災シーンとエンジン音は人の声を使っていると後から知って、もしかしたらそうかなと思っていたので納得。

  • 震災の描写はさすがのひとこと。いままでに関東大震災を扱った映画はいろいろと観てきたが、アニメーションでなら表現できることというものを目一杯みせてくれた。

    いろいろとこの作品のことをとやかく言う人がいるようではあるが、以下の記述を目にした上で本作を観ると納得がいく。そういう意味で「ゼロ戦」は主役ではないのだ。

     鈴木は戦闘機や戦艦を好む一方で戦争反対を主張する宮崎の矛盾を指摘し
     「矛盾に対する自分の答えを、宮崎駿はそろそろ出すべき」と述べて
     映画化を促した。

    庵野秀明の声優としての仕事はトトロでの糸井重里を髣髴とさせるもので、その朴訥とした感、一般人感はきちんと倍増していた。

    てかこの英語版の声優がJoseph Gordon-Levittだと!?
    いかん、こちらも観なければ…。

  • こんな話だとは思ってなかった。
    宮崎監督の飛行機愛だの戦闘機オタクだのなんだのと評判だったし、主人公がゼロ戦の開発者であることから、戦争がもっと色濃くストーリーに絡んでくるのかと思っていたし、それなら反戦のメッセージが強いのでは?と、勝手に思っていた。
    そんな側面もあったけれども、終わってみればラブストーリーでもあった。
    二人の生活は儚く短かったけれども、渾身の愛情で結ばれた姿には泣かされてしまった。仕事をやめられない夫のそばに、すこしでもいたいという気持ちがいじらしかったし、苦しむ最期の姿を見せたくなかった菜穂子の気持ちはとても切なかった。
    限られた人生の中で深く愛し合う相手に出逢えたから、夭逝してしまったが彼女は幸せだったと思う。

    実は主人公の声を演じたのが庵野監督だということ、擬音効果音のすべてを人の声を加工するなリして当てたということを忘れていたので、始まってからのけぞってしまった。そうだったなーと。声は正直私的にはダメだった。なんて下手くそなんだ!あなたも監督なら演技指導とかするのではないの?それがこんなに下手でいいのか?とつっこんでしまった。
    効果音もときどき人の声や吐息がそのままに聞こえて違和感があったりした。
    だから私はこの作品はダメだなと思いながら見たのだけれど、不思議なことにだんだん慣れてきた、いや、最後まで下手なのは許せなかったけど(ナニサマ)やはり久石譲の音楽含めてハヤオマジックにかかったか、最後は泣けて泣けて仕方なかった。
    そこへユーミンのひこうき雲…。
    泣いた。
    見て良かったです。

  • 宮崎駿の長編アニメの監督としての引退作品。
     
    堀辰雄の同名小説にインスパイアされて作った映画らしいですが、愛する女性が病気だという以外の共通点がなく、内容的には全く関係ありません。
     
    堀辰雄の小説では小説家が主人公でしたが、映画では堀越二郎という実在した零戦設計者。
     
    堀辰雄の原作のままだったら、正直あまり盛り上がる場面がないので、堀越二郎を主人公に据える作戦は成功だったと思います。
     
    『千と千尋の神隠し』の後、ハウル、ポニョとちょっと残念な作品が続いてしまった宮崎作品の、有終の美を飾ったと言って良いのではないかと思います。
     
    心温まる映画で、古くからの宮崎アニメファンにもおすすめできる作品です。

  • この映画における堀越二郎は
    いうなれば「承認欲求を満たされたムスカ大佐」である
    満たされてるから、「人間がゴミ」などとは間違っても言わない
    言わないけれども、どこか、こう
    人間を人間としてではなく
    アーキテクチャ上の存在のように見てしまってる
    紙と鉛筆さえ持たせとけば満足する変人みたいに思われて
    まわりの人々をハラハラさせる彼の
    インナースペースにおいて
    どのような美しい世界が展開されているものか
    凡人には理解しえない
    理解しえないからこそ、殺し合いもする
    そのことがわかっていながら、美のために戦争協力を惜しまない
    彼は美のデーモンに魅入られた存在である
    堀越二郎が、というか宮崎駿がだ
    この映画は、宮崎駿の…そして戦後日本を生きる男たちの「罪と罰」だ
    戦争が終わり、愛する人はタナトスのもとへ奔る
    「生きて」などという、体のいいあしらい文句を残して
    死にぞこなった男たちには、彼女を誘惑したものの正体すら
    よくわかっていないというのに

  • 先日、嫁さんがDVDをレンタルしていた『風立ちぬ(英題:THE WIND RISES)/2013』を観ました。

    -----story-------------
    「宮崎駿」が月刊模型雑誌『モデルグラフィックス』に連載していた漫画を自らアニメ映画化。
    零戦こと零式艦上戦闘機の設計者として知られる「堀越二郎」の半生をモチーフに、同時代の作家「堀辰雄」の小説『風立ちぬ』のエピソードを盛り込みつつ、戦争という激動の時代の中で様々な矛盾を抱えながらも飛行機という自らの夢と欲望に真摯に生きた一人の青年技術者の人生を、リアリズムの中にも大胆な省略や夢と現実を行き来する自在な語り口で描き出す。
    声の出演は、主人公「堀越二郎」役に『ヱヴァンゲリヲン』シリーズの監督でこれが声優初挑戦の「庵野秀明」、ヒロインの「里見菜穂子」役にTV『てっぱん』の「瀧本美織」。

    少年時代に夢の中で憧れの「カプローニ伯爵」と出会い、飛行機の設計士になることを決意した「堀越二郎」。
    1923年、東京帝国大学に進学するため上京した彼は、列車の中で「里見菜穂子」と出会い心惹かれる。
    そしてその移動中に関東大震災に遭遇、混乱の中で「菜穂子」とお供の「お絹」を助ける。
    卒業後、晴れて三菱内燃機株式会社への入社を果たした「二郎」は、念願の設計士としての道を歩み始める。
    しかし視察したドイツのユンカース社で技術力の差を痛感し、設計主務者に選ばれた七試艦上戦闘機のテスト飛行も失敗に終わる。
    1933年夏、失意の中で軽井沢を訪れた「二郎」は、そこで「菜穂子」と運命の再会を果たす。
    -----------------------

    観たかったのですが、なかなか観る機会のなかった作品、、、

    「堀越二郎」の飛行機に対する夢や活躍を描いた作品で、ジブリ作品には珍しい大人向けの内容でしたね。

    主人公「堀越二郎」のキャラクターが良かった… 感情移入しながら観れました。


    飛行機が飛ぶシーンを観ていると、飛行機を操縦したい気持ちが強くなりましたねぇ、、、

    陸上を走るクルマや単車と違い、三次元での操縦が必要な飛行機… 自由に扱えたら気持ちイイでしょうね。

    実現できそうにないけど、昔からの夢です。


    驚いたのは画の迫力… 特に関東大震災の町が揺れる場面には驚かされました、、、

    何とも言えない魅力が詰まっていました。

    音楽も良かったですけどね。


    もう、これで新しい「宮崎駿」作品が観れないかと思うと残念です。





    -----staff/cast-------------
    監督:宮崎駿
    プロデューサー:鈴木敏夫
    原作:宮崎駿
    脚本:宮崎駿
    作画監督:高坂希太郎
    動画検査:舘野仁美
    美術監督:武重洋二
    色彩設計:保田道世
    撮影監督:奥井敦
    編集:瀬山武司
    音楽:久石譲
    音響演出:笠松広司
    主題歌:荒井由実
        『ひこうき雲』
    アフレコ演出:木村絵理子
    制作:星野康二
       スタジオジブリ
    整音:笠松広司
    声の出演:
     庵野秀明 堀越二郎
     瀧本美織 里見菜穂子
     西島秀俊 本庄季郎
     西村雅彦 黒川
     スティーブン・アルパート カストルプ
     風間杜夫 里見
     竹下景子 二郎の母
     志田未来 堀越加代
     國村隼 服部
     大竹しのぶ 黒川夫人
     野村萬斎 カプローニ

  • あんまり感情移入はできなかったのですが、戦争描写なしで最後やや唐突なほどに終わるところに、監督のなんらかの想いを感じました。重慶のシーンを入れようとしてやっぱりできなかったという葛藤を知り、それを是とするか自分でもずっと迷っている。

    結末自体は妻も死ぬし戦争で大勢が亡くなるし圧倒的に悲劇だと思うのだが、それを「生きて」と終わらせるのがいいのかな。

  • 大人向けのラブ・ストーリー。
    互いを思い合う気持ちは心に染みる。
    ジブリ映画の登場人物はみな心が美しく、黒い部分がないのよね。
    ある意味、大人のおとぎ話だ。

  • 意外にもごりごりのラブストーリー。全ての登場人物が魅力的。切ない後味が印象的。最後、主題歌が染みる。

著者プロフィール

アニメーション映画監督。1941年東京都生まれ。学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。「ルパン三世 カリオストロの城」(1979)で劇場作品を初監督。1984年には「風の谷のナウシカ」を発表。1985年にスタジオジブリの設立に参加。「天空の城ラピュタ」(1986)、「となりのトトロ」(1988)、「魔女の宅急便」(1989)、「紅の豚」(1992)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ハウルの動く城」(2004)、「崖の上のポニョ」(2008)、「風立ちぬ」(2013)を監督。現在は新作長編「君たちはどう生きるか」を制作中。著書に『シュナの旅』『出発点』『虫眼とアニ眼』(養老孟司氏との対談集)(以上、徳間書店)、『折り返し点』『トトロの住む家増補改訂版』『本へのとびら』(以上、岩波書店)『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』(文春ジブリ文庫)などがある。

「2021年 『小説 となりのトトロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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