風立ちぬ [DVD]

監督 : 宮崎駿 
  • ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
3.62
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  • (22)
本棚登録 : 1870
感想 : 360
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4959241753410

感想・レビュー・書評

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  • 2013年
    堀越二郎 庵野秀明さん
    里見菜緒子 瀧本美織さん

  • 宮崎駿と鈴木敏夫に良い映画はもう作れない。この映画で彼らが伝えたかったのは何か?ということを考えてみても、私としては、何かのメッセージというよりも、単に老人二人の過去へのノスタルジーが溢れ出てきただけだと感じた。実在の人物をモチーフにしてはいるが、大部分は映画用に拵えたストーリーらしいから、堀越二郎氏の生き様を描きたかったわけでもないだろうし、とりわけ反戦的な描き方でもないし、基本出てくるのはお金持ちの恵まれた境遇の人達ばかりなので、当時の苦しい時代の庶民生活の切なさ、生きる大変さなども(監督のプロモーションメッセージとは裏腹に)ほぼ画面に映ってこず、ただひたすらに極端に美化された映像風景だけが印象的である。

    わざわざ言うまでもないことかもしれないが、この作品の致命傷はなんといっても二郎の声である。アニメ作品に魂を吹き込むのが声優であるならば、制作側は本作に命を与えることに明らかに失敗している。普通に考えて、良い映画を作ろうという真剣な創作精神があれば、集客効果がありそうというだけで人選する発想はもちろん論外として、主役の声を単なる自分の親しい人だとか使ってみたい人というだけで起用したりは絶対しないと思うし、そういう素人を起用するにしても上手ければいいと思うがお世辞にも上手いとは言えないうえに、顔と声が全く不釣り合いで、不協和音がすごい。二郎に関してはもはやおふざけのレベルである一方、他のキャラクターの声担当は庵野氏に比べれば技量としては遥かに達者ではあるが、このカットではこういう風に言わせた方がいいのでは?と思うところも多々あるし、『顔や表情』と『声』の不一致がかなり気になった。はっきり言って声に関しては制作陣の怠慢か、もしくはセンスがないかのどちらかである。
    こういう人選はキムタクなどを使い始めたあたりからのジブリで顕著であり、本意気の映画ファンからの信頼の失墜を招いている大きな要因である。宮崎駿と鈴木敏夫は、既に確立した名声と表面的な人気の上で盲目になり、素晴らしい作品を作り続けている気になっている。時代の変化や表現の進化を捉えられず、初期の作品群から進歩するどころか退化して古臭さが露呈してきている。ナウシカのあの豊かな表現力や、ラピュタや千と千尋に見られる見事な世界観、もののけ姫のシリアスなメッセージ性、トトロの温かさなどは、もはや彼らには期待できない。

  • あまりにも主役の声優さんが棒読み過ぎて、ストーリーの前に冷めてしまった。
    声が気になってあまりストーリーが入ってこないし、感情が伝わってこない。

  • 07-Jan-2015 鑑賞
    監督 : 宮崎駿

    うーん・・・。期待し過ぎたのかな。
    純粋に飛行機作りに向き合った堀越二郎の話。エンジニアとして、共感出来る部分は多々あるものの、なんだか、キレイに描き過ぎというか・・・。
    途中、途中で挟まれる二郎の妄想?夢?が突拍子もなくて、ちょっと付いていけなかった・・・。
    確かに飛行機作りをしたかっただけだけど、「ゼロ戦」を作った者としての苦悩はどうだったんだろう、などと考えてしまう。子供向けというより、大人向けの映画だと思うので、もうちょっと、人間くさく描いても、いいように思った。
    全体的にしっくりこなかった・・・。残念。

  •  映画の始まりの方で、二郎と呼ばれる少年が河原でいじめられている子をかばって三人のいじめっ子らに一人で立ち向かう場面が出てくる。その場面からあまり間を置かずに、先ほどの二郎少年が成長したと思しき丸眼鏡の青年が、混みあった列車のなかで中年女性に席を譲り、自分はデッキに出ていく姿が映される。二郎という人間が今も昔も変わらずに公徳心に溢れていることを示しているに違いないこのショットは、たとえそれがデッキへと移動した二郎が菜穂子に初めて出会うきっかけを与えている場面としてそこに置かれているのだとしても、あまりに記号的にこの二郎という人物の人の好さを描いていやしまいかというおそれがある。もちろん作中で二郎の親切心がいつもこのように無批判に受け入れらているわけではないということは、たとえばシベリアのエピソードを観れば分かる。餡子をカステラで挟み込んだ甘味シベリアを仕事帰りに夜食として買い求めた二郎は、路上で親の帰りを待つひもじそうな顔の子供らに今しがた買ったばかりのシベリアをあげようとするが、もの欲しそうにそのお菓子を眺める弟とは対照的に赤子を背負った姉の方は口をへの字に曲げて二郎をにらみつけるばかりで、結局その「施し」を受け取ることなく弟の手を引いて足早に去っていく。その話を社員寮で聴いた同僚の本庄はいわば現実主義者の憎まれ役として、二郎の行いに対して「偽善だね」と冷や水を浴びせる。日本中の子供らにシベリアを食べさせられるだけの大金を使って自分は(二郎とともに)ユンカーズ社の飛行機工場視察のためドイツへと赴くのであり、そうした自分たちの置かれた特権的地位を自覚して精進せよと二郎に説諭した本庄は、二郎の批判者として彼とは対極的な見方を保持し続けることだって出来たはずなのに、そうはならずにむしろ彼の義侠心にほだされてお互い高め合っていこうぜってな話に落ち着くのは、観ていて拍子抜けしてしまった。より正確に言えば、二人が決定的に対峙することになりそうなきっかけを執拗に摘み取りながら映画は進行するので退屈なのである。
     たとえば、初めて飛行機の設計責任者に任命された際、二郎は同じ開発チームのメンバーとして最初に本庄の名を出すが、同期の本庄は仕事の上で二郎のライバルであり、そんな二人が同じチームで立場に優劣のついた状態で仕事をするのは不和の火種になると、上司の黒川が世間知(?)を発揮してこの要求を却下する。この後、二郎とは別に爆撃機の設計を任された本庄は、二郎から自分が担当する未完の飛行機の部品のアイディアを流用するよう勧められるが、先に二郎が飛行機を完成させるまではそのアイディアは使わないと、彼の親切な申し出を断っている。ここは本庄の高潔さと、優れた飛行機を作るためならば自分の成果を無償で差し出すのも厭わない二郎の飛行機愛とが際立つ場面ではあるが、飛行機制作という共同作業において必ず生じるであろう人間関係のゴタゴタが、人の好い二郎と彼を取り巻く優しき人々との間にはほとんど生じずに済んでいることの嘘っぽさに目をつぶることの出来なかった私は、どうにも白けてしまった。(飛行機設計にあたって二郎のアイディアが盗まれたり、試作機のパイロットが何人か死んだりしたほうが話としては面白くなると思う。二郎の人の好さをもっと本気で試し、踏みにじってくれー!)
     お話の方も二郎の夢(飛行機設計という大仕事)と恋愛との間の拮抗がないに等しいので、えらく間延びした印象を受けた。最後に仕事を取るか愛に生きるかという大決断を下すのは菜穂子の方であり、死すべき病としての結核であり、戦争という避けがたい運命であって、二郎が自分でした選択がもたらす責任や障害に向き合うということがない(免除され、また回避されてもいる)ので、同情も共感もしづらくなっている。

  • 小説は読んでいないのでどれだけ違うのかそのままなのかは知らないけど、全編シリアスなのにやっていることがアニメだなぁと思うことが多く、リアルに感じなかった。やたら夢の中のシーンが多いし、むしろ全部が二郎の夢でしたオチでもよかった。
    主人公の欠点らしいものが、近眼ぐらい。弱点がない。いいとこだらけ。牛乳瓶メガネかけてるけど顔はいいし、名前も名乗らず去っていくヒーローぶりや、良家の美女と奇跡の再会&結婚、自分の好きな事を仕事にして成果を上げるなど、あらゆることが上手い事いく。だからそんな奴いるかよって思ってしまう。大震災に巻き込まれた直後にあんなスマートに動けるもんかなぁ。訓練受けてる人ではないよね…今までの主人公キャラならそれでいいけど現実的にって思うと。夜に思い出して揺れの恐怖に震える、とか絶対なさそうだし。
    既存の人物を扱うと親族などの手前下手にいじれないから美化しちゃうのかな。そういう配慮?忖度?がいらない、完全なフィクションだったら逆にリアリティが出せたのかもしれない…のかな?
    この二郎の自己中、つまり自分の好きなことのために一心不乱に戦争まで利用するほどの思いの強さは、監督に重なるなあ。自分に重ねているのであればそれこそ自己評価の高い人であることは違いないわけで、観ているこちらは気恥ずかしいものがあった。それにしても本当に飛行機好きなんだなあと。絵だけでなくエンジン音までこだわりが凄いんだもの。

  • 淡々とした映画。その時代を生きていなくても懐古的感傷的になるような、雰囲気は良かった。シベリアを無性に食べたくなる。

  • 君が来るのをここでずっと待っていた。

    「あなたが帽子を受け止めてくれた時から愛しています」

    アッサリしていた印象。良くも悪くもない。

  • 大学生の時分、劇場にて。

    周りは大絶賛だったけど自分としては
    いまいち良さが分からなかった。
    (エンディングのユーミンがピーク)


    主人公の棒読みには呆れ怒り悲しみすべて味わった挙句の果てには笑えてきた。声はいいけど、酷すぎる。

  • 主人公がずっと棒読みで、感情移入できず。
    夢のシーンが多いのも退屈。

    設計図を描くシーンのかっこよさと
    上司のキャラのみ好き。

著者プロフィール

アニメーション映画監督。1941年東京都生まれ。学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。「ルパン三世 カリオストロの城」(1979)で劇場作品を初監督。1984年には「風の谷のナウシカ」を発表。1985年にスタジオジブリの設立に参加。「天空の城ラピュタ」(1986)、「となりのトトロ」(1988)、「魔女の宅急便」(1989)、「紅の豚」(1992)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ハウルの動く城」(2004)、「崖の上のポニョ」(2008)、「風立ちぬ」(2013)を監督。現在は新作長編「君たちはどう生きるか」を制作中。著書に『シュナの旅』『出発点』『虫眼とアニ眼』(養老孟司氏との対談集)(以上、徳間書店)、『折り返し点』『トトロの住む家増補改訂版』『本へのとびら』(以上、岩波書店)『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』(文春ジブリ文庫)などがある。

「2021年 『小説 となりのトトロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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