死んでも治らない~大道寺圭の事件簿~ (光文社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 元警察官、現在ノンフィクションライターの大道寺圭の
    現在の事件と過去の事件が交互に語られるミステリー。
    それぞれ短編としても、現在と過去が関係しあう壮大な伏線が
    徐々に明らかになる長編としても楽しめました。

  •  この作品は元警察官のノンフィクション作家・大道寺圭が巻き込まれた様々な事件の間に、 彼が警察を退職するきっかけとなった事件を挟み込んだ、オムニバス形式のミステリです。
     まず『大道寺圭最後の事件』と題された冒頭から始まり、その第一章が終わると本編の事件が始まる。 事件が終わるとそれに別の観点での解決を与えるような形で過去の事件が進んでいくという 大変特徴的な構成になっています。

     主人公の大道寺の現在は、警察時代に出あった間抜けな犯罪者の姿を書いて本にする『食っていける失業者』。
     幼なじみの編集者にやりこめられ、書いた作品が原因で凶悪犯にはカージャックされ泥棒には騙される、 お人よしでトラブル背負い込み屋。
     しかしそれは彼の一面であり、もうひとりの彼はとても切れ者で機転が利き、クールで、そしてかなり ハードボイルドな人物だったりします。
     話の一つ一つの面白さもありますが、彼の二面性こそがこの作品の大きな魅力なのです。
     少なくとも私はそう思っています。

     また、大道寺にはかつて新婚の妻を逃走中の強盗にひき逃げされたという悲しい過去を持っており、 それがこの一冊を一つの話としてまとめる大きな要素となっています。
     大道寺が過去の事件において最後の最後に言う台詞によって、読者は全ての話が彼の過去に決着をつける ための物語であったことを知るのです。
     特殊な形式、人物の魅力。
     安心して読める好きな作家の作品にいつしか慣れてしまっていた私に、久々に『この作品は面白いぞ!』という 新鮮な衝撃を与えてくれた一冊です。
     ぜひあなたも『爪を隠した鷹』の魅力を堪能してみてください。

  • ああ、困った。感想を述べるとネタバレになってしまう。
    おもしろかったよ、だけでは何の術もない。

    若竹さんは「ぼくのミステリな日常」もそうだけれど、凝りに凝ったすじなので意表をつく。
    とだけ言おう。

    頭の悪い、ないしボケかかった私は初め誤植かと思った。
    出版社か、編集局にねじ込まなきゃぁ、なんて勢い込んだ。

    しかし、
    それがみそだったのだなー。
    軽くてユーモアがある。というのもよきかな。

    この「大道寺圭の事件簿」は最後なのかしらん。
    「大道寺圭最後の事件」とタイトルがあるしね。

  • 何となく漂うシニカルさが好き。
    仕掛けにご注意。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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