あの戦争と日本人 [Kindle]

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著者 : 半藤一利
  • 文藝春秋 (2013年7月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (230ページ)

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あの戦争と日本人の感想・レビュー・書評

  •  『日本のいちばん長い日』などの著書で知られ、昭和史の大御所とでも言うべき半藤一利が、幕末から太平洋戦争まで日本が経験した「戦争」とそれが日本社会に及ぼした影響、そして日本人の行動パターンについて語ったもの。口述筆記なので文体は話し言葉になっており、スラスラ読むことができた。

    第一章 幕末史と日本人
    第二章 日露戦争と日本人
    第三章 日露戦争後と日本人
    第四章 統帥権と日本人
    第五章 八紘一宇と日本人
    第六章 鬼畜米英と日本人
    第七章 戦艦大和と日本人
    第八章 特攻隊と日本人
    第九章 原子爆弾と日本人
    第十章 八月十五日と日本人
    第十一章 昭和天皇と日本人
    新聞と日本人──長い「あとがき」として

     目次を見ると分かるように、必ずしも「戦争」ごとに語られているわけではなく、むしろ戦争にまつわる特徴を捉えてテーマを組んでいる。特に昭和に入ってからは、戦争を物語る上でのキーワードが列挙されている。そのため内容は自由に時代を前後しているが、特にわかりにくいわけではない。

     後半、太平洋戦争を語る中で大きな柱となっているのは、幕末や明治に比べて昭和の政治家や軍人は小物だという主張だ。著者は昭和五年生まれで、幕末や明治と太平洋戦争では本人の経験や記憶という点で立場が異なるので多少差し引いてみる必要があるが、客観的な史実を並べるだけでもそれは明確に示されており、否定しがたいと感じる。

     幕末から明治にかけての日本の指導者は、ともすれば欧米列強によって植民地化されるかもしれないという切実な危機感と、日本の国力が相手よりはるかに劣っていることの自覚があった。だから外交も戦争も極めて現実的な判断をしていた。ところが彼らの努力の甲斐あって“大日本帝国”となった後、昭和の指導者は政治家も軍人も己をわきまえなくなり、夜郎自大な国になってしまったというものだ。要は、「三代目が店を潰す」のと同じだったのだろう。

     しかし本書でも時折触れられているように、それは決して昔の話ではなさそうだ。つまりまさに現在の日本もそうなりつつあると思われる。戦後の焼け野原から必死で国を立て直した世代は去り、ジャパン・アズ・ナンバーワンの記憶しか持たない世代が国を導き始めたら、再びおかしな方向に進んでしまうのではないか。まさかこの時代にそんな、と笑い飛ばせると思っていたことが、決して笑い事ではないのだ。

  • 失敗体験がなくリアリズムに徹しきれなかった昭和の指導者。主観的な判断、無敵神話という夢想から脱しきれず、最悪の予想すらせず。200万人を越える戦死者の七割は悲惨な餓死。戦地に赴く移動船での海没者は34万人とも。常に死ぬのは最前線。

  • 日中、日韓関係がこじれているニュースを聞くたび、本当のところはどうなんだろう?と悩んでいました。
    そんなとき本書に出会いました。
    他にも読んだ本はありますが、日本の視点から、おそらく正しい歴史を語ってくれている名著に出会いました。
    教科書では決して学べないことが、学べました。

  • 明治〜昭和の歴史を通じて学べるのは
    「自制と謙虚さの違い」が結果を分けた、
    だと思う。

    日露戦争まではあれほど冷静で俯瞰的に物事をみれ、外交上の勝利を手に入れた。

    しかし、一転して第二次世界対戦では、勝算が見込めるかろくに考えずに精神論主義に走り、多くの犠牲者をだす結果となった。

    これは、歴史に限らず個人としても学べることが大いにあると思う。

  • Asian Reading アジアの活読 余酔いの宵翌日
    『あの戦争と日本人』半藤一利 文藝春秋
    アジアの活読Award本に決定。昭和の敗戦の萌芽は、山懸有朋の参謀本部条例(明治10年1877)にある。(帝国憲法は明治22年)
    と喝破。そのほか、いろいろな事実を1次資料をもとに書かれています。徳富蘇峰が近世日本国民史で明治を明らかにし、大宅壮一が
    炎は流れるで昭和を描こうとしたけれど、半藤が明らかにした昭和の歴史もそれらに負けていない。読むべし。

  • ・4/22 読了.なるほどね、かなり冷静で客観的な分析だと思う.でも確かに今の日本があるのも敗戦があったからなんだよね.なるようにしかならないんだろうな.八紘一宇っていうのは石原莞爾の最終戦争論読んだ時も感じたけど、よく知らない海外の人達にはきっとイスラムで世界統一を目指す今のISISのような考え方のように聞こえるんだろうと思う.日本人だからなんとか想像ができるんであって、どう見ても危険思想に見えちゃうだろうなぁ、全然違うんだと思うけど.

  • なぜ支那事変とよび戦争と呼ばなかったのか、など知らないことが多く解説されている。
    口述筆記なので読みやすく、引き込まれていく。

  • 日露戦争の時の状況、政治家・軍人たちの考え、動きと昭和の日中戦争・対米戦争の頃の政治家・軍人たちとの対比は非常に興味深い。

    日露戦争が非常に外交的に練られて、最小限の戦闘、戦果、最大限の外交努力、講話によって完結されたものであったのに対して、昭和の戦争は。

    「日本のいちばん長い日」についての言及が少し冗長というか、そこまで突っ込まなくてもという印象なのと、昭和の戦争については作者が生きてきた時代であるのに対して、明治時代については、歴史上の出来事であるという分を差し引いても、昭和の戦争が落とし所のなかった、外交との連携を欠いたものであったと、振り返るにはよい一冊ではないかと思う

  • 幕末から敗戦までの日本人が歩んだ道を論じた歴史読本。

    読み終えて思うのは、この間の日本人は退化し続けたということ。幕末から明治にかけて天皇、政治家、軍人たち国家のトップは一丸となって日本を守り、発展を志した。愛する国を近代国家にすることが彼らの生きがいであり、プライドだった。

    やがて、日本人は近代国家である日本しか知らない世代へと移る。その世代にとって、日本は戦争をすれば必勝する先進国であり、滅びることなんてありえない。その結果、日本は原子爆弾を落とされ敗戦を迎える。

    どこで日本人はこうなったのか。幕末、命がけで外国から日本を守り抜いた志士たちの精神はどこへ行ってしまったのか。著者はそのキーポイントを日露戦争と考える。日露戦争は日本もロシアも勝利していない戦争だった。それなのに日本は戦勝国として振る舞った。というか、振る舞わなければ世論が納得しなかったのだ。勝てなかった戦争を勝ったことにしてしまった歪んだ思想は、その後の日本人に大きな悪影響を与えた。

    敗戦から戦後昭和の時代を経て、平成の現代日本。日本人は戦中の国に対する無責任精神から脱することができたんだろうか。それが明らかになるのは、戦争のような日本人全体が体験する大国難が起きた時だろう。

  • 半藤一利の語り書き。
    戦争を実体験とし、戦後数多の軍人と政治家に取材し裏を取った、最後の語り部も御年八十を超えんとす。
    合理性の面から安全保障を語る責任感の無い方々達と、我々は今後どう語っていけばいいのだろうか?

  • はじめから、負け戦。みんなわかっていて、わかっていなかったのは、天皇を説得した2人だけ。浅慮な感情論は国を滅ぼす。この失敗をちゃんと生かし、失敗を反映させる動きを今後しないと、その時代を生きている我々もただのバカ。日本人は理屈と感情をいきなり統合した論を唱える集団がいるので、時々とても怖くなる。

  • 半藤さんが「あの戦争」と呼ぶのは,太平洋戦争であり,大東亜戦争であり,15年戦争です。
    あとがきにも書いているように,今,この国では,「あの戦争」をどう呼ぶのかどうかで,「だから,あなたの戦争観は○○なのよね」と糾弾されます。その社会の息苦しさ…。
    わたしたちは,全ての事実を知って,戦争名を言っているわけではありません。「関ヶ原の戦い」って言われているようだから,そう呼んでいる…それと同じように,教科書に「太平洋戦争」とあったからそう呼んでいる。あの戦争当時には,「大東亜戦争」と呼ばれていたからそう呼んでいる…それだけなんです。
    でも,こと「あの戦争」については,そうも言っていられないのです。
    でもでも,だからこそ,日本が「あの戦争」につっこんでいった時のことをしっかり知っていたい。
    半藤さんは,『昭和史』で有名ですが,本書は,日露戦争のことも大変詳しく取り上げられています。日本は,あの日露戦争後のあたりから,間違って歩んできたようです。明治天皇の側近と昭和天皇の側近との違いも浮き彫りにして,興味津々。
    行き詰まると,強硬な政策支持へと突き進みがちな日本の世論。さらに,マスコミが,その世論の流れを煽り…。
    そんなことを二度とくり返さないように…との思いで書かれた(語られた)本ですが…さて,今の日本は,どっちを向いているのでしょうか?
    中国や韓国の批判本が売れる,売れるから,また作る。なんだか,戦前のマスコミに似てきています。

  • 歴史は誤って認識しているし、歴史は忘れ去られてゆく。抱いてきた理解の誤りを自由な視点から見直してくれる良い本だと思った。昭和天皇の人間性を示してくれた点はすくわれた感がした。またマスコミが利潤追求から衆愚が求める情報提供に傾いて、結果的には好戦的になっていった日清、日露、太平洋戦争の過去の例は、今後の大きな不安を残した。

  • 半藤さんも年なので、語りを本にしたスタイルが増えてきたけど、この本は、なかなかよかった。やっぱり、結局は、マスコミと大衆なんだよね。

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