帰って来たヒトラー下 [Kindle]

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制作 : 森内薫 
  • 河出書房新社 (2014年1月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (164ページ)

帰って来たヒトラー下の感想・レビュー・書評

  • 上下巻一気読み。生協で見かけて、ネットで評判になっていたことを知り、Kindle版を買ってみた。
    突然、死ぬ直前の記憶を失ったヒトラーが現代ドイツに蘇った(タイムスリップしてきた?)ことから始まる、ヒトラー視点一人称のコメディ。
    当然、周囲の人々は誰もヒトラー本人だとは思わず、非常によく似たコメディアンだと思って接し始める。ヒトラー本人はまったく嘘をつかないまま、周囲の状況を手早く把握し、現代ドイツをなんとかしようと画策し動き始める・・・。

    ・・・というとそこからヒトラーの快進撃がはじまって、みたいな架空戦記みたいな展開には、全然ならない。
    普通にテレビ番組でコメディアンとして、突撃取材番組なんかをやりながら人気者になっていく。
    それを読みながら、著者もあとがきで言うとおり、だんだんとヒトラーに感情移入していくことになる。
    そりゃ物語の主人公に肩入れするのは当然なんだけど、それがヒトラーとなると感情移入してしまっていいのか、そしてどうもこのふるまい方は生きていた時の当人の動きとも似ていて、となると周囲が彼の言動を自分に都合がいいように理解して接することも・・・とか、考えだすと単なるコメディにとどまらないなあ、という話。
    よく現代ドイツでこれ出版したな。そりゃ話題になるわ。
    著者の次回作にも期待したい。

  • 読みたかった『帰ってきたヒトラー』が、Kindleの電子書籍で単行本より安かったので読んだ。
    2月の時点では電子書籍になっていなかった。

    「おもしろい」という言葉は難しい。私が言う「おもしろい」と、別の誰かの「おもしろい」は必ずしも一致しない。

    たとえば、私の旦那さんは脚本のような本をおもしろいと感じる。スピーディな展開で、会話で成立していくようなもの。池井戸潤さんの半沢直樹シリーズとか、三谷幸喜さんの清洲会議とか。
    私もそれを読ませてもらった。確かにおもしろい。ぐんぐんずんずん読める。

    では、そういう「おもしろさ」と、この本の「おもしろさ」は同じかというと、違うように思う。

    だから、旦那さんに「僕は読める?おもしろかった?」と聞かれると困ってしまう。
    歴史ものを読む気持ちで取り組むと良い思うが、三谷幸喜さんの本のような気持ちで読み始めるときっと重く感じてつまらないと思ってしまうんじゃないかと思う。
    それに、歴史をある程度知っていないとこの本がやりたいことが理解できないと思う。

    噛み合ないことの滑稽さがおもしろいというように何かに書いてあったような気がするのだけど、私はそうは思わなかった。
    この本に滑稽さなんて私はちっとも感じなかった。

    『帰ってきたヒトラー』の「おもしろさ」が何なのか考えてみると、強い意志を持ったブレないヒトラーがこの現代に生き返るという設定そのものがおもしろいのだと思う。
    それから、現代人への皮肉。

    ヒトラーの目線で現代を見る。
    現代は便利になって幸せになったのか。
    政治は本当に国民のためを思って行なわれているのか。
    そんな現代に対してヒトラーは「今のこの世の中を救うために生き返ったのだ!」と使命感に燃える。(←もうこれだけでおもしろいとも言える)

    本の中のヒトラーにはとても好感が持ててしまう。しかもいい人でみんなから愛されるキャラクター。
    だからこの本は「おもしろい」。

    ヒトラーは残虐且つ非道な行ないをしたけれど人を惹き付ける魅力的な人間でなければ総統になんてなれなかったはずだ、という書き方をしている(もちろんその通りだと思う)。
    ヒトラーは、ただただ国を良くしようと国民を守ろうと情熱を持って頑張る。
    きっとこんな感じだったんだろうな、と思う。そう思うことが「おもしろい」のだと思う。

  • ドイツではナチズムはタブーである。ドイツに住んでいたとき、プラモデル屋で日本の輸入品戦車パッケージ絵の鉄十字がすべて黒塗りされているのを見て、驚いた(ちなみにドイツではポルノ解禁)。米国大統領の来日直前に大勢の議員が靖国神社を行う日本とは感覚が違う。

    ヒトラーは小さな政党の党首から、一応の民主的選挙を経て、独裁者になった人物。したがい、魅力的な人物であったことには違いない。そんな人物を現代のドイツに甦らせたらどうなるかという発想は面白いし、本書は娯楽小説として、よく出来ている。
    とは言っても、ヒトラー礼賛の小説を書くわけにも行かず、本書はドイツの政治風刺小説。上巻ではヒトラーが現代をどう感じ、インターネットやテレビを中心としたマスメディアに、どう対応していくかのおかしさが中心。下巻は風刺小説の色彩が強くなっている。
    正直、ドイツの政治事情に普段接しない我々日本人には、下巻は理解不能のところもある。それでも、ドイツ緑の党のキュナスト氏に対して「もし緑の党が政権をとったらーーどの地方をまっさきに併合するか」と聞くシーンなど、くすぐりが多い。

    ハルツ労働改革法を、ヒトラーはどう評価しているか、現代のドイツの問題の一端を知る上でも、この小説は読む価値がある。それよりも、娯楽小説として読書の楽しさを十分味わえる。訳者あとがきは本書の格好のガイダンス。あとがきから読まれることをお勧めする。

  • 上下巻それぞれにレビューを書くほどの内容とは思えない。上巻のレビューと同じである。

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