人質の朗読会 (中公文庫) [Kindle]

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著者 : 小川洋子
  • 中央公論新社 (2014年2月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (128ページ)

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人質の朗読会 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 久米宏の「ラジオなんですけど」で紹介された本。それだけの理由で読み始めたが、素晴らしい短編集だった。小説を読んでいる間、幸福な気持ちになれた。そんな小説は稀有である。

    中南米の某国で8人の日本人旅行者と添乗員がゲリラ組織の人質になる。人質救出のため、軍隊が突入。しかし、9人とも死んでしまう。
    事件のあと、ある録音テープが発見される。そこには、人質たちがそれぞれに綴った物語が朗読されていた。
    「朗読の合間 、彼らは実によく笑っている 。涙ぐむ場面があったとしても 、それは絶望からではなく 、生きている実感からにじみ出てくる涙であったことが 、テ ープからはうかがえる 」

    綴られた物語は9編。7編は旅行者、1編は添乗員、そして最後の1編は朗読会を盗聴していた特殊部隊通信班の軍人が綴ったもの。
    もちろん、最後の軍人は日本語を解さない。しかし、彼が感じたのは
    「めくる音 、咳払い 、そして拍手 。私はあんなにも慎み深い拍手を 、それ以前も以降も耳にしたことがない 。華やかさや興奮とは無縁の 、遠慮がちで 、今にも消え入りそうな 、しかしこれから語られる物語への敬服の念に満ちあふれた拍手だった 」。

    勝手な解釈だが、9編とも少し不思議な、しかし、誰かに話したくなるような心地よい経験談。そして、読み終わるたびに何かしらの爽快感というか、充実感みたいなものが得られる。
    もっとも気に入ったのは「山びこビスケット」。短編集を読了した直後、この1編は再読してしまった。

    星がいくつあっても足りない本。母国語が日本語で幸せと思った。

  • 異国で拉致され、人質として監禁された8人が、監禁されていた時間をしのぐためにそれぞれの物語を朗読する。

    それぞれの朗読で紡がれる物語は、さほどドラマチックなものではない。けれど、シンプルに綴られたその物語の終わりに、語り手の職業と年齢が書き添えられているのを読むと、急に一人の人間が見えてくる。彼・彼女が歩んだであろう道のりが想像できる。
    そうして想像できたその人間は、つまり人質なのだ。

    短編集の始まりには、人質事件の全貌が語られている。人質たちが全員死亡したことも書かれている。
    人生を断ち切られた人々の、「断ち切られる前」を想像させる。描いているのではなく、あくまで読者に想像させる。
    小川氏のその手腕が、切なさを生んでいる。

    登場人物たちが不幸であることと、けれど不幸なばかりではなかったこととを同時に伝えてくれるような、そんな短編集。

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