授乳 (講談社文庫) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
2.97
  • (1)
  • (6)
  • (17)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 171
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (174ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 怖い!
    この世界をそんなに理解できない自分に安心する。
    作者の精神状態が心配になる。不快でたまらないのに、ページをめくるのがやめられない。

    でもギンイロノウタの方がもっときつかったかも。

  • しろいろの街の…が本当に良くて、村田作品を買い漁ったが、しろいろの街の…を超えるものには出会えなかったなぁ。

    でも、所々に村田さんらしい狂気が見え隠れして、読み応えのある作品ではあった。
    御伽の部屋の、保護する側とされる側を演じるというか、その感覚はわかる気がした。彼の実態が知りたくなった。

    授乳の先生もそうだけど、興味を持たせる人物を描くのが上手いなーと思う。

  • コンビニ人間を読んでからだと物足りなさや不完全燃焼な印象を受けました。主人公の生々しさは衝撃でしたが、結局主人公の考えがよく分からないまま終わりました。女性の読者ならもう少し分かりやすく読めるのかもしれません。

  • 殺人出産や消滅世界のような、精巧に作り上げられた新たな常識や倫理観を詰め込んだ村田沙耶香ワールドに狂気的なラストという、クレイジー沙耶香の作品とは違う。
    少しズレた何処か生々しさを感じられる世界観にいつしかじわじわと引き込まれ、不思議な気持ちにさせられたままラストを迎える、もうひとつの面を持った村田沙耶香作品のうちのひとつ。(マウスなどもこれの類)
    クレイジー沙耶香を求めて読み始めたがそうでは無かったものの、短編ごとに登場する「普通」の生き方から外れてしまった女の子たちに非常に引き込まれた。
    完全に普通の人達の感覚からぶっ飛んでいるクレイジー沙耶香の作り出す人物像は刺激的だが、この作品の登場人物たちの微妙なラインの不思議さというか、僅かなグロテスクさがどこか身近なように感じられて、これもまた魅力的だった。

  • コンビニ人間を読んでから村田沙耶香さんの作品が気になっていて デビュー作 授乳を一読したのですが…
    性的な表現が生々しく厭らしいです。とくに「コイビト」
    と言う作品が…
    ぬいぐるみに 性的興奮とか 子供が欲しいとか
    狂いすぎです(褒め言葉)

    3つの作品に 主人公が共通するのが 自分独自の世界を持っていることと 女性と言う性を 憎んでいるような感じがします。
    村田沙耶香さんの作品の世界観をもっと知りたく他の作品も読もうと思います。

  • 『授乳』
    先生も先生だよー、そら犯罪になるでしょうに。。
    後味もグロい。

    『コイビト』
    ぬいぐるみって確かに相棒な感じもある。
    美佐子恐ろしい少女……

    『御伽の部屋』
    凡人の私には、ゆき(主人公)の行動が意味分からない
    図々しいにも程があるし、結局本当の性交に耐えられなかったのかな?

    村田さんの作品はどれもグロくて、妖艶で、理解不能な世界観。
    だんだんついていけなくなってきたので、今予約している作品だけ読み終えたら、しばらくこの作者から離れようと思います。。

  • タイトルになっているが、授乳シーンは少ない。
    テーマがよくわからない。
    給食のシーンなど節々に異端は感じるものの、家庭教師を裏切るところで、主人公は普通の女の子だと感じた。

    コンビニ人間、生命式を読んで、村田沙耶香をもっと知りたくなり、本作含め3冊を購入した。
    まだ作品として突き詰められていない感じは味わえる。
    ここからどんな体験を経て有名作が生まれたのか、興味が湧く。
    やさしい入門編と思って読むのはアリ。

  • デビュー作。

    『授乳』『コイビト』『御伽の部屋』の3篇。

    とても極端な描かれ方だけども、誰もが一度は葛藤する自分の理想と現実とのギャップの苛立ちを丁寧に表現にしてるように感じた。

    『授乳』に関しては、一体どこまでを計算してのことだったのか。
    相当家庭教師が気に入らなくて、どうにかクビにしてやり、尚且つ母親から庇ってもらいたかったのだろうなと感じた。

    『コイビト』
    3篇の中で一番ゾッとした。
    私もぬいぐるみは好きで、ぬいぐるみ以上に自分を理解してくれてる存在はないように感じてたことはある。
    でも心中したくなるほどの何か絶望は感じたことがない。
    幼い子どもの無垢な思い込みと狂気の表現なのだろうと感じた。

    『御伽の部屋』
    この物語は要二が1番怖い。
    なぜ受け入れてしまうのか、なぜ突き放さないのか。
    要二もまたゆきに依存していたのだろうなと思った。ゆきの世話をすることで自分の価値を測りたかったのかも知れない

  • タイトル授乳だけど、赤ちゃん出てきまへんで。

    ちょっと、弱い男の子をいじめたくなる気持ちがよみがえるところもあり(…。)楽しめたなぁ、表題作。

    お互い家庭や育ちに問題があって、引き合うように出会ったのではと思う。

    段ボールに入れられるこどもなんて、かわいそうだね。でも意志があってきっとそのままでいたんだ
    母親が迎えに来るまで。
    で、その母親も男を失わないために必死で。
    連鎖か。

    なんか影響うけちゃって私も、好きな男のことすれ違ったとき気づかないふりして無視してみたりして。
    気持ちいいときあるね(…)

  • 村田沙耶香のデビュー中編集。
    「授乳」「コイビト」「御伽の部屋」の三編が収録。
    村田沙耶香は群像の優秀賞出身という、割と珍しい経歴の作家だが(他にも群像の優秀賞出身の作家というのは実はちょいちょいいるんだけども)、この作品集を読むと、うーむ、確かに、どの作品もなんだか良くも悪くも未完成だなという印象を受けた。どれも表現したいものがあるのはすごく感じるのだけれども、それに対するアプローチが不十分というか。その分、『コンビニ人間』や『殺人出産』で、作家としていかに切れ味が増して来たかというのをすごく感じる。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村田沙耶香の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×