きりひと讃歌 4 [Kindle]

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著者 : 手塚治虫
  • 手塚プロダクション (2014年4月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍

きりひと讃歌 4の感想・レビュー・書評

  • さすがの手塚作品。モンモウ病を軸に、医学界と社会の有り様、人間の業を描いた作品とでもいえば良いでしょうか。てっきり公害病に結びついて、ある企業を吊し上げするのかな、と思ったのですが鉱山からしみ出す地下水の影響だと(公害ではなく鉱害か)。途中、小山内桐人が医者なのに人の命も救えないと自分を責め立てるシーンがありますが、ブラックジャックでも恩師本間丈太郎の死に際して似たようなシーンあったなあ、と。ブラックジャックでは『人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね』と諭されますが。この辺り、医者としての手塚治虫氏の苦悩が出ているのかなあ、なんて思って。
    今回登場する女性キャラって、いい人ばかりな感じ。ただし、幸せにはなれないんだよな。桐人と関わることで一縷の救いはあるのだけど。いずみさんは最後桐人を追っかけるし、たづさんも甲斐甲斐しく看病し、ヘレンも不遇の人生ながら卜部の子供を産むし、麗花は最初の怪しげな感じから結局いい人で。最後の事故は哀しくなる。
    でも、桐人がたづさんをあんなにも愛したのが少し不思議な気もしたんだよな。いずみという恋人がいたのに。
    逆に卜部がすごく不思議で、けっこう魅力的なキャラだったなあ、なんて思って。異常と正常の綱渡り。案外、良いやつだったのでは、と感じてしまう。(やっていることはけっこう外道だけど)
    最後は復讐というより、医者として人間として正しいこと、間違いがあれば認めることを求めたが、竜ヶ浦教授はそれすらできずに。まあ、歳をとると自説を曲げるのは容易ではないわな。
    ヘレンが犬の子を産む夢を見るシーンがあるけど、この想像力がすごいなあ、と。苦悩、コンプレックスを抱えている人にはその人にしかわからない苦しみがあるんだろうな、と改めて思った。先に読んだ「聲の形」もそうだなあ。
    最後は犬の先生ドッグ・ドックと呼ばれた村に帰るシーン。そして、それを追いかけるいずみで終わる。良い締めではないか。

  • そして最終巻。
    これは面白い作品であったが、すべてを通して書きたかったのはいったい何か・・・
    登場人物すべてが大きな不幸を背負っている。
    モンモウ病にかかった桐人とマリア。
    プレッシャーと罪悪感に押しつぶされて自殺した占部。
    優秀な部下の人生を狂わせてまで手に入れたかったものを結局手に入れられなかった教授。
    とにかくすべての人が不幸だ。
    まあそんな中でも、苦しんで苦しみ抜いた桐人とマリアが自分の生きる意味と場所を見つけられたのは救いではあるな。
    やはり手塚作品はこういう感じのドロドロさが最高であるな。

  • 医者として日本からはるかかなたに腰を落ち着けた小山内は、偶然にも日本で竜ヶ浦教授がモンモウ病を伝染病として発表したニュースを知る。竜ヶ浦教授の発表内容から、自分をモンモウ病にわざとかからせ、中国で見世物になっていたことを知っても助けようとしなかったことを知り、小山内は復讐に燃える。だが、いまや彼は地域の人々からかけがえのない医者として求められ、己のなすべきことをなそうと考えられるようになっていた――。

    ****

    ミス・ヘレンもいい味のあるキャラクターでした。表紙のゴルゴダの丘へ向かう基督を彷彿とさせるモンモウ病患者の姿は、漫画世界のなかのミス・ヘレンのような、モンモウ病患者として生きていく人々のようです。

    個人的には竜ヶ浦教授が身の滅亡を迎えたことに、けっこうスッキリしました。
    ラストも明るい未来がありそうな雰囲気で終わりましたし、最初から途中までずーーーーーっと暗いし重いしで、辛かったんですけど、最後にちゃんと生きていこう、という展開になってほっとしました。

    いろいろ大変な事があっても、前向きに生きていく。

    そいういう姿勢を貫いていきたいですね。

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