ブッダ 1 [Kindle]

著者 :
  • 手塚プロダクション
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感想・レビュー・書評

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  • このようなご時世だから、というわけではないけれど、ふと読み返してみたくなった一作

    タイトルに反して主人公は登場しない第1巻。けれど身分制度によって縛られ、そして人心が荒廃した世界をこれでもかと描くことで、ブッダが必要とされる状況がどのようなものであったのかという点が伝わってくるようになっているね


    救世の存在を探して野に下ったナラダッタ。彼が巡り合う事になったのは被差別民のタッタ
    この少年は人間らしい倫理観よりも動物的本能を強く備えているように思える。登場からしてチャプラの荷物を強奪してしまうというものだし
    けれど、それによってチャプラとタッタは不思議な縁を結ぶ事になるし、チャプラとタッタは同じ被差別民として厳しい環境に居るのだと共感し合うことが出来た。これが全ての始まりとなっていくわけだね

    チャプラはタッタの助けで母親を取り返した。だというのにその直後にタッタは家族を喪ってしまうという……
    ここでより理不尽に感じてしまうのはタッタの村が焼かれた理由として目立った説明は特に無く、あくまでも軍が進行ルートの途中を焼いた、という程度の扱いである点
    タッタ達バリアの命が軽んじられていることがよく判る

    121ページでチャプラが訴えることは真に迫っている
    生まれの身分という自分ではどうしようもない要素によって生まれながらの苦しみが確定し、それ以外にも多くの苦しみが山のように襲いかかる
    だからチャプラがその苦しみから逃れるためにはそれこそ、身分を隠すしか手段が無い。けれど、隠した身分がバレてしまったら命はない

    チャプラが将軍ブダイを助けた功績で彼の息子と成れたのは幸運が重なった事による転機
    けれど、危うさを覚えてしまうのはチャプラの生まれがどうしても変えられないからであり、早くもブダイにバレてしまったからであり……
    一方でそれを黙認した事でブダイも危険な橋を渡り始めた。二人は一蓮托生になったように見える


    タッタの献身から悟りの端緒を得たナラダッタ
    どのような者であれ生き物であるのは同じ。助け合っていかなければならない。
    それが理想なのに、それが出来ない世界の中でチャプラを始めとして生に苦しむ彼らがどのような答えを出すことになるのか、改めてこの物語を楽しみたいと思う

  • 場面転換が多いけど、面白い。
    章の構成も短くて読み易いので、どんどん読める。

著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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