ブッダ 14 [Kindle]

著者 :
  • 手塚プロダクション
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感想 : 9
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  • ブッダの一生。
    中高生時代に詠みたかったなぁと感じた作品。
    若い頃に自分で出したつもりの答えが、結構仏教的なものだと分かり驚愕。
    多分メディアとかに浸透しててそれの影響だったのかなぁとか、内容とは違うことを考えてしまった。
    作中の中では、アナンダくんが一番偉いなと個人的には感じた。
    タッタも人間臭さがあってよき。

  • ブッダの人生や苦しみ喘ぐ人々を描き続けた作品の最終巻
    この段になっても全てが気持ちいい展開になることはなく、数多の苦しみや困難が描かれているのは本作らしい


    ブッダに救われ、復讐を否定され、長い修業を行った筈のタッタ。それでもコーサラ国への復讐の火が全く消えていない点には驚かされてしまう
    タッタが口にする動機は母や友の死。それは重大事では有るけれど、一方で数十年も前のこと。ブッダの教えに反して破滅的な戦争へ突き動かす動機として変わらずに燻り続けていたと考えると、人を救ったり人の考えを変えたりすのは果たして可能なのかと疑問に思ってしまう

    また、タッタの復讐にはシャカ族の一部も関わっていたのがこれまた遣る瀬無い
    ビドーダバはブッダの教えに感化されシャカ族を赦した。けれど、その為に自分の領民を危険に晒すなんて出来ないし、許すにも限度がある
    それを理解したブッダが自国の滅びを許容しなければならなかったのは本当に哀しいよなぁ……

    ブッダにとって自身の教えどころか人生全てを否定されたような事態
    これを立ち直らせるのがアナンダである点は良いね
    彼はどうしようもない人殺しで悪魔すら憑いていたのにブッダによって人生が変わった。そしてブッダの教えが千年を超えてこの世に残り、幾千万の人を救うとも知っている。だからこの状況でもブッダを信じ支えることが出来たのだろうね


    そんなブッダが立ち直ったタイミングで知らされるのがダイバダッタの反逆であるのはあまりに酷。ここに来てブッダの教えを否定するような事態が続く…
    我欲によって王子を唆し、教団を分裂させる行為を繰り返し、最後には自分自身を滅ぼしたダイバダッタ。ブッダの救いが届かなかった人物
    ダイバダッタが末期に遺した反逆の動機。これもブッダの存在が招いた一つの悲劇と表現できてしまうのだろうな……


    宣告された運命の通りに亡くなったビンビサーラ、そして怨念のようにアジャセの頭に出来上がったコブ
    これも一つ間違えばブッダはまたしても何も救えないままに終わってしまいかねない事態だった。それがブッダの懸命の治療によって治る見込みが立つ展開
    ここで注目したくなるのはブッダが行ったのが外科的な治療ではなく、心に温かさを与える治療であったことだね。それは親子関係の問題から冷え切っていたアジャセの心を快癒させるものにもなる
    だから醜さが消えたアジャセは最後に微笑みを見せた。何でも無いけれど、感謝に満ちた温かい微笑み
    そこに真理を見たブッダ最後の悟りが素晴らしいね

    そうして、悟ったブッダが教える話が物語の序盤にて披露されたものであったのは感慨深いね
    これを説法として人に披露できるようになったブッダはこの話の極意を理解しきっているということなのだろうね


    そして第7部第4章で描かれるのはブッダの終わり
    後継者を2人同時に亡くし、更には自身の限界も近づいている。その状況で行うのは再びの布教の旅ですか……
    大勢の人に教えを広げ自身の中でも悟りを紐解き続けた。そんな偉大な彼の死のきっかけがあまりに呆気なく、日常に潜んだなんてことない事象である点は上手く言葉にできないね……

    弟子たちに見守られる形で涅槃に入ったブッダ。このような人物の教えが様々な形で現代に残っていると思うと感慨深い気持ちになってしまうラストでしたよ

  • 全14巻。
    もっと長編で読みたいくらい。

  • 数年前にも一度読んだはずだけれど、今回はそのとき以上に、心に沁みたなああああ。
    山田太一編「生きるかなしみ」、パンセの考える葦、そのあたりを読んで感じたことと通じるのかもしれない。
    人間は弱い、惨め、残酷、生きるって苦しい。そういうことを見つめ続けた人なんだなあ、ブッダ。
    涙の数だけ強くなれるよとか、艱難汝を玉にすとか、茨の道を行けとか……そんな言葉の重みを再確認。

  • 最終巻はとりあえず広げた風呂敷をたたむ作業といったところか。手塚漫画は基本的に中途半端に完結する作品が多いので、むしろ本作はちゃんと終わった方だろうと思う。
    手塚漫画のプロットが雑だと批判することは可能だし、また本作に関してはブッダ理解に間違いがあると指摘することも可能だろう。だがどちらもまったく的を得ていない批判ではあると断言できる。
    まず前者だが、手塚漫画の真骨頂はディテールにある。ストーリー展開も重要な要素だが、一番は場面場面に起こる事件のディテールこそが大事なのだ。それは手塚の仕事自体が、伏線を張り巡らせそれを順繰りに回収していくような、そういった仕事の仕方をしていなかったからである。そうではなく、「いまここ」の瞬間にどのようなものを描くか、というモチベーションで成されている。もちろん大筋のプロットはあるが、それにとらわれないところが手塚漫画の特徴なのだ。とらわれないとは、つまり伏線回収は捨てることもあるということだ。
    もう一点、本作が仏教の教義的に正しいかどうかという点は本作の評価に必ずしも直結しないと考える。なぜなら本作は仏教のイデオローグではなく、手塚漫画なのだから。(潮出版だろうが関係ない。)手塚は明らかに「人間」と「動物」を相対化しようとしている。手塚漫画の通奏低音にがっちり符合しているのだ。これは仏教の教義ではないが、手塚はブッダの人生から、それを汲み取ったということが非常に重要なポイントなのである。

  • ブッダが晩年も悩んでいる姿が
    人間味があって良かった
    私もブッダの話を直接聞いてみたいと思った
    手塚版ブッダはほぼフィクションだそうだが
    とても面白く、正しく生きたいと思えた

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著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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