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- / ISBN・EAN: 4988126209087
感想・レビュー・書評
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なんという不穏な想いが漂う痛々しい作品なんだろう。
40歳過ぎても母親の抑圧の下で生きる中年ピアノ教師のエリカ、その娘を自分の所有物と思い込んでいる母親、そしてナットとボルトなんていう直接的な表現で、エリカに猛アタックしてくる若い青年ワルターなど、登場人物がある意味みんなぶっ飛んでいるわりに、ミヒャエル ハネケ監督はあたかもその事が当たり前のように平然と物語を進めてしまう。
というか元々、万人に理解してもらおうとなんか思っていないような監督の開き直った情熱すら見えるような潔さすらあります。
独身というよりはもしかしたら処女をこじらせた感のあるエリカの不器用で変態的な欲望や彼女ほ屈折しまくった行為の数々は到底ついていくことができないし、その彼女の迷走に振り回されてるはずのワルターにもなんだかイラっとさせられたのに、なぜか鑑賞を止めることができなかったのが不思議でした。
なんだろ、多分監督の演出以上にイザベル ユペールのあの無表情の演技の迫力が狂気ともまた違う、気迫みたいなものが漂ってて、月並みな言葉だけどとにかく凄かったとしか言いようがない。
愛ってお互いの「愛の強さ」が同じならなんとかなると思っていたけど、それ以上に「愛の形」が同じじゃなきゃ音を立てるように崩壊してしまう空虚なものなのかも。
ずっと母親に愛されてきたようで、実は全く愛というものを知らなかった孤独で悲しいエリカの心の傷から血が滲んでくるような作品。
ラストのエリカの表情は良くも悪くも印象深いです。 -
個人的にはエリカの異常な性癖(+他者への執拗な嫉妬心)だけで十分に物語は完結したと思うので、終盤のエリカの家でのワルターとの一悶着は不要だった。
ワルターの役柄もイマイチ微妙で、エリカの性癖を理解できずに煩悶する好青年という設定の方がエリカの異常さをより際立たせることができたような気がする。
追伸
まぁハネケらしく、鑑賞後も残尿感を残したいとい意図で、敢えてそうしているのかもしれないけれど… -
2001年公開
監督 : ミヒャエル・ハネケ
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母親と長年同居する堅物のピアノ講師が、妖艶な若者の登場によって壊れていくお話。
狂気の話でした。「こじらせる」とかライトに自虐で使う人も昨今多いですが、本当に度を超えると事態は全く笑えない状況までいってしまうという恐怖。ゆがんだ自我を守るために、すべてのつじつまを狂った方法で合わせようとして、最悪のゆがみ方に自体が悪化していく。本人がそれにまったく自覚がないのが最大の人間の恐ろしさかなと。
「自分らしさ」への過度の執着と、一方で自分のすべてを受け入れるだけのオープンマインドさのなさ。摩擦しながら年を取ることの大切さとそれを怠ったときの恐ろしさを静かにBGMなしに描いた、トラウマ系の映画。 -
La Pianiste -The Piano Teacher
2001年/仏・オーストリア、132min.
仏語。舞台はウイーン。国立音楽院のピアノ教授。過干渉と抑圧された日常生活によって生みだされた倒錯した性的嗜好。狂気。
家族や恋人と鑑賞するものではない。
2001年
-カンヌ国際映画祭でグランプリ(ミヒャエル・ハネケ)、男優賞(ブノワ・マジメル)、女優賞(イザベル・ユペール)
-セザール賞で女優賞
-ヨーロッパ映画賞で女優賞 -
なんでぇぇぇぇってなったけど、すいっと観れたから面白かったということですよね…??
ブノワなんとか君ケツアゴやけど格好良かったし。
楽譜ではみんなおたまじゃくしやし、なんのこっちゃと思っても、
弾くと表情豊かな旋律になったり色違いみたいな音がいる面白さとか、
自分の旋律だけやとなんのこっちゃなものも、合奏して絡み合う面白さとか、
そういうのが思い出せたのはとっても嬉しかったです。
バンドもすごく楽しいししたいけど、
譜面を読み解くピアノや吹奏楽も、
機会があればまたやりたいなぁと思いました。まる。 -
ピアニストではなく詩人であれば、もっと熱情的になれただろうか。愛など月並みなものに溺れられるほど、刹那的であれば。