「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ。」
「カッコイイとは、こういうことさ。」
今も飛び続けてるんだろうな。友のいる空を。
この映画は、飛行艇時代の地中海を舞台に、
誇りと女と金をかけて空中海賊と戦い、
紅の豚とよばれた一匹の豚の物語である
映画とワインとタバコ、そしてシャンソン好き
冒頭、秘密の入江の砂浜でテーブルに足を掛け、
ラジオを点けたまま鼾をかいてくつろぐ主人公
ポルコ・ロッソ(紅の豚)の好みが窺えます
ポルコ・ロッソことマルコには幼馴染みがいます
ホテル・アドリアーノのマダム・ジーナ
美しい大人のシャンソン歌手。彼女の前では
空賊も賞金稼ぎもいい子になってうっとりです
「なぁに、今夜は。偉い人ばっかり集まって。
また悪巧みしてるの?」
「あたりぃ!」
「来てくれて嬉しいわ。でも戦争ごっこはダメよ」
「わぁかってるよぉ。ジーナ。
この店の50km以内じゃ仕事はしねぇさ。」
「豚とだって仲良くやってるぞぉ!なぁ?」
「みんないい子ね。」
強い男は女と子供に優しくせにゃいかんのです。
空賊だって人質の女の子達には優しく接します。
マルコはジーナの夫の訃報を知ります。
「いい奴はみんな死ぬ。友へ...」
「マルコありがとう。いつもそばにいてくれて」
「もうあなただけになっちゃったわね。
古い仲間は...」
マルコが人間だった頃からの飛行艇乗りの仲間は
ジーナの3人目の夫も含めみな空に散った様です
常に危険と隣合わせの職業なんですね。
マルコは飛行艇乗りの誇りをもった賞金稼ぎです
「ボウズ俺たちゃ戦争やってるんじゃねえんだよ、またな」
「親方!戦争と賞金稼ぎとどう違うの?」
「あぁ?そりゃぁ戦争で稼ぐ奴は悪党さ!
賞金稼ぎで稼げねぇ奴は能なしだぁ。」
マルコが贔屓にしている飛行艇作りピッコロは
職人気質と商売気を持ち、仕事熱心だ。
ここでの台詞を聞くと元気が出てきます。
「徹夜はするな。睡眠不足はいい仕事の敵だ。」
「さぁ!モリモリ食べて、ビシバシ働こう!」
空軍にはマルコを案じる昔の仲間がいます。
「なあマルコ、空軍に戻れよ。
今なら俺達の力で何とかする。」
「ファシストになるより豚の方がマシさ」
「冒険飛行家の時代は終わったんだ
国家とか民族とか、くだらないスポンサーを
しょって飛ぶしかないんだよ」
「俺は俺の稼ぎでしか飛ばねえよ」
「飛んだところで豚は豚だぜ...」
「ありがとうよフェラーリン
みんなによろしくな」
「あばよ 戦友」
「私がこの庭にいる時 その人が訪ねてきたら
今度こそ愛そうって賭けしてるの
でもそのバカ 夜のお店にしか来ないわ
日差しのなかにはちっとも出てこない」
よみがえる遠い記憶。
幼馴染みの2人は人生色々乗り越えて
今も互いに想い合うのでした。
「降りないで行ってしまったわ
また賭けに負けちゃった」
「ここではあなたのお国より
人生がもうちょっと複雑なの
恋だったらいつでもできるけど...」
「ぼってるんじゃねぇ
持ちつ持たれつなんだよ
海も陸も見掛けはいいがな
このあたりはスッカラカンなのさ」
お金の使い方を考えさせられます。
「風立ちぬ」でも描かれた飛行機の墓場、
宮崎駿の表現なのでしょうか。
なんだか宮沢賢治の世界観を彷彿します。
「雲の平原?」
「ああ...やけに静かでな。
空が本当にきれいなんだ
ずぅっと高い所を
不思議な雲が一筋流れていてな」
それは音もなく漂う無数の飛行機の残骸から成る
天の川のようでした
フィオと飛行艇修理代を賭けての
カーチスとの勝負に勝ち、
フィオからキスをされたマルコは、
どうやら人間の姿に戻ったみたいです
最後はフィオの回想で物語は幕を閉じました
イタリア空軍の出動が空振りに終わって
私がミラノに帰る日が来ても
ポルコは姿を見せてくれなかった
でもその代わりに私はジーナさんと
とてもいい友達になった
あれから何度も大きな戦争や動乱があったけれど
その友情は今も続いている
ピッコロ社を継いだあとも、夏の休暇を
ホテル・アドリアーノで過ごすのは
私の大切な決まり
ジーナさんはますますきれいになっていくし
古い馴染みも通って来る
そうそうまだ大統領にはなっていないけど
ミスター・カーチスも時々 手紙をくれる
あのアドリア海の夏が懐かしいって...
ジーナさんの賭けがどうなったかは...
私達だけの秘密...
カーチスからジーナの想いを聞かされたマルコ
ますますきれいになったジーナ
きっと2人は古い友達の思い出と共に、
寄り添って生きているのでしょう。