紅の豚 [DVD]

監督 : 宮崎駿 
  • ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
4.07
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本棚登録 : 229
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4959241753069

感想・レビュー・書評

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  • なんとなく観たことはあったけど、ちゃんと観たのは今回が初めて。

    惹かれるシーン、台詞がたくさん。ポルコの生き様がかっこよかった。
    観る度にさらに自分の中に染み込んでいきそう。

  • 「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ。」
    「カッコイイとは、こういうことさ。」
    今も飛び続けてるんだろうな。友のいる空を。

    この映画は、飛行艇時代の地中海を舞台に、
    誇りと女と金をかけて空中海賊と戦い、
    紅の豚とよばれた一匹の豚の物語である

    映画とワインとタバコ、そしてシャンソン好き
    冒頭、秘密の入江の砂浜でテーブルに足を掛け、
    ラジオを点けたまま鼾をかいてくつろぐ主人公
    ポルコ・ロッソ(紅の豚)の好みが窺えます

    ポルコ・ロッソことマルコには幼馴染みがいます
    ホテル・アドリアーノのマダム・ジーナ
    美しい大人のシャンソン歌手。彼女の前では
    空賊も賞金稼ぎもいい子になってうっとりです
    「なぁに、今夜は。偉い人ばっかり集まって。
    また悪巧みしてるの?」
    「あたりぃ!」
    「来てくれて嬉しいわ。でも戦争ごっこはダメよ」
    「わぁかってるよぉ。ジーナ。
    この店の50km以内じゃ仕事はしねぇさ。」
    「豚とだって仲良くやってるぞぉ!なぁ?」
    「みんないい子ね。」

    強い男は女と子供に優しくせにゃいかんのです。
    空賊だって人質の女の子達には優しく接します。

    マルコはジーナの夫の訃報を知ります。
    「いい奴はみんな死ぬ。友へ...」
    「マルコありがとう。いつもそばにいてくれて」
    「もうあなただけになっちゃったわね。
    古い仲間は...」
    マルコが人間だった頃からの飛行艇乗りの仲間は
    ジーナの3人目の夫も含めみな空に散った様です
    常に危険と隣合わせの職業なんですね。

    マルコは飛行艇乗りの誇りをもった賞金稼ぎです
    「ボウズ俺たちゃ戦争やってるんじゃねえんだよ、またな」
    「親方!戦争と賞金稼ぎとどう違うの?」
    「あぁ?そりゃぁ戦争で稼ぐ奴は悪党さ!
    賞金稼ぎで稼げねぇ奴は能なしだぁ。」

    マルコが贔屓にしている飛行艇作りピッコロは
    職人気質と商売気を持ち、仕事熱心だ。
    ここでの台詞を聞くと元気が出てきます。
    「徹夜はするな。睡眠不足はいい仕事の敵だ。」
    「さぁ!モリモリ食べて、ビシバシ働こう!」

    空軍にはマルコを案じる昔の仲間がいます。
    「なあマルコ、空軍に戻れよ。
    今なら俺達の力で何とかする。」
    「ファシストになるより豚の方がマシさ」
    「冒険飛行家の時代は終わったんだ
    国家とか民族とか、くだらないスポンサーを
    しょって飛ぶしかないんだよ」
    「俺は俺の稼ぎでしか飛ばねえよ」
    「飛んだところで豚は豚だぜ...」
    「ありがとうよフェラーリン
    みんなによろしくな」
    「あばよ 戦友」

    「私がこの庭にいる時 その人が訪ねてきたら
    今度こそ愛そうって賭けしてるの
    でもそのバカ 夜のお店にしか来ないわ
    日差しのなかにはちっとも出てこない」
    よみがえる遠い記憶。
    幼馴染みの2人は人生色々乗り越えて
    今も互いに想い合うのでした。
    「降りないで行ってしまったわ
    また賭けに負けちゃった」
    「ここではあなたのお国より
    人生がもうちょっと複雑なの
    恋だったらいつでもできるけど...」

    「ぼってるんじゃねぇ
    持ちつ持たれつなんだよ
    海も陸も見掛けはいいがな
    このあたりはスッカラカンなのさ」
    お金の使い方を考えさせられます。

    「風立ちぬ」でも描かれた飛行機の墓場、
    宮崎駿の表現なのでしょうか。
    なんだか宮沢賢治の世界観を彷彿します。
    「雲の平原?」
    「ああ...やけに静かでな。
    空が本当にきれいなんだ
    ずぅっと高い所を
    不思議な雲が一筋流れていてな」
    それは音もなく漂う無数の飛行機の残骸から成る
    天の川のようでした

    フィオと飛行艇修理代を賭けての
    カーチスとの勝負に勝ち、
    フィオからキスをされたマルコは、
    どうやら人間の姿に戻ったみたいです

    最後はフィオの回想で物語は幕を閉じました

    イタリア空軍の出動が空振りに終わって
    私がミラノに帰る日が来ても
    ポルコは姿を見せてくれなかった
    でもその代わりに私はジーナさんと
    とてもいい友達になった
    あれから何度も大きな戦争や動乱があったけれど
    その友情は今も続いている
    ピッコロ社を継いだあとも、夏の休暇を
    ホテル・アドリアーノで過ごすのは
    私の大切な決まり
    ジーナさんはますますきれいになっていくし
    古い馴染みも通って来る
    そうそうまだ大統領にはなっていないけど
    ミスター・カーチスも時々 手紙をくれる
    あのアドリア海の夏が懐かしいって...
    ジーナさんの賭けがどうなったかは...
    私達だけの秘密...

    カーチスからジーナの想いを聞かされたマルコ
    ますますきれいになったジーナ
    きっと2人は古い友達の思い出と共に、
    寄り添って生きているのでしょう。

  • 紅の豚 1992

    『紅の豚』(くれないのぶた)は、1992年にスタジオジブリで制作された日本の長編アニメ映画である。

    監督は宮崎駿。前作の『魔女の宅急便』に続いて劇場用アニメ映画の興行成績日本記録を更新した。この作品以降、スタジオジブリ映画における宮崎駿監督作品は全て東宝系での公開となった。原作は月刊モデルグラフィックスに連載していた漫画「飛行艇時代」。キャッチコピーは「カッコイイとは、こういうことさ。」、「飛べば、見える。」

    時代背景
    第一次世界大戦で戦勝国だったイタリア王国だが、国民から「栄光なき勝利」と呼ばれるまでに経済は不安定になっていた。本編は1929年頃の物語で、既にイタリアは1922年のローマ進軍以来、ムッソリーニ率いるファシスト党の独裁下となっている。

    1931年から本格的にヨーロッパへ波及する大恐慌の足音や、この当時一世を風靡したアニメーション、ベティ・ブープに似た映画、ライバル役のカーチスが1933年のラジオドラマ『ローン・レンジャー』の名台詞「ハイヨー、シルバー!」を口にするなど、当時の世情を伺わせる描写が散りばめられている。

    あらすじ
    ファシスト政権が統治する大戦間期のイタリア。深紅の飛行艇サボイアを操る豚のポルコ・ロッソは、かつて人間だった頃イタリア空軍のエースだったが、今はアドリア海の小島に隠棲し、空中海賊(空賊)退治を請け負う賞金稼ぎとして暮らしている。ある晩、昔馴染みのジーナが営むホテル・アドリアーノを訪れたポルコは、米国製の水上機を操るアメリカ人カーチスに出会う。カーチスは空賊連合が雇った用心棒だった。彼はポルコを撃墜して名を挙げたいと考える。

    しばらく後、サボイアのエンジン整備の為ミラノに向かって飛んでいたポルコはカーチスと遭遇し、エンジン不調のまま撃墜されてしまう。ポルコは大破した愛艇をミラノの工房ピッコロ社に持ち込むが、ピッコロのおやじの孫でまだ17歳の少女フィオが共同で修理に当たるという。ポルコは不安を感じて一時は他所を当たろうと思うが、フィオの熱意にほだされて愛機の設計を任せる。

    一方、ファシスト政権に非協力的なポルコは、ミラノでも秘密警察や空軍に狙われていた。警告に来たかつての戦友フェラーリンは空軍への復帰を薦めるが、ポルコにそのつもりはない。やがてフィオの才能と献身によってサボイアは復活し、「人質」という建前でフィオも乗せたサボイアは秘密警察を振り切って離陸する。

    ポルコがアドリア海の隠れ家に帰還すると、空賊連合とマンマユート団が待ち受けていてサボイアを叩き壊そうとするが、フィオは毅然とした態度で空賊達を一喝して黙らせる。その場に居合わせ彼女のその様を見て一目ぼれしたカーチスは、ポルコとの勝負でカーチスが勝利を収めた暁にはフィオを嫁にもらうという条件で結婚を申し入れ、フィオはポルコが勝利した場合はサボイアの修理代全額をカーチスが負担するという条件で承諾。困惑するポルコをよそに、フィオの運命をかけた決闘が取り決められる事態となった。

    決闘当日、ポルコとカーチスのドッグファイトは決着がつかず、素手の殴り合いにまでもつれ込んだ末、ダブルノックアウトの後に辛うじて立ち上がったポルコが勝者となる。フェラリーンからの密告でイタリア空軍が迫っていることを知って駆けつけてきたジーナの一報により見物に来ていた群衆たちが散り散りに逃げていく中、ポルコとフィオにも不意に別れが訪れる。

    フィオのモノローグでその後が語られつつ物語は幕を閉じる。

    テレビ放送の視聴率
    回数 放送日 視聴率
    1 1993年10月15日 20.9%
    2 1995年9月29日 14.5%
    3 1998年7月17日 17.8%
    4 2000年6月16日 14.3%
    5 2003年4月4日     18.7%
    6 2005年4月22日 14.1%
    7 2007年5月25日   15.0%
    8 2010年7月2日  14.4%
    9 2012年4月6日  11.2%
    10 2013年9月6日  16.0%
    11 2016年11月11日 13.2%
    12 2018年11月2日 12.5%
    13 2022年 1月 14日 10.8%



    以上のようにWikipediaで紹介される映画作品。
    紅の豚は1992年の作品。
    とは言え、全く色あせていない。
    今(2023年)見ても面白い。
    別のジブリ作品をレビューしてみた時も書いたし、感じた事ではあるが、ジブリ作品は普遍的であり古臭くならない。古典になる資格のある作品なのだ。
    ポルコのキャラクターも魅力的だし、ティオもそうだ。
    何かのインタビューで宮崎駿氏はこの作品は半分道楽のように作ったと語っているらしい。肩の力が抜けているのか何とも言えない面白さがある。
    個人的にはティオを賭けた試合が始まる前の集合写真の場面が好みである。

    2023/03/05(日)記述

  • 飛べない豚はただの豚だ。

  • 再掲。
    やっぱ文句なしにカッコいい!!!
    ポルコ&ジーナは相変わらず憧れる。
    ジーナの庭園でのカーチスとのやりとりでカーチス「大統領!」の答えにジーナが本気で吹き出したジーナの表情はとても魅力的だったし、それを引き出したカーチスもカッコいいと改めて思った。

    観終わったら後、色々調べてたら以前Twitterで「なぜジーナは換装したばかりのエンジンの音を聞き分けられたのでしょう…?? (^_^;)」というツイートに対して、ジーナ役の加藤登紀子さんの「そうね。どうしてかしら?好きな男の足音は靴が変わってもわかるって事かな。」との返答に痺れる。

  • カッコイイとは、こういうことさ。

    マルコがかっこいい。
    一つの仕事に全てを捧げる男の生き様。
    ジーナは気品溢れているし、フィオの物怖じなさとかわいさもすばらしい。
    加藤登紀子の声が素晴らしい。

  • カッコイイとはこういうことさ。

  • §死の商人を可愛らしい少女として描く欺瞞~宮崎駿監督と決別の一作

    「未来少年コナン」や「風の谷のナウシカ」の頃から宮崎駿監督のうさん臭さを少しずつ感じていた私が決定的にこの監督が嫌いになった一作である。

    この監督、クチでは「戦争反対」「9条を守れ」とか言っているそうだが、本編を見て、戦争や殺人兵器にロマンを感じる人物である事が後の「風立ちぬ」を見るまでも無くハッキリしたのである。

    あるネット民は「宮崎監督の戦争への憧憬や郷愁である」云々の意味の事を言うが、戦争で酷い目に逢った人々は戦後の今もなお苦しみ続けており、「憧憬」(憧れ)「郷愁」どころでは無い。

    郷愁と言う点ではこの監督の実家は軍需産業だったらしい。

    本編は第一次世界大戦後の戦間期に盗賊と化した失業職業軍人や彼等と慣れあう賞金稼ぎ、彼等に武器を供給する死の商人、彼等のおこぼれにあずかる宿屋の女将等ロクでもない人々を格好よく、時に清々しく描くと言う欺瞞を、軽々と宮崎流の職人技でやってのけたのである。
    その中で一番悪質に思えるのは死の商人=戦闘機設計者を可愛らしい少女として描いて見せた事である。こんな表現を後からジェンダー平等といわれる筋は無い。

    私闘で、ポルコ機はカーチス機に散々銃弾を撃ち込まれボロボロにされるが、ポルコ本人にはかすり傷一つない。銃弾からの防護が全く無い木造の機体なのだが。戦闘機の機関銃の威力はそんなものでは無い筈だ。
    戦時中、亡母は米軍機の機関銃で頭を打たれ、頭がはじけて脳味噌が飛び出して死んでいる子供達を沢山見たそうだ、これが現実だ。

    終わりの方で、フィオ=戦闘機設計者の少女=死の商人に戦後、「第二次大戦や動乱は大した事無かった」みたいな台詞を軽々しく言わせるが、この国、イタリアの人々がファシストのムッソリーニやヒトラーによりどんな酷い目に逢わされたのか、ロベルト・ロッセリーニ監督の「無防備都市」を見れば分かる。
    ある意味本編ほど、こんなにイタリア人を馬鹿にした映画は無いとも言える。

    この監督「第二次世界大戦は大した事無かった」と本編で言っているが、かつての「未来少年コナン」では「これから起きる核兵器より強力な兵器を使った最終戦争はやっても大丈夫、善良な人々は沢山生き残れる」と子供達(=近未来の有権者=今の有権者)に言ってのけたのである。つまり核兵器を免罪していたのである。

    戦争、暴力、殺人兵器を質感の全く無いアニメで楽しく美しく(本編に描かれるベリーニの戦死を見よ)格好良く、しかも子供向けに表現するこの監督を平和主義者であると言うにはかなりの無理がある。
    何人かの平和主義者を自称する評論家がこの監督を平和主義者である様に書いているが、猛省を求めるものである。

    補遺
    本編でカチンときた部分は他にもある。ポルコ・ロッソが銃弾の選別をするシーケンスがあるが、それは事もあろうにフレデリック・バック監督の名作「木を植えた男」のブフィエ老人がドングリを選別するシーケンスのパクリにしか見えない。
    ドングリは新しい命を宿しているが、銃弾は人の命を奪う物でしかない。

    銃弾のパッケージに「エンプティカートリッジ」と書いて見せている。空の薬莢=空砲なのか?ならなぜ選別するのか?それでカーチス機の後に回ってトドメを刺そうとしていた。
    映画を作っている人達が私の様な人間に突っ込まれた時の言い訳を考えながら作画していたのだろうか?どうでも良い謎である。

    補遺2
    宮崎アニメとオシッコ
    本編で海賊たちとやり合った直後のフィオは大見えを切ったが本心は恐怖でガタガタ震えている。
    こうした状態で海に飛び込む事は本来大変危険な事である。
    多分フィオは恐怖で失禁してしまい、下着を着たまま、つまり海水で下着を濡らしてそれを「泳いだ為」と誤魔化す為に泳いだのだろう。

    「天空の城ラピュタ」で軍事施設に捕らわれたバズーの牢屋に壺が置かれている。「風の谷のナウシカ」でやはり航空機機内の囚われの身のナウシカと入れ替わる為にラステル/アスベルの母と一緒に訪れたナウシカと背格好が似た少女が手にしている壺。これらは恐らく尿瓶、便器の類だろう。

    韓国で古民家を見学した際、部屋の片隅にある金属製の器はそうした物であると解説された。

    補遺3
    手塚アニメからの影響・・・というより手塚の「おんぼろフィルム」が余程悔しかったと見える。劇中劇のベッティーさんの白黒アニメである。
    また、町工場周辺の壁に貼られたボロボロのポスター、どことなく「ある街角の物語り」である。事実、この国は我が国と同じく侵略戦争を引き起こしボロボロになった。

    (★の数は資料性に対してのみ、内容は全く感心できない。)

  • 1992年 ポルコ 森山周一郎さん

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著者プロフィール

アニメーション映画監督。1941年東京都生まれ。学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。「ルパン三世 カリオストロの城」(1979)で劇場作品を初監督。1984年には「風の谷のナウシカ」を発表。1985年にスタジオジブリの設立に参加。「天空の城ラピュタ」(1986)、「となりのトトロ」(1988)、「魔女の宅急便」(1989)、「紅の豚」(1992)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ハウルの動く城」(2004)、「崖の上のポニョ」(2008)、「風立ちぬ」(2013)を監督。現在は新作長編「君たちはどう生きるか」を制作中。著書に『シュナの旅』『出発点』『虫眼とアニ眼』(養老孟司氏との対談集)(以上、徳間書店)、『折り返し点』『トトロの住む家増補改訂版』『本へのとびら』(以上、岩波書店)『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』(文春ジブリ文庫)などがある。

「2021年 『小説 となりのトトロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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