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感想・レビュー・書評
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グラックス、
マリウス、
スッラ、
ポンペイウスの時代。
拡大することは
問題を抱えることだ。
ハンニバルに拮抗する形で
力をつけたローマは、
並みいる敵を打ち破り
その勢力を拡大していく。
大国ローマ。
だからこそ、その内部に
構造的問題が萌芽する。
その問題を解決しようとした
若きグラックス兄弟は殺され
戦将マリウスが平時には力を発揮できず
スッラが独裁的に
元老院制度の維持をめざし、
ポンペイウスがローマの領土を拡大する。
そして、勝者ローマは
その内側に構造的問題を
さらに拡大するのだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
冒頭の引用がハンニバルの言葉だというのが歴史の皮肉を感じさせる。
強大な敵のために団結せざるを得なかった国内が、その敵が消滅すると抱えていた矛盾が露呈して混乱に陥るのは国家の必然なのだろうか。
「平和ボケ」という言葉があるが、もともと戦争はそれが侵略であっても主観的には「安定」のために起きるものである以上、戦争状態が続くのがよいはずはない。では手に入れた平和を何に使えばよいのか。
仮定の話として出てきた「奴隷として連れてこられたが、今はローマ市民権を取得して成功したカルタゴ人の解放奴隷」と「ローマのために命がけで戦い、やっと帰って来たら借金で一家が離散していた同盟国の兵士」の例えは、「他国の福祉にたかる外国人」と「ワーキングプア」のケースとどちらが酷いだろうか。
最期に紹介されたミトリダテスの手紙とキケロの報告が印象に残った。 -
カルタゴ征服から地中海がローマのマーレ・インテルヌム「内海」に変貌するまでの約1世紀間。グラックス兄弟、マリウス、スッラ、ポンペイウスら、この時代の中心的役割を果たした人物たちを通して、都市国家の延長線上にあったローマ連合が帝国へと変貌していく過程が描かれる。
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ずっとうまくやってきたのに、敵がいなくなると、ドロドロの内戦になるんだねぇ。それにしても、ヨーロッパの国々が歴史をどう教えてるのか知らないけど、イタリアやギリシャから見たら、いくらEUでえらそうなこと言ってても、ドイツやフランスなんて所詮田舎もんじゃんって思ってる人は多そうだね。