アンネの日記 増補新訂版 [Kindle]

  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 第二次大戦中、ドイツ軍による強制収容を免れるために、13歳から15歳という二年余りの多感な時期を隠れ家で過ごしたユダヤ人の少女による日記。

    テキストには、アンネが自分に宛てた原型となる日記(aテキスト)、戦後の公開を意識した清書版(bテキスト)、戦後ただ一人生還した父のオットーによって編集された短縮版(cテキスト)の三種類がある。一般に先行して流布したのは短縮版だが、ここではアンネの母に対する非難や性的な話題などが削除されたとされる。その後、この三種のバージョンとオットーが保存していた資料を元にアンネ・フランク財団によって編集されたのが、本書の底本である完全版。

    日記はアンネが"キティー"と名付けたイマジナリーフレンドに向けて語る形式をとっている。父の職場にあった隠れ家に移り住んだのは、アンネたちフランク家4人と、ファン・ペルス家3人、それに歯科医の男を加えた計八人。日記の主な内容は、隠れ家における生活の様子と住人たちのいさかい、母や一部の同居人への反発、はじめは興味がなかったファン・ペルス家の一人息子であるペーターに対する意識の変化、ラジオや協力者によって漏れ伝わる戦況とそれを知った住人たちの反応など。序盤わずか30ページほどには、隠れ家に移るまでの学校生活も描かれている。家族や同居人や同級生に対する辛辣な批評、異性であるペーターと性への関心、ユダヤ人問題を含む社会への思いなど、全編を通じて思春期の少女の心のうちが赤裸々に綴られている。

    あとがきには、その後の調査によって判明した、逮捕された住人たちの最期と、唯一の生存者であるオットーの後半生が付け加えられている。

  • 第二世界大戦中、ドイツよりオランダ・アムステルダムに避難したユダヤ人のフランク家。1942年より、2年強にわたり、次女のアンネが日記に記す隠れ家での生活は、重苦しい戦争の雰囲気をまといながらも、瑞々しい十代の少女の目線が失われない。

    映画を愛し、一人の人間としての自立を認めてもらいたがり、同居するピーターへの恋慕を深める。
    戦時下の、自由を奪われ隔離された特殊な空間で日々を過ごし、泥棒に怯え、同居人の無遠慮さや、傲慢さに嫌気がさし、時に自分を卑下し、時に自分を周囲より優れた存在と表現し、自分の苦悩が理解されないことを嘆く。
    多くの同年齢の若者が抱えるものと同じだなと思います。
    彼女の日記がこれほどに広く読まれたのもそれが理由でしょうね、
    ユダヤ系ならでは、という描写も多くなかった。

    聡明で、前を向こうとし、世界に希望を持ったアンネの日記が突然に終わりを迎えた悲劇。今でも戦地にはアンネのような若者がいるのでしょうか。戦争を見つめる一つの形でしょう。読む価値がありました。アムステルダムに行く際にはアンネたちが過ごした”隠れ家”を見に行こう。

  • ナイロビからの帰路途中、再度立ち寄ったアムステルダムにて開館と同時に飛び込んだアンネ・フランク・ハウス。「実は読んだことがない」とは今さら言えない大人の一人であったのだが、なぜか訪ねなければならない義務感に押されての来訪。館内の売店に並べられた各国語翻訳版のなか、手元に余っていたユーロ現金の使い道として日本語文庫本版を手にとった。レジでは「オフィシャル版!」的なロゴステッカーを貼ってくれる仕組みになっており、それはそれでちょとうれしい。

    文庫本版なれどあなどるなかれ、厚さは2センチを超えるボリューム。増補新訂版と銘打たれたその版はもし自分が幼少の頃にこの著作を読んでいたとするならば出会えなかったような内容も全て含まれたいわば完全版。ただおっさん視点で読むからどうしても「幼女の戯言」にしか聞こえない内容の割合は多くなってしまうのは致し方ないとして、特に後半部において、彼女の卓抜した知性があちこちに溢れ出し、折に触れて何度も見返してみたくなるような文章に出会うたびに嬉しさがこみ上げてくる。残りのページ数が減る度に切なくなる気持ちはやはりどこかにあるのだけれど…。現地を訪ねて間もないうちに読破できたことの満足度はすこぶる大きく、こうして自分もまたひとり彼女が未来に向かってまいた種の苗床たる側になれたのだという事実はただただ感謝して受け入れたい。

    このレビューを書く過程で池上彰氏著「世界を変えた10冊の本」にて本著作が堂々のランク入りを果たしていることも知った。聖書やコーランに並んで…である。こちらの方の理由もぜひ聞いてみたい。



  • 間違いなく☆5です!人生で1度は読んでおくべき本だと思いました。
    正直なところ3割は親や周りの大人の悪口、3割は恋話、3割は日常生活の話で、残り1割が心に染みる名言って感じでした。しかも親の悪口は、大人から見るとあらあらって思うことも多いんですよね。あと、途中から熱をあげる同居してるお兄さんのことも最初の頃はボロくそ言ってたませんでしたっけ??とも思います。まあけどよく考えると人の日記を勝手に覗いてる方が悪いんですけど。
    けどそんなたわいもない日常生活の話から色々と考えさせられることがあったって感じでしたかねー。戦争中でも意外に今と変わらない生活とか考え方してるんだなとか、ユダヤ人はこんなに迫害されて辛い目にあってきたのに今はなんでパレスチナ人のこといじめてるんだろうか、人類には学習能力がないのだろうかとか、色々考えが膨らみます。自分の将来のことを色々書いてるのもなんか切なくなるんですよね。池上彰が選ぶ世界を変えた10冊というのに選ばれてるらしいですが、確かに(背景とかも含めて)それくらいインパクトのある良い本だと思いました。

  • いつか読んでみたいと思ってた本。結構長かった。
    1929年に生まれて、姉マルゴーの召喚をきっかけに家族で「隠れ家」に引っ越した13歳からの、隠れ家での日記。
    学校の友達の話から始まり、隠れ家生活での同居人(父母姉、ファンダーン家のおじさんおばさんぺーター、歯科医のデュッセルさん)との喧嘩や食事情、家のルールや各自の誕生日の様子、助けてくれるオランダ人数人への感謝、体への興味やペーターへの恋心、と率直で思春期らしい日記。
    将来のことを考えて勉強を続けていたり、いつも希望を捨てずに生活しているアンネの最期を思うと、悲しくてつらくなる。
    ユダヤ人が受けた仕打ちをいま考えると、あきらかに間違っていることと気づけるけど、いまも身近にある考え方の違いや価値観の違いに対して、異質なものを違っていることを一人ひとりが認め尊重し合うことが、過去の過ちと同じことを繰り返さないことにつながっていくと思う。

  • 大変面白かった。自分が15才そこらだったとき、こんなふうに考えられただろうか?アンネはやはりとても賢い少女だと思う。当たり前だが、日記が途中で意図せず途切れているのが悲しい。この先が読めたらよかったのに。

  • 中学生くらいの女の子の収監されるまでの日記。14-5歳くらいの異性への興味や親への反抗、勉強に対する思いなどが記載されている。途中緊張感が走ったが、それが原因で収容されるわけではなく、突拍子も無く捕まったと思うと、悲しくなる。

    読む価値はあったと思うが、完全版で全ての日記が入ってなくても良かったのかなとは思う。

  • アンネ・フランクは13歳から15歳の2年間を隠れ家で暮らした。隠れ家生活に入る年の誕生日、父から日記帳をプレゼントされ、この日記をつづった。どの世代の方でも学ぶことがあり、様々な感じ方ができる本だと思います!
    アンネの青春の記録を読んでみませんか?
    【中央館/949.35/FR】

  • 多少父親の編集が入っているらしいが、文法間違い以外ほとんどそのままらしい。内容が早熟すぎる。俺が14歳のときはいろいろ考えて日記も書いていたが、文章をここまで上手く書けてはない。戦場の前線ではなく、あくまで日常での戦争を描いたので、われわれに余計に響くのだろう。

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