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- / ISBN・EAN: 4988111246424
感想・レビュー・書評
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少女と大人のに変わる危うい年代の女の心の変化をフランソワ オゾン監督が繊細に切り取ったエロティックでアンニュイな、如何にもフランスらしい作品。
主人公イザベルを演じたマリーヌ ヴァクトのなんとも言えない物憂げな色気とそれと相反するまだ痩せた少女らしい身体が17歳の少女だから持つ魅力を眩しいほどに見せつけてくれた。
バカンスの海辺で処女喪失するまでの無防備なショートパンツと水着の姿から、真っ赤なルージュを唇にひいて、大人のスーツ姿になり自らの性を売るに至るイザベルの心の変化について、物語上では決して明らかにはせずにただ心の渇きを埋めるように娼婦となっていくイザベル姿を中盤まで私たちは傍観するしかない。
そして一番心が通い合ってた年配の客ジョルジュの死によって、売春の事実が明るみにでると、やはり混乱している私たちと同様にイザベルの周りの大人たちもその理由を知りたがり、まるでモンスターを見るようにイザベルと距離をおくようになる。
処女喪失後、なぜ突然娼婦になったのか答えはきっとイザベルにもはっきりと分からないのだろう。
バカンスでどうでもいい顔だけの男と一夜を共にしたことで彼女は真実の愛を知る前に「性の感覚」を覚えてしまった、ただそれだけのこと。
早く性を知りすぎてしまった少女は時々自らの性の使い方を間違えてしまうからもう後戻りはできない。
強制的に心理カウンセラーに通うことになったイザベルがカウンセラー代を聞いて「たったそれだけ?」というシーン。
そして、年配のカウンセラーにでさえ女である自分をみせようとする振る舞い。
「一度売春した女は、一生娼婦として生きる。」という客の言葉を思い出した。
危うい不完全な魂がもたらした罪を背負いながら彼女は歳を重ねてこれからどこに向かうのか?
このモヤモヤを払拭するようにラストに登場するシャーロット ランプリングの圧倒的な存在感が素晴らしい。
イザベルの若さに心から感服した老女の哀愁と、彼女の過ちすら肯定できる年齢を重ねたからこその深みとはもう、一瞬だけの17歳という若さの美とはまた違う次元で美しかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オゾン監督の映画は、これまでに外れたことが一度もないくらい、自分にとっては素晴らしい監督ですが、今回もすごかったです。
危険なプロットやスイミングプールでも使われた手法ですが、主人公を観察するキャラクターの描き方が絶妙です。今回は、主人公のイザベルの弟ヴィクトールがその役。姉よりも若い分、姉が感じている繊細で不可解な感情の動きを理解できず、でも姉自身への理解(イザベルという人間への根本的理解と信頼のようなもの)はあって、ちょっと邪険にされてもめげず、また彼女の「罪」が暴かれても決して距離を開けたりしない。
弟が、冒頭のシーンではグロスを塗るイザベルに「娼婦みたいだからやめろよ」というのに、ラスト近く、パーティーに出かける姉に「メイクしないの?」と聞くところが、彼自身の成長を表していて好きでした。
他のオゾン作品と同様に、テーマの核の部分は決して言葉で説明がされることはありません。イザベル自身が少し感情の乏しい、メランコリックな少女なので、余計に彼女を理解する材料が少なく感じますが、それも含めて素晴らしかった。
人間の感情は、決してたった一つのものをその時に味わうのではなくて、好きだけど憎らしいとか、会いたいけど煩わしいとか、悲しいけどホッとしているとか、心配しているけどざまあみろと思っているとか、2つ以上の感情が常時混ざり合っているんだなと。
最後の最後で現れたシャーロット・ランプリングに鳥肌が立ちました。すごい女優さんですね。たった数分であれだけ鮮烈な印象を残すなんて。 -
DVD
最後に老人の妻が出てきた時には、やられた〜〜と思った。
弟がこの映画のスリルに味を出している。 -
なんとなく秋に見たい映画だった。
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映像が綺麗。
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C。
ひさびさのmalegazeか。不快。 -
17歳。美しい年だな~。
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フランス きれいな海。仲がいい家族。
申し分のない家庭だった。
マリーヌヴァクト 17歳で、処女を喪失する。
愛があったと言うわけではない。
ソルボンヌ大学 文学部2年生 17歳。
口紅を赤く染めて、タイトなスーツで
ホテルに入り込み 娼婦となる。
バイアグラでがんばっていた老人が、腹上死する。
そこから、売春していたことが、判明する。
なぜ?
に答えることができない。
その後の表情は 17歳の娘になって、
そばかすだらけの 普通のオンナになる。
それは、大人になるための 練習?
フランスも日本も青年のおかれている状況は
あまり変わらないなぁ。
腹上死した夫の妻 シャーロット ランプリングは言う。
「セックスで死ぬのは男の夢よ」 -
少女でもなく、大人でもない。。
憂いを帯びた視線の先は、一体何を求めているんだろう?
繋がり?征服感?大人への挑発?ファザコン?未知への好奇心?優越感?。。。。???
兎に角、複雑、混迷、型にはまらない。。。
カウンセリングでの告白で、
「優しい人で、愛情があった」「多くを求めなかった」
「自分が汚らわしくて」と、涙する姿が印象に残る。
生身の、そして温かい感情が垣間見ることが出来たように思うから。