17歳 [DVD]

監督 : フランソワ・オゾン 
出演 : マリーヌ・ヴァクト  ジェラルディン・ペラス  フレデリック・ピエロ  シャーロット・ランプリング 
  • KADOKAWA / 角川書店
3.22
  • (7)
  • (30)
  • (43)
  • (16)
  • (3)
本棚登録 : 235
感想 : 37
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111246424

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 少女と大人のに変わる危うい年代の女の心の変化をフランソワ オゾン監督が繊細に切り取ったエロティックでアンニュイな、如何にもフランスらしい作品。

    主人公イザベルを演じたマリーヌ ヴァクトのなんとも言えない物憂げな色気とそれと相反するまだ痩せた少女らしい身体が17歳の少女だから持つ魅力を眩しいほどに見せつけてくれた。

    バカンスの海辺で処女喪失するまでの無防備なショートパンツと水着の姿から、真っ赤なルージュを唇にひいて、大人のスーツ姿になり自らの性を売るに至るイザベルの心の変化について、物語上では決して明らかにはせずにただ心の渇きを埋めるように娼婦となっていくイザベル姿を中盤まで私たちは傍観するしかない。

    そして一番心が通い合ってた年配の客ジョルジュの死によって、売春の事実が明るみにでると、やはり混乱している私たちと同様にイザベルの周りの大人たちもその理由を知りたがり、まるでモンスターを見るようにイザベルと距離をおくようになる。

    処女喪失後、なぜ突然娼婦になったのか答えはきっとイザベルにもはっきりと分からないのだろう。
    バカンスでどうでもいい顔だけの男と一夜を共にしたことで彼女は真実の愛を知る前に「性の感覚」を覚えてしまった、ただそれだけのこと。
    早く性を知りすぎてしまった少女は時々自らの性の使い方を間違えてしまうからもう後戻りはできない。

    強制的に心理カウンセラーに通うことになったイザベルがカウンセラー代を聞いて「たったそれだけ?」というシーン。
    そして、年配のカウンセラーにでさえ女である自分をみせようとする振る舞い。
    「一度売春した女は、一生娼婦として生きる。」という客の言葉を思い出した。

    危うい不完全な魂がもたらした罪を背負いながら彼女は歳を重ねてこれからどこに向かうのか?

    このモヤモヤを払拭するようにラストに登場するシャーロット ランプリングの圧倒的な存在感が素晴らしい。
    イザベルの若さに心から感服した老女の哀愁と、彼女の過ちすら肯定できる年齢を重ねたからこその深みとはもう、一瞬だけの17歳という若さの美とはまた違う次元で美しかった。

  • オゾン監督の映画は、これまでに外れたことが一度もないくらい、自分にとっては素晴らしい監督ですが、今回もすごかったです。

    危険なプロットやスイミングプールでも使われた手法ですが、主人公を観察するキャラクターの描き方が絶妙です。今回は、主人公のイザベルの弟ヴィクトールがその役。姉よりも若い分、姉が感じている繊細で不可解な感情の動きを理解できず、でも姉自身への理解(イザベルという人間への根本的理解と信頼のようなもの)はあって、ちょっと邪険にされてもめげず、また彼女の「罪」が暴かれても決して距離を開けたりしない。
    弟が、冒頭のシーンではグロスを塗るイザベルに「娼婦みたいだからやめろよ」というのに、ラスト近く、パーティーに出かける姉に「メイクしないの?」と聞くところが、彼自身の成長を表していて好きでした。

    他のオゾン作品と同様に、テーマの核の部分は決して言葉で説明がされることはありません。イザベル自身が少し感情の乏しい、メランコリックな少女なので、余計に彼女を理解する材料が少なく感じますが、それも含めて素晴らしかった。

    人間の感情は、決してたった一つのものをその時に味わうのではなくて、好きだけど憎らしいとか、会いたいけど煩わしいとか、悲しいけどホッとしているとか、心配しているけどざまあみろと思っているとか、2つ以上の感情が常時混ざり合っているんだなと。

    最後の最後で現れたシャーロット・ランプリングに鳥肌が立ちました。すごい女優さんですね。たった数分であれだけ鮮烈な印象を残すなんて。

  • DVD

    最後に老人の妻が出てきた時には、やられた〜〜と思った。

    弟がこの映画のスリルに味を出している。

  • JEUNE & JOLIE
    2013年 フランス 94分
    監督:フランソワ・オゾン
    出演:マリーヌ・ヴァクト/ジェラルディーヌ・ペラス/シャーロット・ランプリング
    http://www.17-movie.jp/

    夏。家族とバカンスに来ているイザベル(マリーヌ・ヴァクト)は、ドイツ人ボーイフレンドと初体験を済ませ、17歳を迎える。秋。街に戻った彼女は、なぜか出会い系を使った売春を始める。冬。常連客の老紳士ジョルジュとホテルで真っ最中に彼は心臓発作で死んでしまう。動揺したイザベルは逃げ出すが、警察から母親に連絡が行き…。

    正直言って、イザベルが売春する理由が全くわからなかった。まあ17歳だしね、そういう迷走もしちゃうかな、っていう程度の理解はするけれど。強いていうなら母親がかなり抑圧的。父親とは離婚しており、今は母の新しいパートナーが義父。弟は思春期真っ盛りだけど、姉弟仲はとても良い。経済的には裕福な家庭で、稼いだお金をイザベラは使わず溜めこんでおり、その目的はわからない。母親から自立したかったのかな…。

    まあ日本でもよくある構図。ネットを使って若い娘に群がってくる中年男性たち。プロフィールなんて嘘に決まってるのに、この男どもは判で押したようにどいつもこいつも「若いね、年齢は?」「学生?」「どこの大学?」などと質問してくる。キモイ。腹上死ならぬ腹下死(股下死?)しちゃうお爺ちゃん客のジョルジュは、客の中では紳士的で値切ったりもしない良いお客で、イザベルは彼を嫌いではなかった。

    病死とはいえホテルのカメラなどからすぐ足はつき、娘が娼婦のまねごとをしていたと知った母親は動転。未成年ゆえ証言のみで済むが、カウンセリングには通わなくてはならない。しかし何も答えはみつからない。

    春。イザベルは同級生のボーイフレンドを作るけれどすぐ飽きる。親が油断してる隙に、とりあげられてたスマホを取戻し、連絡してきた相手としょうこりもなく待ち合わせするイザベル。しかしそこに現れたのはなんと年配の女性(シャーロット・ランプリング)彼女はなんと、亡くなったジョルジュの妻だった…。

    とにかくシャーロット・ランプリングの存在感が圧倒的。彼女はイザベルを責めるわけでもなく、淡々と夫のことを語り、そして夫が死んだホテルの部屋へイザベルを伴う。彼女はイザベルに説教など一切しない。ただ夫が死んだ部屋を見たかったのだという。二人はただ並んでベッドで眠る。母親の説教もカウンセラーも新しいボーイフレンドも癒せなかったイザベラの孤独を、この大人の女性だけが理解してくれる秀逸な場面だった。

    マリーヌ・ヴァクトはのちの『2重螺旋の恋人』同様、脱ぎっぷりよくナイスバディで、17歳の得体の知れなさと揺らぎ、あどけない色気をふりまいていてとても魅力的。やたらと挿入歌的なものが流れるのはイマイチだったけど、パーティのシーンなどでCrystal Castles(BAPTISM)や、M83(Midnight City)など好きなバンドを使ってあったのは嬉しかった。

  • なんとなく秋に見たい映画だった。

  • 映像が綺麗。

  • C。
    ひさびさのmalegazeか。不快。

  • 17歳。美しい年だな~。

  • フランス きれいな海。仲がいい家族。
    申し分のない家庭だった。
    マリーヌヴァクト 17歳で、処女を喪失する。
    愛があったと言うわけではない。
    ソルボンヌ大学 文学部2年生 17歳。
    口紅を赤く染めて、タイトなスーツで
    ホテルに入り込み 娼婦となる。
    バイアグラでがんばっていた老人が、腹上死する。
    そこから、売春していたことが、判明する。
    なぜ?
    に答えることができない。
    その後の表情は 17歳の娘になって、
    そばかすだらけの 普通のオンナになる。
    それは、大人になるための 練習?

    フランスも日本も青年のおかれている状況は
    あまり変わらないなぁ。

    腹上死した夫の妻 シャーロット ランプリングは言う。
    「セックスで死ぬのは男の夢よ」

  • 少女でもなく、大人でもない。。
    憂いを帯びた視線の先は、一体何を求めているんだろう?
    繋がり?征服感?大人への挑発?ファザコン?未知への好奇心?優越感?。。。。???

    兎に角、複雑、混迷、型にはまらない。。。

    カウンセリングでの告白で、
    「優しい人で、愛情があった」「多くを求めなかった」
    「自分が汚らわしくて」と、涙する姿が印象に残る。
    生身の、そして温かい感情が垣間見ることが出来たように思うから。

全37件中 1 - 10件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×